だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

旅猫リポート/有川浩

◆読んだ本◆
・書名:旅猫リポート
・著者:有川浩
・定価:1,400円
・出版社:文芸春秋
・発行日:2012/11/15

◆おすすめ度◆
・男と野良猫のロードノベル度:★★★★
・本当はナナが主人公度:★★★★
・猫嫌いは号泣、猫好きは慟哭間違いなし度:★★★★★

◆感想◆
猫好きの主人公が、ひょんなことから付き合うことになった野良猫ナナと旅する、泣かせる連作短編集。

手塚治虫とか羽生善治とか松本人志とか、その世界で天才といわれている人がいるけれど、有川浩も言葉を操る魔術師的な天才に思えてきた。
「こうゆう物語を書こう」と思ったら、最適な構成と平易な文章と読者の心をつかむ描写を自動的に紡ぎ出すマシーン。
それが有川浩。
当然堅忍不抜とか不撓不屈とか横綱昇進四文字熟語な努力があっての有川浩だろうけど、それを感じさせない文章スタイル。
不自然さや齟齬のない展開で、物語がすすっと身体に入り込んじゃう。


主人公と野良猫ナナの出会いをプロローグに、やむにやまれぬ理由から、ナナの引き取り手を捜すことにした主人公。
引き取りに好感触な友人たちを、ナナと一緒に訪ね歩くというロードノベルな形式の小説だ。

人間関係の、そして人猫関係の機微が著者らしい筆致で描写されるんだけど、特徴的なのは猫のナナの視点で描かれるシーン。
これがステキだ。
ナナの野良猫とは思えない人情家ぶりに、愛猫家なら間違いなくのめり込んでしまうだろう。

ラストは、猫嫌いは号泣、猫好きは慟哭すること間違いなし。
それでも読んだ後爽やかな印象を残すのは、天才的プロ作家・有川浩ならでは。

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有川 浩『旅猫リポート』/文藝春秋 特設サイト
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一刀流無想剣 斬/月村了衛

◆読んだ本◆
・書名:一刀流無想剣 斬
・著者:月村了衛
・定価:1,500円
・出版社:講談社
・発行日:2012/10/29

◆おすすめ度◆
・戦国時代剣豪小説度:★★★
・血しぶきをあげる一刀流無想剣度:★★★★
・姫と小姓を命がけで守る神子上典膳の真意は?度:★★★

◆感想◆
謀反により命を狙われる澪姫と小姓の小弥太。たまさか通りかかった神子上典膳は、なぜか二人を命がけで助けるが…

戦国時代を舞台に、剣豪の神子上典膳が縁もゆかりもない少女と少年を助けるという、アクションエンターテイメントの王道な展開の剣豪チャンバラ小説。
次から次へとくる追っ手を振りきり、剣の達人と切り結び、絶体絶命の危機を乗り越える痛快にしてサバイバルなストーリー。
忍者みたいにアクロバティックなテクニックを使ったり思わぬ助けが現れたりと007なみの不死身さもさることながら、主人公・神子上典膳のかもし出すブラックなオーラも読みどころ。

機龍警察シリーズのようなやや重めの活劇風時代小説を期待したが、ちょっと違って軽めの剣豪小説。
と思いきや、ラストには予想を覆す展開もあったりして、それはそれで十分エンターテイメントなチャンバラ小説です。

「切落」「払捨刀」「夢想剣」などの極意に興味津々となるのはなんでだろう。
少年がチャンバラごっこに夢中となる気持ちが良くわかる。

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小野派一刀流/Wikipedia

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