だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力/立花隆

◆読んだ本◆
・書名:小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力
・著者:立花隆
・定価:1,900円
・出版社:朝日新聞出版
・発行日:2009/1/30

◆おすすめ度◆
・スリリングなノンフィクション科学書度:★★★★
・驚きの先端理論と加速器の構造度:★★★★
・素人でも分かっちゃう「対称性の破れ」度:★★★★
・朝日新聞は絶対読まないゾ度:★★★★

◆感想◆
記憶に新しい日本人物理学者3人のノーベル物理学賞受賞。ところが物理学だけあって、なかなか素人には理解が困難。
こんなスゴイことをきちんと報道しないことに不満を感じた著者が、素人でもその偉業が分かるよう、詳細で具体的、かつ平易に書いた科学書。

さすが立花隆、これが本当に素人でもじっくり読み進めれば分かってきちゃうんである。

宇宙が対称性に支配されている(宇宙のどこにも特別な空間は無く、物理法則が同じように成り立つという意味)というのは、近代科学の基本的な考え方。
(フムフム)
ところが、これに「破れ」があるというのは近代科学社会の根幹をゆるがしかねない大事件なのである!
(それはそうだ!)
しかし「対称性の破れ」があるのも事実で、我々の世界が存在しているのも、その「対称性の破れ」にあるらしい。
(おおっっ!)
もし宇宙が完全に対称的にできていたら、ビッグバンで生成された物質と反物質は同量となり、いずれすべて消滅するはずである。
(なるほど)
ところがそうはならず、我々の世界が物質の世界として在る。ということは、「対称性の破れ」のおかげで物質の方が反物質よりちょっと多く残っているということなのだ。
(そういうことだったのか!)

とまあ、「対称性の破れ」という理論を前振りで分かりやすく展開したのち、その破れをどうやって実験的に検証したのかという件に入る。

使用されたのは筑波にある高エネルギー加速器研究機構のBファクトリーという加速器。
このマシンがすんごいマシンで、その構造や性能や実験風景が、本当に細かく描写されている。

同様の研究を行っている米スタンフォード大学の加速器との検証競争を交えながらの検証実験の進み具合もスリリングだし、加速器という最先端超弩級マシーンについても、理解できちゃうんじゃないかと思わせる内容。

ところが!!
なんと連載されていた「サイアス」という雑誌が休刊となり、連載が中止の憂き目に。
本書はこの連載をまとめたもののため、「対称性の破れ」が実証された?というところで終わっちゃうんである。
なんとも尻切れとんぼな状態。(巻末の対談で補完はされているが)

著者も「サイアス」を発行している朝日新聞社を、ケチョンケチョンに非難しているが(そんな裏話も、それなりに面白い)、尻切れとんぼな結末が本書の欠点。
これじゃあフラストレーションが溜るっ!
最後まで読ませてっ!


高エネルギー加速器研究機構
高エネルギー加速器研究機構


物質は分子から出来ていて、もっと細かくすると原子とか電子からなる。ま、そのへんまではイメージしやすいが、さらに細かくするとクォークになって、3世代12個のクォークとレプトンから成っており、またそれそれに反粒子がある。なんていうことになるとイメージすらできない。
理論も、ニュートンの万有引力はイメージしやすが、相対性理論とか4つの力とか量子力学とか万物理論(!)になるとお手上げ状態。

人間がどんどん物質を見極めていき、精緻で細かく築き上げた理論を敷衍していても、未知なる部分は一向に減らない。
逆に新たな未知が産まれるようだ。

そうやってドンドコドンドコ追求していくと、最後に「あがり」ってなってると面白いなあ。(双六か!)

立花隆 小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力
立花隆 小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力立花 隆

おすすめ平均
stars日本という国を見直すことに繋がるかもしれません。
starsさすが立花隆さん・・・なんですが
stars現代最大最高のマシンBファクトリー(加速器)という存在
stars素人が専門家のために書いた本?
stars小林・益川理論を実験的に証明した"Bファクトリー"の話。まさに"プロジェクトX"

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◆他サイトの感想など◆
シェ・タチバナ 立花隆公式サイト
わりとノーテンキ
らくちんのつれづれ暮らし

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

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