だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

邪魅の雫/京極夏彦

◆読んだ本◆
・書 名:邪魅の雫
・著 者:京極夏彦
・出版社:講談社
・定 価:1,600円
・発行日:2006/9/26

◆評価◆
・殺人事件の連鎖度:★★★★★
・殺人とは? その形而上学的意味度:★★★★
・錯綜する捜査と真相度:★★★★★
・苦悩する関口(いつも)と榎木津(今回だけ?)心配する京極堂(友情か?)度:★★★★★

◆感想◆
榎木津礼二郎の見合い話しが、何故か相手から断られ続ける。理由が分からぬままに思案している時、見合い相手だった来宮家の次女が殺害されるという事件が…

連続する毒殺事件。礼次郎の見合い相手に何が? 錯綜する人間関係。いったい全体何が真相なんだ!? という待望の新作。

殺人に関する哲学的な考察とか、作家関口に対する遠慮のない論理的罵倒とか、昔話と伝説の違いとか、いつも通りの京極堂の蘊蓄がたまらなくヘヴィーで嬉しい。
作家関口も相変わらずの暗さで、幽霊っぽい味を出しているし。ちょっと違うのは探偵榎木津礼二郎の挙動。
非常識で大胆不敵で縦横無尽に支離滅裂な榎木津礼二郎が、今回はやや大人しい。いったいどうしたんだ! というところが本書のお楽しみ。ラストもちょっと泣かせるぜ。

物語は、連続する毒殺事件や複雑にからみ合いそうで合わない人間関係と、展開が進むにつれてどんどんこんがらがって、登場人物相関図にはやたらと関係を示す線が増えるばっかりに。
いいかげん面倒になって、あとはもう京極堂の憑物落とし的解決にお任せしようという気になるくらい。
それでもポイントを押さえて読むミステリーファンには、落としどころが読めるかも。

だた本シリーズの面白いところは、ミステリー小説の謎解きだけにあるわけじゃない。
人間の感情や物語の奥深さを、独特のまだらっこしくもアカデミックな語り口で描写しているところが、自分には強烈に刺激的で興味深いなあ。

各章の冒頭の語句や終わり方に統一感をもたせたりするところも、著者/京極堂の論理性と様式美を写し出しているようで、なんかステキだ。

邪魅の雫/京極夏彦の表紙
 

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

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