だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

福音の少年/あさのあつこ

◆読んだ本◆
・書 名:福音の少年
・著 者:あさのあつこ
・出版社:角川書店
・定 価:1,400円
・発行日:2005/7/25

◆評価◆
・若者(永見明帆)の心に棲む闇度:★★★★
・その闇に恋する少女(北畠藍子)度:★★★★
・彼等をシニカルに見つめる若者(柏木陽)度:★★★★

◆感想◆
ジャーナリストの秋庭は、地方都市で起きたアパート全焼現場に向かう。夕刻、現場に到着した秋庭は、2人の若者に遭遇するが…

高校生三人を主人公とする、光と影というか、人の心の明と暗を描き出した小説。
少年達がキレる様子を題材にした小説は数あるが、そのキレる姿をあるがままに見せ読者に理解させながら、物語を展開する構成。著者の鋭い観察眼なしにはできない小説。

「おれたちを繋ぎ止めるものは、もう何もなくなったんだ。自由になりたいって、……やっとそれが叶ったわけだ。」
「本気で人を好きにならなくちゃ… 大切なんだよ」
「たった一つのボールが人の生き方を変化させる。そんなことが、あるのだろうか。」
「纏わりつくものも、繋ぎ止めようとするものもない。完璧な自由だと思わないか。」

自分の有り様に戸惑い、友人や異性との考え方の違いに齟齬を感じる主人公たち。彼等が発する言葉は、同世代の読者に強いインパクトを与えるだろう。
もう一度高校生に戻った気分で読むと、にわかに息苦しさと胸が締め付けられるような感覚が。

ところが後半から大人達が登場してくると、それまでの清冽な印象からリアルで醜い印象に急転換。 若者達の世界はよくも悪くもピュアーだけど、大人達の世界は醜く嫌らしく、それは誰が見ても一目瞭然の単純極悪の世界なのね。
いやだいやだ。

福音の少年/あさのあつこの表紙
 

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

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