だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

沈黙の町で/奥田英朗

◆読んだ本◆
・書名:沈黙の町で
・著者:奥田英朗
・定価:1,800円
・出版社:朝日新聞出版
・発行日:2013/2/28

◆おすすめ度◆
・社会派ミステリー小説度:★★★★
・子供たちの、そして大人たちの人間ドラマ度:★★★★
・重苦しい内容は悪夢を見させる度:★★★★★

◆感想◆
中学二年生の少年が部室の屋上から転落死する。これは事故なのか自殺なのか。少年がいじめにあっていたことが明るみになるが…

死亡した少年を中心に、友人や家族、学校関係者や警察などの登場人物を配し、リアルないじめの実態に迫ったミステリー小説。
「少年の死」という重たい出来事を核にして、登場人物たちの人間ドラマが描かれる。

事件が起きてからの時間軸に、過去の時間軸を織り交ぜながら真相が明らかになる展開は、ベテランの作家だけに飽きさせずダレない。
平易で癖のない文章で、物語にぐいぐい引き込まれる。

最後には真相が明らかになるというミステリー小説な構成だけれど、そこにはトリックとかどんでん返しとかの仕掛けはなく、ただ重苦しい「少年の死」があるのみ。

日常の横にある「少年の死」。
些細なきっかけで誰もが出会ってしまうかもしれない不幸が、とっても恐ろしい。

この本を読み終わった夜、会社で死亡事故が起きるという悪夢を見る。 夢にまで影響するこの小説。
なんてリアルなんだ。

宮部みゆきの「ソロモンの偽証」も中学生のいじめがテーマだったけど、内容はだいぶ違う。
「ソロモンの偽証」には著者の少年少女たちへの温かな眼差しを感じたが、本書には著者の冷徹な気迫を感じる。
同じようなテーマで小説を書いても、これだけ違う物語に。
真実なんて人間の数だけあるんだなあ。

◆関連記事◆
奥田英朗さん、初の新聞連載小説「沈黙の町で」/asahi.com(朝日新聞社)
奥田英朗「沈黙の町で」(朝日新聞)/「きむたく」日記@AREA SOSEKI
ソロモンの偽証 第I部 事件,第II部 決意,第III部 法廷/宮部みゆき/サイト内

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

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