だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

名もなき毒/宮部みゆき

◆読んだ本◆
・書 名:名もなき毒
・著 者:宮部みゆき
・出版社:幻冬舎
・定 価:1,800円
・発行日:2006/8/25
     
◆評価◆
・社会派ミステリー度:★★★★
・人間ゆえに抱えてしまう毒度:★★★★
・鮮やかに立ち上がる登場人物たち度:★★★★★

◆感想◆
愛犬との散歩の途中、コンビニで買った烏龍茶を飲んだ古屋明俊が、そのまま絶命するという凄惨な事件が起こる。連続無差別毒殺事件の4人目の犠牲者と報道されるが…

大企業の社内報編集部に在籍する主人公の杉村。こいつがなかなかのほほんとしていていい。周りのスタッフも穏やかで、のんびりしている。
ところが、というか偶然にも、というかお約束というか、杉村の周囲でアルバイトの女性を巡った困った事態が発生!

主人公の職場にいるこまったちゃん騒動、財閥の娘婿という主人公杉浦の生活、連続無差別毒殺事件。
同時に展開する物語が、しだいに収束してついには!って感じの緊張感と、ぐるぐと流れるような展開。
登場人物を鮮やかに描き出しているし、どの人物もいきいきしている。
さーすが宮部みゆき、読者の期待に応える書きっぷりだ。

現代社会に潜み、シックハウス症候群や土壌汚染のようにジワジワとしみ出す人間の悪意=毒。
他人を殺害したり、思うようにならない鬱憤のはけ口を人へ転嫁したりするような毒のある行為を、個人的視点から社会的な視点へ転換。
そうすることで見えてくる「毒」の発生メカニズムが、怒りと悲しみを超えて陰々滅々とした印象を残す。

人間社会は、もう崩壊寸前なのかもね。
なんて思いも浮かぶ一方、社内報編集部のアルバイト五味淵まゆみ(ゴンちゃん)の明るさとか、毒殺事件犠牲者の孫娘古屋美知香(ミカ)の正義感とかに、明るい未来を想像したりもできる。

このへんが著者の作風。
極悪非道の犯人も、著者の手にかかれば哀れで同情をさそう人物に。
宮部みゆきって、とことん心根のやさしい人なんだなぁと思わせる小説だ。

名もなき毒/宮部みゆきの表紙
 

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

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