だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

幽談/京極夏彦

◆読んだ本◆
・書 名:幽談
・著 者:京極夏彦
・出版社:メディアファクトリー
・定 価:1,380円
・発行日:2008/7/6

◆評価◆
・現代版怪談度:★★★★
・怖いものとは?度:★★★★★
・確かな事と不確かな事/条理と不条理/論理と感情度:★★★★

◆感想◆
現代版怪談短編集。
とある旅館の庭で手首を拾う話し、ベッドの下にいる人の話し、なにかとてつもなく嫌なものから逃げる少年の話し・・・

著者の怪談話というと、ちょっと昔の時代背景で妖怪をモチーフにした小説を思い浮かべるが、本書は現代版の「怖い話し」集。
手首を拾ったりベッドの下に人がいたりと、その出来事だけ見ると陳腐だが、そこは著者ならではの味付けがある。

はじめは筋道のはっきりした展開なのに、途中からとても不条理で感覚的な世界に入り込み、恐怖というより精神や理論が崩壊するような不安定感をかもしだしている。

「ムムム!」と思わず身を乗り出して読み出したのは、後半の3編。

「十万年」の書き出しは、
「・・・人はみな違っているのだから、世の中がどう見えているのかも人それぞれなのだろう。夕陽が真っ青に見えていたって、ずっとそうならそれを赤と呼んでいるなら。その人にとってはそれが夕陽の色で、それが赤なのだ」

SF好きなら、何が確かで何が不確かなのか、自分と他者との感覚の違い、そういった認識論に共感する人も多いはず。

そんなロジカルな話しをしていきながら、しだいにそれを崩壊させるような展開に。
このへんの精神的不安定感を読者に与える手法が、本書の醍醐味。

本当にあったような話しを導入部に置きながら、しだいに読者の精神を不安定にさせるという「怖さ」。

本書は「恐怖とは何か」というテーマの実験的小説でもあるな。

幽談/京極夏彦の表紙
 

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

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