だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

追撃の森/ジェフリー・ディーヴァー

◆読んだ本◆
・書名:追撃の森
・著者:ジェフリー・ディーヴァー
・定価:1,000円
・出版社:文春文庫
・発行日:2012/6/10

◆おすすめ度◆
・スリルとサスペンス小説度:★★★★
・追いつ追われつのアクションサバイバル度:★★★★
・どんでん返し返し返し度:★★★

◆感想◆
通報を受け、湖畔の山荘に向かった女性保安官補ブリンは、予想外の殺人事件に遭遇する。さらに現場で出会った女を連れ、殺人犯グループの二人から逃げるため深い森に入り込むが…

年末の恒例「このミステリーがすごい! 2013年版」と「週刊文春ミステリーベスト10」を眺めて目についた海外のミステリー小説が「解錠師」と「追撃の森」。
「解錠師」はこのミスでも文春でも1位だし、内容もなんだか面白そう。
「追撃の森」はこのミスでは20位、文春では8位だけれど、登場人物が少なくって展開が冒険小説っぽいストイックな感じが面白そう。
大勢の登場人物や複雑な物語は、特に翻訳本だとくたびれちゃうんである。

で、本書「追撃の森」。
書評誌にあるように、追いつ追われつの死闘や森の中での保安官補と殺し屋というプロフェッショナル同士の駆け引きが、手に汗握る展開。
ひたすら殺し屋は追い、それを様々な方法で逃れ反撃する保安官補。
単純明快でいいぞ。

どの書評でも「どんでん返し」が合い言葉みたいに書いてあったから、その分どんでん返しの面白みは半減しちゃったけれど、「んんっ」という展開や登場人物のドラマチックなお話もあったりして最後まで飽きさせない。

のんびりしたお正月にドキドキする読み物として最適。

壁に食い込んだ弾丸をほじくり出す、というのがプロフェッショナル感を盛り上げてるなあ。
このミス、文春ともにベストテンに入っている「バーニング・ワイヤー」も読みたくなる。
けど、たぶん読まないだろうなあ。
登場人物多そうだし。

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謎解きはディナーのあとで 3/東川篤哉

◆読んだ本◆
・書名:謎解きはディナーのあとで 3
・著者:東川篤哉
・定価:1,500円
・出版社:小学館
・発行日:2012/12/17

◆おすすめ度◆
・ユーモアミステリー小説度:★★★★
・コミカルだけど結構本格度:★★★
・新たな展開があるようなないような度:★★★

◆感想◆
大人気ベストセラー「謎解きはディナーのあとで」の第3弾。

軽妙でコミカルなタッチの作風は従来通り。
とんでもなく売れたけど、それを衒うわけでもなく一定水準のミステリー小説にまとめあげているのはさすが。
プレッシャーに負けないで、これからも「ぐふっ」と笑えるミステリーを読ませて欲しいと思わせる。

でも登場人物や描写、舞台などがマンネリと言われそうな気も。

安楽椅子探偵役の執事・影山や、国立署の上司・風祭警部との関係に新たな展開が!みたいな雰囲気だけど、偉大なるシリーズ物にはそんな小細工は不要。
「サザエさん」や「水戸黄門」みたいに、マンネリこそがシリーズ物のキモ。
登場人物は成長なんてしなくてもいいんである。
舞台は国立周辺でもいいんである。
ぜひともこの雰囲気のまま、続編が読みたい。

今なら、もらってちょっと嬉しい「特製クリアファイル」のおまけ付き。
そういえば「謎解きはディナーのあとで 2」でも特製クリアファイルをゲットしたけど、あれはいったいどこにいったんだろう?

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UFOはもう来ない/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:UFOはもう来ない
・著者:山本弘
・定価:1,900円
・出版社:PHP研究所
・発行日:2012/12/21

◆おすすめ度◆
・ファースト・コンタクトSF小説度:★★★★
・UFOに関するマニアックな蘊蓄と批評てんこ盛り度:★★★
・正しいSF少年向け度:★★★★

◆感想◆
地球を監視しつつけてきた知的生命体・スターファインダー。彼らは地球文明の進度から「最終シークエンス」を発動しようとしていたが…

SFへの愛情と「科学的で俯瞰的な視点が重要」という考えがひしひしと伝わる著書が多い山本弘の新作は、ファースト・コンタクトがテーマ。

当然ながら、巷間に出回るUFOネタをこれでもかというくらいに盛り込んでるし、科学的な見方もおろそかにしない徹底ぶり。
少年たちを登場させて手に汗握る展開を用意するなど、正しいSF少年向けの小説としてもバッチリだ。

そんな著者が描く異星人はどんなんか?

人間が想像する異星人なんて、人間自身をもじったものに過ぎない、なんていうメッセージを込めながらも、登場する異星人がとっても人間っぽいのはご愛嬌。
意思の疎通ができなければ、この物語は成立しないし。
それでも「そう言われればそうだよね!」と思わせる設定に思わず拍手をしたくなる。

各章のタイトルも超マニアック。(ほとんどわかんないけど)

京都市山科区での伝統的なジャンケンの掛け声は
「インジャンポックリコでチンポ抜けた!」
というのは本当!?

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眩談/京極夏彦

◆読んだ本◆
・書名:眩談
・著者:京極夏彦
・定価:1,500円
・出版社:メディアファクトリー
・発行日:2012/11/30

◆おすすめ度◆
・不思議で怖くて怪異な物語度:★★★
・「世にも奇妙な物語」の原作になる度:★★★★
・不条理なのに納得度:★★★

◆感想◆
「幽談」「冥談」に続く「 」談シリーズ第三弾。

不思議で怖くて怪異な物語の短編集だけれども、なんだか著者の意図がはっきりしててまんまり怖くない感じ。
出来事や展開は、それはそれは不条理感満載なんだけれど、ラストは感情的には不条理感なしで真っ当な落ち。
出来事は不条理だけど、内容はストレート。

作風がかわったのか、読む方がかわったのか。
それとも「幽談」や「冥談」も同じテイストの小説だったのか。
読んでるうちに今も昔もごっちゃになって、現実と虚構がないまぜになり、何が何やらわからなくなってくるのは本書に眩まされているのかも。

ここにおさめられている前短編を「世にも奇妙な物語」の原作にするっていうのもいいかも、なんて思ったり。
でもこの浮世離れした雰囲気をテレビドラマでかもし出すのは大変か。

相変わらず本の作りは凝っていて、題名をそんなはじっこに書かなくてもいいんじゃないの?みたいな。
文字が色付きだし、紙には薄く模様があるし、書体も「と」が「ご」に見えるし。
ことごとくが興味を惹く。
深い意図はわからないけど。

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噂の女/奥田英朗

◆読んだ本◆
・書名:噂の女
・著者:奥田英朗
・定価:1,500円
・出版社:新潮社
・発行日:2012/11/30

◆おすすめ度◆
・奥田式悪女小説度:★★★
・男ってしょうがない生き物度:★★★
・女は怖いねえ度:★★★

◆感想◆
地方の町を舞台にした、シニカルな悪女小説。男ってしょうがない生き物だねえ度と、女は怖いねえ度の高い連作長編小説。

美人じゃないけど肉感的で蠱惑的な女性・糸井美幸が主人公。
彼女の周りにはいつも男と黒い噂がつきまとう。
会ってみると、とたんにその色っぽさに惹かれてしまうという魔性の魅力を持つ彼女。
同性に対しても以外といい感じで、強気でしっかりした態度に女も惹かれてしまう人物。
いったい彼女の本性は?

「女は怖いねえ」と思う一方、へらへらと惑わされてしまう男もだらしないというかバカというか「頭の中はエロいことしかないのかよ」みたいな。
でもこれがそうなんだなあ、エロいことしか考えていないだなあ男は。
きれいなお姉ちゃんにちょっと「ニコッ」とされただけで、「ん、おれに気があるのか」と思っちゃう生き物なんだなあ。

そんな男たちを惑わせながら、自分の思うように生きようとする主人公に、共感する女性もいるかも?

コネや噂がはびこる刺激の少ない地方都市で、おのが欲望第一の人々が巻き起こす(大騒動じゃなくて)中騒動。

井川遥か井上和香。
主人公の糸井美幸はそんな感じです、はい。
近くでにっこりされたら、しっぽ振ってくっついていっちゃいます、はい。

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