だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

ぼくは〈眠りの町〉から旅に出た/沢村凛

◆読んだ本◆
・書名:ぼくは〈眠りの町〉から旅に出た
・著者:沢村凛
・定価:1,400円
・出版社:角川書店
・発行日:2014/1/30

◆おすすめ度◆
・少年少女向けの心暖まるファンタジー小説度:★★★
・自分探しの旅/仲間との固い結束度:★★
・予想不能の結末度:★★★

◆感想◆
悩みも不安もない穏やかな〈眠りの町〉。そこで一人の奇妙な男に出会った「ぼく」は、その男につれられるようにして旅に出るが…

なんだかフワフワとした心地よい夢の国にいるような「ぼく」が、仲間を捜しながら自分探しの旅をするというロードノベル風のファンタジックな冒険小説。

多感な小学生が読めば清く正しい大人になりそうな正統派ファンタジーでありながら、おじさんが読んでも「いったい結末はどうなるんだ?」という興味がラストまで持続するあっぱれな展開。
とっても心暖まる結末も、学校で嫌なことがあって凹んでる小学生にぴったりです。

うつらうつらとしている〈眠りの町〉、とっても魅力的です。
そこから自分探しの旅に出るより、自分がないままへらへらと過ごしたいと思うのは人生に疲れている証拠でしょうか。

同時に出版された「通り雨は〈世界〉をまたいで旅をする」は、ファンタスティックなSF。こっちは小学女子向け?なストーリーでしたが、骨太なファンタジー小説を手がける著者らしく、特異な物語世界を築いてます。

◆関連記事◆
『ぼくは〈眠りの町〉から旅に出た』『通り雨は〈世界〉をまたいで旅をする』著者 沢村凛さん bestseller's interview 第54回/新刊JP

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

機龍警察 未亡旅団/月村了衛

◆読んだ本◆
・書名:機龍警察 未亡旅団
・著者:月村了衛
・定価:1,900円
・出版社:早川書房
・発行日:2014/1/25

◆おすすめ度◆
・近未来警察小説度:★★★★★
・スリルとアクションと謀略とテロ度:★★★★★
・過去を背負った登場人物たちの生き様度:★★★★★
・眠気を吹っ飛ばす面白さ/完結まで死ねない度:★★★★★

◆感想◆
チェチェン紛争で家族を失った女性だけで組織された「黒い未亡人」。日本に潜入した彼女たちがテロを計画しているという情報が…

チェチェン紛争の実態と、その犠牲者である「黒い未亡人」たちの生い立ち。
「龍機兵」とテロリストたちとの手に汗握るアクションシーン。
警察内に根を張る組織の確執と、しだいに明らかになる「敵」の存在。
そして、登場人物一人ひとりの過去と現在が、複雑な網の目のようにからまり物語が展開する。

読み始めたら止まりません。眠気も吹っ飛ぶ面白さ。
チェチェン紛争に巻き込まれた人々の苦しみに胸が締め付けられ、むごいテロの情景に背筋が寒くなり、最新の近接戦闘兵器・龍機兵に搭乗した気分で手足を振り回したくなり、思わず涙と鼻水もこぼれそうになるという、読者の身体にもダメージを与えかねない精緻さと迫力。

警察小説やアクション小説、SF小説としても面白さも抜群ですが、読者を魅了するのは自らの信じることを貫こうとする登場人物たちの「魂」。
そしてそのぶつかり合い。

このシリーズ、巻を追うごとにスケールアップし、人物に厚みが出てきて、面白さに拍車がかかってます。
シリーズが完結するのを見届けるまでは死ねませんっ。

2ページに渡る登場人物一覧表。
普通は読んでる途中で見返して確認したりするんですが、本書ではそんな必要がないくらい人物が生きてます。
新しい缶コーヒーが出たら姿警部に教えたくなるくらい、缶入りおしるこを馬面の曽我部警視に差し入れしてもいいかなと思うくらいに人物描写がすぐれていて印象に残ります。

◆関連記事◆
『機龍警察 未亡旅団』(月村了衛)/馬場秀和ブログ
機龍警察 暗黒市場/月村了衛/サイト内
機龍警察 自爆条項/月村了衛/サイト内

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