だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

残虐記/桐野夏生

◆読んだ本◆
・書名:残虐記
・著者:桐野夏生
・出版社:新潮社
・定価:1,400円
・発行日:2004/2/25

◆評価◆
・少女誘拐拉致事件の内側度:★★★★
・人間の中の性的存在度:★★★
・少女と男達の奇妙な関係度:★★★★

◆ひとこと◆
失踪した女流作家が残した原稿には、かつて作家自身が被害者として経験した監禁事件の真実が記されていた…

過去に現実としてあった少女の誘拐監禁事件を連想させる小説。
前作「グロテスク」と同じような手法。 これってけっこう読者の俗悪趣味を刺激するなあ。
ずるくもあり、うまくもある。

中盤あたりまでは、誘拐された少女の、事件によって引き出された性的存在をどう処理していいのか戸惑い悩む姿が、印象的で興味深かった。
もっとどろどろした精神世界にはまり込んで行くのかと期待もしたが。

結末部分は、ちょっと前半とチグハグな感じ。

小説としての決着をつけなければならないし、そういう意味では、きちんと完結している。
でもねぇ、過去に引きずられた奇妙な三角関係みたいな、週刊誌の記事にあるようなB級展開に、不満というか落胆というか。
はじめからB級であれば、納得するけど。

しかし著者の、小説で現実の事件を解決しようとする姿勢には、力が必要。
虚構をはるかに超える現実の事件を、このような小説の姿で捉えようとするのは、作家にしかできない所行。
そしてそこには桐野夏生という作家が、確かに存在してはいる。


残虐記
残虐記桐野 夏生

おすすめ平均
stars人間の一筋縄ではいかない屈折を描いて、見事
stars虚構の虚構について
stars不愉快
starsセカンドレイプ小説
stars作品から漂う臭い

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テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

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