だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

機龍警察 自爆条項/月村了衛

◆読んだ本◆
・書名:機龍警察 自爆条項
・著者:月村了衛
・定価:1,900円
・出版社:早川書房
・発行日:2011/9/25

◆おすすめ度◆
・心が震える冒険小説度:★★★★★
・謀略と組織抗争が渦巻く近未来警察小説度:★★★★★
・スリルとアクションのパワードスーツ型ロボットSF度:★★★★
・あえて裏切り者の汚名を着て度:★★★★★

◆感想◆
横浜港に入港したコンテナ船に武器密輸の疑いがあるとの情報を得た税関は、鶴見署の刑事と合同で捜査に当る。現場の荷役責任者に職務質問をしたところいきなり短機関銃による銃撃を受け、さらに発砲を繰り返しながら荷役責任者は船内に逃走するが・・・

「機甲兵装」というパワードスーツ型ロボットが軍や警察で活用されるようになった近未来。
警視庁特捜部に配備された「龍機兵」という機甲兵装と、それを操作する傭兵たちを主役にした近未来警察小説。
なんだかライトノベル風のロボットものな感じだけれど、これがもうメチャクチャ面白い。

省庁間の利権争いや暴力、警察組織内の抗争なんかが骨太のタッチで描かれる一級の警察小説でありながら、パワードスーツ型ロボットのバトルシーンもありのアクションSF小説にもなっている贅沢さ。
さらに、アイルランドのテロ組織や中国企業(中国裏社会)などを交えた、国際謀略ものな展開も。

読みごたえのある警察小説に、ロボットSFの豪華なおまけがついたような小説だ。

しかし本当に素晴らしいのは、元テロリストにして「龍機兵」に搭乗する傭兵のライザを描いたくだり。

北アイルランドの都市に生まれたライザは、貧しい生活と差別の中で育つ。自分や家族に対しての有形/無形の暴力。無差別テロにより声を失った妹。いつしかテロ組織に身を投じるようになってしまったライザ。

そんなライザの過去が描かれるパートは、まるで良質の英国冒険小説を読んでいるよう。
月村了衛はジャック・ヒギンズの弟子か?と思うほどに、心が震える描写だ。

さらに現在のパートへよどみなくきれいに受け継がれる展開。
ラストシーンも見事。

警察小説やロボットSFが好きな方はもちろん、冒険小説好きな方は是非ご一読を。
続編も出版されるようなので、とっても楽しみだ。

機龍警察 自爆条項  (ハヤカワ・ミステリワールド)

月村 了衛 早川書房 2011-09-22
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「機龍警察 自爆条項」は、前作「機龍警察」の続編。
「機龍警察」は著者のデビュー作でもあってか★★★な感じだったけど、本書でライザの過去を知ると「おお、なるほど!」な面白さを味わえる。
魅力的な登場人物が多い本書だけれど、次作では姿俊之の過去を描いて欲しくなる。

機龍警察(ハヤカワ文庫JA)

月村 了衛 早川書房 2010-03-19
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