だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

ディーセント・ワーク・ガーディアン/沢村凜

◆読んだ本◆
・書名:ディーセント・ワーク・ガーディアン
・著者:沢村凜
・定価:1,700円
・出版社:双葉社
・発行日:2012/1/22

◆おすすめ度◆
・超マニアック業種のミステリー小説度:★★★★
・建設業、製造業の安全担当者でミステリーファンは必読度:★★★★
・実際の労働基準監督署は小説と違うかも度:★★

◆感想◆
労働基準監督署に勤務する監督官を主役にした、超マニアックな建設業・製造業限定ミステリー連作短編集。

沢村凜というと、「黄金の王 白銀の王」とか「瞳の中の大河」などの読みごたえのある骨太ファンタジー作家というイメージだったけど、本書は読みごたえのある骨太マニアックミステリーといった内容。

なんたって主人公が労働基準監督署に勤務する監督官というのだから前代未聞。
いきなり「36協定」とか「足場の組立て等作業主任者」なんていう業界の専門用語が出てきて、建設業や製造業の安全管理などに従事したことのある人は「おおっ」と声をあげそうになるくらいのマニアックさ。
そっち方面のミステリーファンには、現場がリアルに想像できる小説なんである。

自分もそっち方面の仕事に従事していたことがあって、「整理整頓は安全の基本」にうなづいたり、「ティーチングプレイバック方式の産業ロボット」にハハンと思ったり、「是正勧告」におののいたり。
取材や下調べがバッチリなようで、違和感ないし。

だたマニアックだけのミステリーかというとそんなことはなくて、労働環境を改善しようとする主人公の考え方や行動、家族や友人たちとの関係ももじっくり描かれていて、読みごたえのある骨太な物語に。

でもなんで労働基準監督署なのかねえ。

ディーセント・ワーク・ガーディアン

沢村 凜 双葉社 2012-01-18
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労働基準監督署といえば製造業者にとってのおまわりさん的な存在。
法令違反すると逮捕されちゃうこともある恐い存在なんである。
本書に登場する監督官は人間味あふれる人物だけれど、実際はもっと事務的なキャリア官僚だったり、愛想のいいおっさん(を演じてる?)人だったり。

ま、新宿鮫みたいな刑事がいないのと同じで、労働者にたいしてこんなに密接に、真摯に対応する監督官はいないだろうけど。
ひょっとして「いるんだ」ということを著者はいいたかったのか?

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鮫島の貌 新宿鮫短編集/大沢在昌

◆読んだ本◆
・書名:鮫島の貌 新宿鮫短編集
・著者:大沢在昌
・定価:1,500円
・出版社:光文社
・発行日:2012/120

◆おすすめ度◆
・新宿鮫ファン必読のハードボイルド短編集度:★★★★
・鮫島、カッコ良すぎるぜ!度:★★★★
・桃井課長もカッコいいぞ!度:★★★★

◆感想◆
「古い話しに関連した短編だと、覚えていないから困っちゃう」なんて心配は無用の、新宿鮫シリーズ初の短編集。
カッコいい鮫島を堪能できるし、鮫島以外の桃井課長や晶などの脇役を主人公にした展開も鮮やか。

警察官としての矜持を守りつつ、汚いやり口にも鉄壁な防御を怠らず、それでいて人の心を量りながらスマートに対処する。

カッコ良すぎるぜ、鮫島!

やたらと殺人事件が起きる物語が多い中で、殺人事件が起きるわけでもなく、派手なアクションシーンがあるわけでもないのにきっちりハードボイルドしている。

うまいぞ、大沢在昌!

鮫島の貌 新宿鮫短編集

大沢在昌 光文社 2012-01-18
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10編の短編のうち「幼な馴染み」はちょっと異色だ。
と思ったら、人気作家が「こち亀」とコラボしたというユニークな企画本に掲載されていた短編。
他にも石田衣良、今野敏、柴田よしき、京極夏彦、逢坂剛、東野圭吾といった錚々たる人気作家が三画していて、こっちも読んでみたくなる。

こちら葛飾区亀有公園前派出所 小説

東野 圭吾 集英社 2007-05-25
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四次元温泉日記/宮田珠己

◆読んだ本◆
・書名:四次元温泉日記
・著者:宮田珠己
・定価:1,500円
・出版社:筑摩書房
・発行日:2011/12/5

◆おすすめ度◆
・温泉嫌いの温泉宿めぐり記度:★★★
・風変わりで笑えて含蓄のある温泉格言度:★★★
・迷路な宿の異世界度:★★

◆感想◆
温泉嫌いの著者が、温泉よりも宿の迷路度に深くのめり込む温泉旅行記。

熱いだの汚いだの脱いだり着たり面倒だの、温泉に入る意味を解さない著者は、泉質や効能なんかよりも、いかに行った温泉宿が迷路のようになっているかに眼を向ける。
「温泉選びの参考にはならないが、迷路宿選びの参考にはなる」というスタンスなんである。

とっても変でいいぞ。

ところが、温泉ツウのおじさん仲間とあちこちの温泉をめぐるうちに、「温泉で体を洗うなんて意味がないんです」「源泉かけ流しは、大地の力を浴びる、それと切り結ぶってことです」なんていう含蓄のある温泉格に半ば感化されて しまう。

うーむ、奥が深いぞ温泉。

本書はそんな(どんな?)温泉格言にうなりつつ、温泉宿がいかに迷路のような異世界かという「迷路宿度」をも楽しめるというヘンテコ温泉宿めぐり記なんである。
温泉好きにはすすめられないけれど、エンタメ・ノンフ好きの読者にはおすすめ。

ちょびっとだけ登場する著者の母親(70歳を過ぎているのに月の半分は旅行に行ったりしている!)の破天荒さにもビックリ。
是非母親の話しを読んでみたい。

四次元温泉日記

宮田 珠己 筑摩書房 2011-12-05
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「温泉には何もしないために行くのだ」と喝破する著者。

なるほど!
でも家にいても何もしない自分はどうすれば?

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迷宮警視正/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書名:迷宮警視正
・著者:戸梶圭太
・定価:657円
・出版社:徳間文庫
・発行日:2012/1/15

◆おすすめ度◆
・よくも悪くも予断を許さない警察小説度:★★
・もっと変なキャラにして度:★★
・B級激安な登場人物度:★★

◆感想◆
定時制高校の生徒が殺害される。捜査のため高校に乗り込んできた星野神警視正を見た熱血教師の小山は、「ドラキュラだ、こいつは」と苦々しく思うが…

トカジのヘンテコ激安警察小説。
比較的まともな印象だけど、ドラキュラっぽい星野神警視正が気を吐いてる。
トカジファンにしてみれば、もっと変で過激にしてもいいかもと思うところ。

物語は殺人事件を発端にして、アレやコレやの予断を許さない、というか、まったく予想できない展開に。
「血肉畜世界」の調査のためチュニジアに行った古矢刑事はどうなった?
ドーベルマンを2匹飼っている臓器コーディネイターは何者!?
星野神警視正に感化された高校生のその後が知りたい!
などなど、様々な積み残しや知りたいことや何でやねんなことをほったらかしにするトカジのスバラシさ。

ファンの方以外にはおすすめできない小説ですが、私は好きです。

迷宮警視正 ((徳間文庫))

戸梶圭太 徳間書店 2012-01-07
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by ヨメレバ

本書「迷宮警視正」も前作「孤島の誘拐」もいきなり文庫での出版。
京極夏彦や宮部みゆきのそれとは違って見えるぞ。
頑張れトカジ!
アマゾンで著者の本を検索すると、どの著書も在庫が数点しかなかったり品切れ状態だったりするけど、へこたれないで欲しいぞ。

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