だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

デパートへ行こう!/真保裕一

◆読んだ本◆
・書名:デパートへ行こう!
・著者:真保裕一
・定価:1,600円
・出版社:講談社
・発行日:2009/8/25

◆おすすめ度◆
・夜のデーパートで起きる大騒動度:★★★
・登場人物全員が主人公度:★★★
・ハラハラドキドキほろっ度:★★★

◆感想◆
リストラされ家族にも見放されたおじさん、若い男女のカップル、ヤクザに追われる男、彼らがそれぞれに目指したのは老舗のデパート鈴膳だった・・・

様々な訳ありの登場人物にくわえ、老舗デパート鈴膳の社長や警備員などが織りなす、一夜の大騒動。
はじめは何の繋がりもないようにみえる登場人物たちの関係が、だんだんと繋がってきて最後には!

登場人物全員が主人公という設定と、それを繋いでいく人物の相関関係。
著者はだいぶ苦労しただろうと思わせる。
でもそれを無理なく展開して収束させるのは、さすが真保裕一。
なんか、戯曲にアレンジしてどっかで上演されそうな内容でもあるぞ。
登場人物一人ひとりがきっちり描かれているし、展開もうまい。
ただ一人一人にさけるボリュームが少なくなって、やや書き込み不足な感じもする。

読後は爽やか!
もうちょっとコミカルにしたら、なお面白かったかも。


デパートへ行こう!
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全員が主人公というと井上夢人の「99人の最終電車」を思い出す。
これはなかなか凝ったウエブ小説で、それこそ全員が主人公。
登場人物ごとにもよめるし、時系列に沿って読むこともできるという、ウエブならではの小説だ。
いまでも無料で読めるので、興味のある方は是非!


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フリーター、家を買う/有川浩

◆読んだ本◆
・書名:フリーター、家を買う
・著者:有川浩
・定価:1,400円
・出版社:幻冬舍
・発行日:2009/8/25

◆おすすめ度◆
・フリーターの一念発起物語度:★★★★
・いい仲間と素敵な家族と仕事のやりがいを築くまで度:★★★★
・驚くほどうまくいく人生度:★★★

◆感想◆
せっかく就職したのに数ヶ月で会社を辞め、フリーター状態でワガママ生活を送っていた武誠治。母親の病気をきっかけに、一念発起するが・・・

単純明快なストーリーなのに、それなりに面白く読めちゃう有川浩の小説。
読者の気持ちを掴むのが上手なんだな。
あっさり会社を辞めてしまう武誠治の自己満足のプライドがあっさり崩れさるシーンや、父親のガチガチ融通きかない自己中ぶりなど、はじめはワガママな登場人物たちを一転ナイスガイに変身させる手腕。 ちょっと出来過ぎのきらいはあるが、うまい展開だ。

強気のお姉さんや仕事仲間などの脇役も充分で、読みはじめるとあっというまに読み終わっちゃう面白さ。

妙な仕掛けや鬱屈した登場人物がいない単純明快さがいいんだろうな。


フリーター、家を買う。
フリーター、家を買う。有川 浩

おすすめ平均
stars登場人物の性格設定が...
stars気付かない一歩一歩の行く末。
stars予定調和もまたよし
stars大人になったら見えること
starsトラウマを真っ当な方法で克服するストーリー。

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主人公武誠治のお母さんが、病気のために上体をふらふらと揺らめかすシーン。
宮部みゆきの小説にも同じようなシーンがあったなあ。なんていう題名だか忘れたけど。
精神的な病気を患うと、上体を揺らすような症状が出るのだろうか。
妙に気になる。


◆他サイトの感想◆
怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】
趣味は読書(自称)
炎帝月帝(屋根裏部屋)

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オイアウエ漂流記/荻原浩

◆読んだ本◆
・書名:オイアウエ漂流記
・著者:荻原浩
・定価:1,700円
・出版社:新潮社
・発行日:2009/8/20

◆おすすめ度◆
・ユーモア漂流記度:★★★★
・無人島でのサバイバル生活度:★★★★
・マンガチックな登場人物たち度:★★★

◆感想◆
オンボロ飛行機が海上に不時着! 搭乗していた10人はやっとの思いで島にたどり着くが・・・

無人島にたどり着いたサラリーマンの上司と部下、さらにそのスポンサーの御曹司。新婚旅行中の夫婦。老人と孫の小学生。謎の外国人。
彼らの無人島サバイバルはどうなるのかっ! という無人島サバイバルもの。

といっても、そんなに肩肘はって読むような小説ではない。
著者らしい、ちょっとシリアスでちょっと笑えてちょっと心温まる漂流記に出来上がっているから、安心して読める。

どうやって火をおこすかとか、食料はどうするかとか、水はどうするかとか。
無人島で生き抜くために、色んな問題をどうやって解決するのかが、コミカルに描かれる。

ボーイスカウトのキャンプ気分を小説にしたような感じかな。


オイアウエ漂流記
オイアウエ漂流記


先日読んだ「獣の奏者」がすんごく面白かったので、上橋菜穂子の「守り人」シリーズを大人買いして一気読み。
あー、面白かったなあ。
女用心棒バルサ、ステキだ!
全体に流れる大河小説のようなテーマにも心奪われる。
読み終わって数日経つのに、いまだ物語の世界から抜けきれない。
力のある物語を読むと、気持ちがとらわれてしまう。

「オイアウエ漂流記」を読んでいても、「こんな分からず屋の部長なんて、バルサの短槍でぶん殴ってやれば!」とか思うほど。

うーむ、ナユグからサグへ早く戻ってこないとまずいか。
(って「守り人」を読んでないと何言ってんだかわかんないよね)


◆他サイトの感想◆
EDGE Book Sensor~野生を目覚めさせる3冊

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フラグメント 超進化生物の島/ウォーレン・フェイ

◆読んだ本◆
・書名:フラグメント 超進化生物の島
・著者:ウォーレン・フェイ
・定価:1,800円
・出版社:早川書房
・発行日:2009/8/15

◆おすすめ度◆
・B級サバイバルアクション小説度:
・凶暴な生物との死力の戦い度:
・血湧き肉躍るはずなのに、何故か眠くなる度:★★★★★

◆感想◆
科学番組制作のために南太平洋を航海していたトライデント号は、緊急遭難信号をキャッチする。そこは海洋図に掲載されていない、有史以来人間が数回しか訪れていない小島だった・・・

ガラパゴス諸島のような隔絶された島で独自に進化した生物たち。それはとてつもない繁殖力と凶暴さを備えた怪物だった!! 島に向かったクルーたちは、地獄のような体験をするっ!!
まるでB級ホラーサスペンス怪物映画そのまんまの展開。

帯に「マイクル・クライトンに比肩する」とあるけど、背比べするのはちょっと無理なくらいB級。
「映画化」されるのを前提にしたようなビックリ怪獣やトンデモ展開に、ややげんなりだ。

血湧き肉躍るはずのサバイバルアクションものなのに、本書を読んでると、なぜか午後の数学の授業みたいに眠くなる。
翻訳された文章もなんか変だし。
寝苦しい夜でも、読みはじめるとあっというまに熟睡できるのは特筆もの。
これホント。不思議とすぐ寝れる。


フラグメント超進化生物の島 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
フラグメント超進化生物の島 (ハヤカワ・ノヴェルズ)ウォーレン・フェイ 漆原 敦子

おすすめ平均
starsリアリティの問題
stars良くも悪くも映画的
stars怪獣好きにはオススメ

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むかしはディーン・R・クーンツの「戦慄のシャドウファイア」とか「ファントム」とかを面白く読んでいたけど、今読むと「フラグメント 超進化生物の島」を読んだのと同じような感想になるんだろうか?

本書だってSF・ホラー・冒険小説好きの少年が読めば、貪るように挿絵を見つめるかもしれないな。
今の自分には、ただただ眠い本だったけど。


◆他サイトの感想◆
全読書リプレイ


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獣の奏者/上橋菜穂子

◆読んだ本◆
・書名:獣の奏者 1~4
・著者:上橋菜穂子
・定価:第1巻660円(文庫版) 第2巻730円(文庫版) 第3,4巻 各1,600円
・出版社:講談社
・発行日:第1,2巻 2006/11 第3,4巻 2009/8/10

◆おすすめ度◆
・一気読み間違いなしのスペクタクルファンタジー度:★★★★★
・ある女性と孤高の動物の物語度:★★★★★
・人と人との絆/人と生き物との絆度:★★★★★
・知識とそれを利用する権力度:★★★★★

◆感想◆
リョザ神王国の闘蛇村に住む少女エリン。多くの闘蛇が突然死んだことかの責任を問われ、彼女の母は処刑される。母を助けようとした少女エリンは、難を逃れるが・・・


毎年夏になると何故か読み返す「十二国記」シリーズ。今年は「月の影 影の海」を再読して、「こうゆうメチャ面白いファンタジーを読みたいなぁ」と思っている時に「本の雑誌」に紹介されていた「獣の奏者」。
面白そうだなと思って購入し、読みはじめたら止められない。
メチャメチャ面白いぞ!!

物語は獣たちと心を通じ合わせようとするエリンが主人公。
彼女が様々な経験をして、「闘蛇」「王獣」という戦闘用の猛獣と心を通わせようとするのが第1巻[闘蛇編]、第2巻[王獣編]。
それから10年後、「闘蛇」や「王獣」についての知識が、国の戦力として徴用されそうになり、エリンが悩み苦悩するのが第3巻[探求編]、第4巻[完結編]。

物語には、自然の中で動植物につて様々な知識を得ていくエリンの姿や、彼女の母親との切ない思い出や、王獣という孤高の猛獣の描写や、過去に起きた災いの物語や、エリンと友人,家族との絆や、国を治める王の苦悩する姿とか、ファンタジーならではの出来事が盛りだくさん。
でもその一つ一つがリアルに描かれる。
物語のダイナミックさと、それをリアルに見せる著者の描写力が素晴らしい!

でも何といっても一番なのは、エリンと王獣の関係。
ひと噛みで人間の身体をまっぷたつにする力を持ち、大きな翼で空を翔る王獣。
本来は山奥に棲息し、あたかも獣たちの王様のごとく美しくそして孤高の生き物。
人知を受け付けない王獣と、心を通わせようとするエリンがステキだ。
動物小説が好きな方には、たまらない展開かも。

後半はエリンのもつ王獣に関しての知識が、軍事に徴用されそうになり、といった展開に発展。
獣たちが戦闘に供されることに深く悩むエリン。
人は争いをやめることができない動物なのか、といった反戦的なメッセージを込めながら、怒濤のクライマックスに流れ込んでいく。


第1巻と第2巻は、2006年に刊行されて、実はそこで完結していたんだけど、大人の事情?とかで第3巻と第4巻が刊行。
ま、それだけ面白いってことだ。

児童向けのファンタジーという位置付けだけど、子供だけに読ませるのはもったいない。
あまねくろうにゃくにゃんにょに読んで欲しいし、特に娘であり、子を持つ母である女性にも読んで欲しい小説だっ。


獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)
獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)
おすすめ平均
stars掛け値なしに面白い!
stars王獣編も読んでください
starsなぜこんなにも心が打たれたのだろう
starsはまります
starsとにかく読むこと

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獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)
獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)
おすすめ平均
stars徹底した世界観、すばらしいストーリー構成
stars表現がうまい!
stars読み応えのある1冊
stars時が立つのを忘れる
starsおすすめです!

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獣の奏者 (3)探求編
獣の奏者 (3)探求編
おすすめ平均
stars真実を追い求めるエリン、そして苦悩の選択・・・
stars強引。
stars素晴らしい作品
stars圧倒的な面白さ
stars母エリン

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獣の奏者 (4)完結編
獣の奏者 (4)完結編
おすすめ平均
stars読書のたのしみ
stars和製ファンタジーの底力
starsちょっと
stars結末が左翼っぽくて残念
stars心にどっしりと響く作品です。

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獣の奏者のような寝食を忘れて読みふけってしまう小説に出会うと、読み終えるのがもったいなくなる。 でも今回は大丈夫。
著者の上橋菜穂子には、本書に勝るとも劣らない「守り人シリーズ」があるのだ。
当分楽しめるぞ。
アマゾンで大人買いしちゃったし。


◆他サイトの感想◆
WEB本の雑誌

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神国崩壊 探偵府と四つの綺譚/獅子宮敏彦

◆読んだ本◆
・書名:神国崩壊 探偵府と四つの綺譚
・著者:獅子宮敏彦
・定価:1,900円
・出版社:原書房
・発行日:2009/5/25

◆おすすめ度◆
・異世界ミステリー度:★★
・びっくり仰天の謎度:★★
・舞台が中国っぽくてステキ度:★★★

◆感想◆
宮城で皇帝の側近が殺される。そこにはある「禁書」が関わってた。調べを進めるうち、禁書に描かれた不思議な出来事が明らかになって・・・

むかしの中国っぽい戦国の異世界で起きるトンデモミステリー。
忠誠心にない者は浴びると死んでしまうという「神の水」。
高い城壁をすり抜ける騎馬軍。
消失し、さらに蘇る都市。
そんなトンデモな出来事をミステリーの手法で解き明かす連作集。

ミステリーとしては、舞台装置が派手なだけで、さほど奇抜という訳ではないような。
いささか納得しずらいところもあるし。
それよりも著者の力点は、著者があとがきでも書いているように「中国風の王朝とモンゴル風の騎馬民族国家」という異世界の構築にあるようにも思える。
時代背景や登場人物が細かく描かれるけど、まあ、謎とその解明には関係ない部分も多いし。
ちょっとチグハグ?
はじめは一所懸命登場人物相関図を書いていたけど、雰囲気だけ分かれば問題ないようなので、後半は書くのやめちゃったし。

歴史物がお好きな方には、毛色の変わった歴史ものとして楽しめるか。
ミステリー好きの方には、やや物足りないかも。
歴史物が苦手で、ミステリーっぽい小説が好きな自分には、ちょっと不向きな小説であった。


神国崩壊―探偵府と四つの綺譚 (ミステリー・リーグ)
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◆他サイトの感想◆
棒日記VI
ラピスへのひとりごと
ミステリっぽい本とプログレっぽい音樂

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無限記憶/ロバート・チャールズ・ウィルスン

◆読んだ本◆
・書名:無限記憶
・著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン
・定価:1,240円
・出版社:創元SF文庫
・発行日:2009/7/31

◆おすすめ度◆
・気宇壮大なSF度:★★★★
・前作「時間封鎖」と次作完結編「Vortex」の中継ぎ度:★★★★
・仮定体の正体と目的は!度:★★★★

◆感想◆
地球人類が「アーチ」をくぐり抜け、「新世界」に移住をはじめて30年。この新世界に不思議な能力を持つ子供が生まれていた。その少年アイザックに会うため、一人の老女が砂漠の中の集落を訪れる・・・

前作「時間封鎖」の続編。
仮定体の目的はなにか? その構造は? 人類に対して何をしようとしているのか!? といった前作「時間封鎖」での未解決事項を進展させる展開が、本書「無限記憶」の内容。
登場する人物たちは、特殊な能力を持つ少年アイザックを中心に、仮定体の謎に迫って行く。

ただ本書はあくまでも「時間封鎖」と完結編「Vortex」の中継ぎだ。
仮定体の姿がつまびらかになる訳じゃない。それは「Vortex」のお楽しみ。
うーん、早く完結編が読みたいぞ。

そんな中途半端で欲求不満のたまる本書ではあるが、仮定体の活動として起きる奇抜な事象に目を奪われるし(いささか陳腐でチープな感はあるが)、仮定体の謎を宇宙規模でひっぱり回して読者を幻惑させる展開に、おもわず夢中で読んでしまう。

やっぱりSFって面白いよなあ。
普通なら想像もしないような風景や出来事や世界観を、リアルに見せてくれる小説。
現実の些事から解放してくれるし、人間の小ささを見せつけてくれる。

宇宙は無限だあっ!


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ジェファーソン・ナショナル・エクスパンション・メモリアル/Wikipedia


地球と未知の惑星「新世界」を繋ぐアーチは、全体を一望するには宇宙から撮影された写真が必要という規模のデカさ。
ちょっと想像を絶するが、イメージするにはアメリカセントルイス市にあるゲートウェイ・アーチがいいかも。

小説の中のアーチに比べたら月とスッポンだけど、写真で見るだけでも結構な異世界感がある。


無限記憶 (創元SF文庫)
無限記憶 (創元SF文庫)茂木 健


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