だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

巡礼/橋本治

◆読んだ本◆
・書名:巡礼
・著者:橋本治
・定価:1,400円
・出版社:新潮社
・発行日:2009/8/25

◆おすすめ度◆
・ゴミ屋敷の主の半生度:★★★★
・この世に生まれ、生きる意味度:★★★★
・橋本治、歳とったなぁ度:★★★★

◆感想◆
ゴミ屋敷の主となった男の半生と、生きることの意味を考えさせる物語。

小説家というより思想家といった方がいいんじゃないかと思う橋本治。
久しぶりに読んだ本書は、著者にしては比較的平易な文章。主人公もゴミ屋敷の主だし、なんか一般受けしそう。
しかし読み進めると、けっこうディープな内容だ。

ゴミ屋敷の主となった男の現在の物語と、戦後の日本が復興して行く中で育ったゴミ屋敷男の過去の物語が、交互に描写される。

そこから浮き上がってくるのは、意味のないことだと分かっていながら、ゴミを集めざるを得ない男の恐怖心と逃避。
時代に流され、またうまくいかない人間関係の中で、何かを得ようとして、そして何かを捨てられないがために築かれるゴミの山。

主人公と同世代の読者は、一種の恐怖を感じるかもしれない。
生きている証の象徴が「ゴミ」というのは怖い設定だ。

こうゆう捉えかたをする著者に、なんだか「老い」を感じてしまう。
若々しくオピニオンリーダー的存在だった橋本治が、人生の意味を問うような小説を書く。
橋本治、歳とったなぁ。

それに、心に残るものは生み出せても、有形のものを残すことができない小説家という職業。
そこに著者は哀愁を感じているのかもしれない。

ゴミ屋敷
麺喰道 (およそ麺日記)

ゴミを集める男も悲しいが、そのゴミを見ながら生活する主婦こそ被害者。
だってゴミだもんなあ。
無理矢理見せられたり聴かされたり読まされる芸術もゴミに近いものがあるが、本当のゴミに何かを見いだすのは困難。
でも一億万年くらい経てば価値が出る?

巡礼
巡礼
おすすめ平均
starsゴミの山は戦後の日本の姿か
stars人との係わりとは
starsゴミ屋敷の主は私だったかもしれない
stars誰か映画化してください
stars心に蓋を閉ざした男

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

◆他サイトの感想◆
MSN産経ニュース
新s あらたにす(日経・朝日・読売)
asahi.com(朝日新聞社)
日々平安録

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://danatuusinmystery.blog17.fc2.com/tb.php/305-5a0c8108
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad