だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

誰にも書ける一冊の本/荻原浩

◆読んだ本◆
・書名:誰にも書ける一冊の本
・著者:荻原浩
・定価:1,200円
・出版社:光文社
・発行日:2011/6/25

◆おすすめ度◆
・父の死とその生涯度:★★
・メランコリック度:★★
・自分の生涯はショートショートくらい?度:★★★

◆感想◆
母から、父が書き残した原稿を渡された主人公は、病院で生体情報モニタにつながっている父の脇で原稿を読みはじめるが・・・

仲が良いわけでもなく、かといって不仲でもなかった父子。
死の間際に、父親の人生に触れた主人公が感じたことは? なメランコリックな小説。

書き残した父の原稿と、息子である主人公目線の描写が交互に描かれ、それぞれの体験と思いが綴られる。
「父と息子」が「作家と編集者」に置き換えられるちょっとメタな雰囲気もありながら、北海道での開拓や戦争を追体験して行くうちに、知らなかった父親の一面が浮き上がる。

著者の本はメランコリックでレトロな雰囲気の物語が多いんだけど、本書もそんな感じ。

「自分の人生を本にしたらショートショート1編くらいにしかならないだろう」なんて思っている人に、「どっこいけっこうな厚みの本になるんだよ」と言っているようでもある。

誰にも書ける一冊の本 (テーマ競作小説「死様」)

荻原浩 光文社 2011-06-18
売り上げランキング : 8738
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本書は光文社が企画した、「死」をテーマにした競作シリーズの中の一作。
他にはダンスホール/佐藤正午、/白石一文、/土居伸光、海路/藤岡陽子、身も心も/盛田隆二がある。

全部読むと気持ちが暗くなりそう?

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NO.6〔ナンバーシックス〕#1~#9/あさのあつこ

◆読んだ本◆
・書名:NO.6〔ナンバーシックス〕#1~#9
・著者:あさのあつこ
・定価:950円×9巻=8,550円
・出版社:講談社
・発行日:2003/10/10~2011/6/13

◆おすすめ度◆
・児童向けSF冒険小説度:★★★★★
・大人向けSF冒険小説度:★★★★
・正義と偽善/自己満足と傲慢度:★★★★
・ハラハラドキドキ、ワクワクじんわり度:★★★★

◆感想◆
近未来の飢えや病気らか解放された理想的な都市「NO.6」。その中でもエリートだが住むことを許されたクロノスで、紫苑はネズミと呼ばれる少年をと、運命的な出会いをする・・・

足掛け8年に渡って刊行された「NO.6」がとうとう完結。
児童向けのSFアクション冒険小説だけど、児童にだけ読ませるのはもったいない出来上がり。
さすがだねえ、あさのあつこ。

物語は病気もなけれな飢えもない、幸せを絵に描いたような理想的都市である「NO.6」が舞台。
一見理想的なんだけど、その背景や管理する側の人間は真っ黒な心の人達が。
ひょんなことから出会うことになった「ネズミ」と名乗るミステリアスな少年と、エリート学生の紫苑。
相反する環境で育った二人が、固い友情(?)を育みながらNO.6の暗部に迫る!

愛あり友情あり、スリスとサスペンスの冒険アクション小説。
おまけに正義とはなにか、自分の行動に偽善や傲慢はないのか? といった児童書ならではのストレートな正義論も加わって、読み出したら止まらない面白小説に。

多くの正しい青少年に読んで欲しい物語だし、ついでにお父さんやお母さんも楽しめるお買い得本だ。

今なら#1~#6までは文庫で読めます。
#6まで読んだら、#7~#9が文庫化するまで絶対待てずに単行本を買うこと請け合い。

NO.6〔ナンバーシックス〕#1 (YA!ENTERTAINMENT)

あさの あつこ 講談社 2003-10-11
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本書が刊行されはじめた頃、3巻までは発行後すぐに読んでいたんだけど、「全部揃ってから読まないとフラストレーションたまりまくりだ!」と思って#9が発行されてから一気通貫。

やっぱり面白い長編は一気読みに限る!

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絆回廊 新宿鮫X/大沢在昌

◆読んだ本◆
・書名:絆回廊 新宿鮫X
・著者:大沢在昌
・定価:1,600円
・出版社:光文社
・発行日:2011/6/10

◆おすすめ度◆
・ハードボイルド小説度:★★★★
・新宿鮫シリーズの集大成な雰囲気度:★★★★
・思わぬ大展開度:★★★★

◆感想◆
新宿署の鮫島にヤクの取引現場を押さえられそうになった露崎は、鮫島に情報の提供を持ちかける。それは不気味な大男が警察官殺しを計画しているというものだった・・・

新宿鮫シリーズもとうとう10巻目。
1巻が1990年の発行だから、21年に渡って続いているんだなあ。
なんて感慨深くなるのも、なにやら新宿鮫シリーズの集大成な雰囲気が序盤から濃厚だから。

過去の事件を背景にして、新宿に巣食うヤクザや中国組織や警察機構の確執を描き、さらに鮫島や桃井課長、そして警官殺しを計画する大男、さらには鮫島の恋人・晶との濃密で息詰まるような人間関係を描き出す。

ハードボイルドだねえ。

過去のあんな事件やこんな出来事がチラチラと錯綜する展開で、「絆回廊 新宿鮫X」でシリーズ完結か?! と思わせる内容になってる。
実際は完結しないけど。

前作「狼花 新宿鮫9」から5年ぶりのシリーズ最新作は、期待を裏切らない出来。
ファンはお見逃しなく!

絆回廊 新宿鮫Ⅹ

大沢在昌 光文社 2011-06-03
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「絆回廊 新宿鮫X」はハードボイルドな小説には違いないだろうけど、かつての新宿鮫に比べると、いささか硬さもやわらいだような。
ゆで卵でいえば、初期は「固ゆで卵」、「絆回廊 新宿鮫X」は「半熟卵」かな。

ちなみにゆで卵を柔らかい順に列挙すると、
 温泉卵 半熟卵 ゆで卵 固ゆで卵 煮卵
です。(ウソです)

◆他サイトの感想など◆
ほぼ日刊イトイ新聞 - 絆回廊 新宿鮫X
朴念仁と居候
小説『絆回廊 新宿鮫X』 大沢在昌による「前半」あらすじ朗読

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真夏の方程式/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:真夏の方程式
・著者:東野圭吾
・定価:1,619円
・出版社:文芸春秋
・発行日:2011/6/6

◆おすすめ度◆
・完全無欠のミステリー小説度:★★★★★
・少年の夏休み/遠い過去の事件/つながる点と点度:★★★★
・湯川博士が福山雅治度:★★★

◆感想◆
美しい海だけが取り柄となってしまった寂れた観光地。少年は夏休みを、親戚が経営する旅館でる旅館で過ごすことになったが・・・

美しいを守ろうとする地元の青年たちと、海底鉱床の探査計画を進めようとする開発業者。
夏休みをここで過ごすことになった少年と、探査計画の推進派として参加していた湯川との出会い。
探査計画の公聴会に出席していた男性の事故死と、旅館の経営者夫婦の娘。

男性の事故死を調査していくに従い、遠い過去の事件が関係していることが分かってきて・・・
といった展開の、物理学者湯川学を主人公にしたミステリー小説。

もう完璧です。
小説にブレがありません。
人物は描けてるし、謎を解き明かす過程も見事だし、ブラフなしで伏線をきちんと回収してるし、海はきれいだし、ペットボトルロケットは飛ぶし、少年は成長していくし、娘は生きる目標を得るし。

だた湯川が登場すると、どうしても福山雅治の顔が思い浮かんでしまう。
ウーム。

真夏の方程式

東野 圭吾 文藝春秋 2011-06-06
売り上げランキング : 13
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本屋には「真夏の方程式」が山積み。
よく見ると輪ゴムで小冊子が留めてるのとそうではないのと。
店員に訊くと小冊子はおまけとのこと。
迷わずおまけ付きの本を選択する。

おまけは「東野圭吾公式ガイド」と表記された、東野圭吾公の全タイトルを著者のコメント付きで紹介したもの。
これは東野圭吾初心者に便利かも。
出版社の枠を超えて編集した文芸春秋もエラい。
と思ったら、以前無料で発行された講談社の公式ガイドの使い回しのよう。
ウーム。

◆過去の湯川学が主人公の長編ガリレオシリーズの記事◆
容疑者Xの献身
聖女の救済

◆他サイトの感想など◆
東野圭吾『真夏の方程式』 文藝春秋 特設サイト
〈探偵ガリレオ〉最新刊登場!/WEB本の雑誌

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クロノリス-時の碑-/ロバート・チャールズ・ウィルスン

◆読んだ本◆
・書名:クロノリス-時の碑-
・著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン
・定価:1,100円
・出版社:創元SF文庫
・発行日:2011/5/31

◆おすすめ度◆
・破天荒SF小説度:★★★
・登場人物のドラマチックな運命度:★★★
・どうなる?どうなる!度:★★★

◆感想◆
20年先の未来から送り込まれる巨大な塔:クロノリス。その出現時のエネルギーで破壊される都市。いったい誰が? 何を目的に?

傑作「時間封鎖」の著者がおくる破天荒なSF小説。
出だしはわくわくドキドキで、「これからどう展開するんだ?」感いっぱいで期待高。
でも中盤から、登場人物の人間ドラマがメインな展開で(それはそれで面白いし、物語の核となる展開なんだが)、ややトーンダウン。
なんか「時間封鎖」と似た雰囲気の展開だ。

物語を貫くテーマは、本書の中にある「未来とは人びとの期待が現実化して形成されるもの」という文言に現れていて、決定論とか因果律とか人間原理とかを思い起こさせるもの。
まあ、人生は決まっているものではなくて、自分で造り上げるものということだなあ。
そうじゃなきゃ、やってられないしね。

クロノリス-時の碑- (創元SF文庫)

ロバート・チャールズ・ウィルスン 東京創元社 2011-05-28
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「クロノリス」はキャンベル記念賞受賞作というふれこみだけど、ほぼ同時期に出版された「ねじまき少女」はヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、キャンペル記念賞を受賞したという鳴り物入りのSF小説。
出だしはどちらも舞台がタイだったりして、「ねじまき少女」も期待して読みはじめたんだけど・・・

若い時は肉が大好きだったのが、歳を取ると和食を好んだり。
新製品が出ると飛びつくように買っていたのが「別にフェイスブックとかできなくていいし」と思うようになったり。

要は「ねじまき少女」を面白く感じない自分は、もう思考が初老なのかと。
う~む。

◆他サイトの感想など◆
堺三保/ロバート・チャールズ・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』解説/東京創元社
クロノリス-時の碑-(本が好き!)/livedoor ニュース

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