だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

笑うヤシュ・クック・モ/沢村凜

◆読んだ本◆
・書 名:笑うヤシュ・クック・モ
・著 者:沢村凜
・出版社:双葉社
・定 価:1,700円
・発行日:2008/11/23

◆評価◆
・ちょっとファンタジックなミステリー度:★★
・友達いろいろ、人生色々度:★★
・マヤ文明との不思議?な関係度:★★

◆感想◆
大学を卒業してから10年ぶりの同窓会。久しぶりに会った5人は、とあるきっかけでサッカーくじを1枚購入する。翌日サッカーの試合結果を確認すると、全試合の予想が当たっている事が分かり!・・・

本屋の平台に置かれていた本書。「沢村凜」、どっかで見た事あるなあ、と本の奥付を見ると「黄金の王 白銀の王」の著者だ。あれは面白かったなあ。
ということで購入。

出だしは、ミステリアスで上出来だ。
みんなの記憶では1等になっているはずのサッカーくじが、何故か1つの試合の予想だけが記憶と違っていて2等になっている不思議。
さらに、そんなはずはないと、たまたま撮ったくじの写真を現像すると、全然知らない女性の写真に入れ替わっているという不思議。

何故くじの予想が変わってしまったのか。それにくじの写真が写っているはずの写真までなくなっている!

なんで?なんで?の興味が原動力となって、どんどん読み進むけど、物語の展開とは別の所に違和感が。

うーむ。
ちゃんとディテールの辻褄は合っているし、謎を解き明かす過程も面白いんだけどなあ。
ややご都合主義のところも弱点だし、マヤ文明と無理矢理関係づけているのも説得力に欠けるけど、一番の違和感は主人公たちの関係にブレがあることかな。

学生時代の友人という設定のわりには、疑心暗鬼になって互いに疑り合ったりするし、そうかと思うと親友のような振る舞いをしたり。
それぞれが社会に出て、挫折や苦しみを味わっているからこその疑心暗鬼なんだろうけど、それは仲間に抱く感情ではないような。

「男5人の旧友」ではなくて「女5人の同級生」にしといた方が良かった。
そんなに強い友情はなかった、ということでね。



DSC06778.jpg
マヤ遺跡探訪



物語の展開と微妙にシンクロするマヤ文明の神殿。
ピラミッドやなんかもそうだけど、むかしの人はよくもこんなデカクて高い構造物を作ったなあ。
でも、今もそうか。
巨大なビルや塔。高さを争うように建築されてるし。

「大きく」「高く」というのは人の本能なのか? 権威誇示する象徴なのか?

たしかに「小さく」「深く」というのはあんまりはやらないような気もする。
高いビルを見ると、意味なく「おおっ」とか言っちゃうしな。



笑うヤシュ・クック・モ/沢村凜の表紙
 

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

土井徹先生の診療事件簿/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書 名:土井徹先生の診療事件簿
・著 者:五十嵐貴久
・出版社:幻冬舍
・定 価:1,400円
・発行日:2008/11/10

◆評価◆
・少年向けミステリー短編集度:★★★
・暇な女性副警察所長と温和な獣医とその孫のトリオで解決度:★★
・獣医が解き明かす事件の真相度:★★★

◆感想◆
新米女性警察官なのに、訳ありで南武蔵野署の副所長という役職についた立花令子。とくだんやることもなく、彼女は毎日暇を持て余し気味。
そこにひょんな事で獣医の土井徹、その孫桃子と知り合う。令子は仲良くなった土井先生に事件の相談をするようになり・・・

単純に解決するように見える事件も、動物と話しができる?という土井先生の知識と見識で違った展開が見えてくる、という動物の詳しい知識をキーにしたミステリー連作集。

先日読んだ「ガリレオの苦悩」もそうだけど、専門的な技術や知識を利用したトリックが流行ってるのかな。
普通の人が見たり考えたりしても解き明かせない謎。
専門的な知識がないとわからないトリック。

普通のトリックなら「なるほど、これは一本取られた(膝ポン!)」みたいな感じになるが、あまりにもディープなトリックなど「ふーん、そうなんだ(頭ポリポリ)」って感じで、説得力に欠ける。
謎解きが小説のメインではないからそれでもいいし、トカゲ類の水の飲み方とかナキオカヤドカリについても学習できて、飲み屋で自慢できる(?)からいいけど。

ということで、そんな動物の詳しい生態とかも分かっちゃうミステリー短編集。
動物好きの方には、著者とのマニアックな知識比べができていいかも。

読みやすく癖のない著者の小説は読者を選ばないが、本書はさらに単純明快な展開で、どちらかというと若年層向きかな。



狼少女
不思議館~史実に隠された衝撃的な話~ 狼に育てられた少女


本書に登場する温和な獣医土井先生は、孫の桃子によると「動物と話せる」という設定だ。
動物が何を考えているのか分かる。スバラシい!

この設置で思い出したのは、赤ん坊の時に捨てられ、狼に育てられた「狼少女」の話し。
動物と一緒に育てば、その動物と心が通い合い、意思の疎通ができるようになるかもしれないぞ。 オレはやだけど。
それに日本語を覚えられないし。



土井徹先生の診療事件簿/五十嵐貴久の表紙
 

◆他サイトの感想◆
最後の本たちの国で
チャウ子のそれでも本を読むのだ
待ち合わせは本屋さんで


テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

ちょいな人々/荻原浩

◆読んだ本◆
・書 名:ちょいな人々
・著 者:荻原浩
・出版社:文芸春秋
・定 価:1,524円
・発行日:2008/10/30

◆評価◆
・シニカルなユーモア短編小説度:★★★★
・おバカで、もうちょういな登場人物度:★★★★
・このくらいが幸せ度:★★★★

◆感想◆
中途半端な仕事をする新人女子社員に、まんまと手玉に取られる中年管理職。お隣のじいさんを目の敵にするガーデニング初心者主婦。脱サラした冴えない占い師。
世の中にごまんといそうな、もうちょいの人たちを主人公にした短編集。

なんかちょっと暗そうで陰湿そうだが、それを笑える小説に転化する著者のテクニック! すばらしい。
ストレートに書けばダメオヤジ、高慢ちきババア、うだつの上がらぬ脱サラ男となってしまう所を、巧みな展開とジョークでユーモア小説にしている。
背景に登場人物の「ダメダメ性格」があるだけに、ちょっとシニカルだ。
でもそこがまた味になっている。


本書には7つの短編があるが、どれもぴりりと辛い風味づけ。甲乙付けがたい出来だ。
おじさんの自分は、表題作「ちょいな人々」に共感。
主人公の井上課長は、部下の瑠璃ちゃんに「きゃうーん、おヒゲがセクシーぃ」とか言われてヘロヘロに。仕事のミスを叱り飛ばさなければならないのに、優しく接してしまうのである。
若い子におだてられると、なんでヘラヘラしちゃうのかなぁ。
男っていくつになってもバカなのねぇ~

いじめに合ってる人には「いじめ電話相談室」がオススメだ。
こんな撃退法もあるのね。
それにしても、この皮肉った「転」とスカッとした「結」はウマイ!

「犬猫語完全翻訳機」は星新一のショートショートみたいだ。
オス猫のダイゴロウのしゃべりが抜群に面白い!
自分の夢にダイゴロウが出てきて、小説の台詞と同じ事をいってるのに大笑いするくらい面白い!
(自分の笑い声で目が覚めた)


少々お疲れ気味の人たちにオススメだっ!



シャツ
イケてるでしょ?


「ちょいな人々」の主人公井上課長が、「ノーネクタイの日」に何を着て会社にいけばいいのか迷うシーンがある。
「中年男はシャツをズボンの中に入れるべきか、出すべきか。中年男のジーパンにジャケットはオーケーか」

自分も「シャツはスボンの中か外か問題」で迷った末、「外」で出かけた事があった。
風通しもよく、爽快な感じだったのだが、途中でお腹がゴロゴロいいだして!
急いで帰宅しトイレに直行。危うく漏らすとこだった。

それ以来「シャツはスボンの中か外か問題」は、迷うことなく「中」を選択している。


ちょいな人々/荻原浩の表紙
 

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

ガリレオの苦悩/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書 名:ガリレオの苦悩
・著 者:東野圭吾
・出版社:文芸春秋
・定 価:1,524円
・発行日:2008/10/25

◆評価◆
・納得の短編ミステリー度:★★★★
・科学なエンターテイメント度:★★★★
・完全犯罪をめざす犯人と湯川の対決度:★★★★

◆感想◆
聖女の救済」と同時刊行された本書は、天才物理学者「湯川」他、いつものメンバーが登場する科学的な謎解きミステリー短編集。

事件の解決は難しい科学的理論や手法が!
これじゃあいくら推理しても、知ってる人にしか分からないぞ!
著者はどうやってマニアックな知識を得ているのか、そっちの方が気になる。

でもそれだけで終わらないのが著者ならでは。
ちゃんと人間を描いているし、犯罪を犯す人の気持ちとか心理とかも描写している。
犯罪の科学的な解決と動機的な解決、両方に配慮しているがエライ!
忙しくったってガリレオと同じように手は抜かない! みたいな。

最新科学に食わしかったり科学実験好きの方は、湯川に負けないよう推理するのも一考だ。


ホログラム
久保田ホログラム工房



リップマンホログラムという平面画像を立体的に見せる技術が、本書の中でトリックとして使われている。
キャッシュカードとかお札とかについてるヤツね。

原理とかちょっと読んだけど、さっぱりだ。
でもこうゆう技術が発展して、本や雑誌に掲載される写真とかが立体的になったら嬉しいぞ!

風景写真とかが奥行きのある景色として見られたらステキだ。
(本当はもっと違ったものも見たい気がするけど)


ガリレオの苦悩/東野圭吾の表紙
 

◆他サイトの感想◆
煩悩ダンスホール
チャウ子のそれでも本を読むのだ
(暫定)DUST BOX


テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

聖女の救済/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書 名:聖女の救済
・著 者:東野圭吾
・出版社:文芸春秋
・定 価:1,619円
・発行日:2008/10/25

◆評価◆
・納得のミステリー度:★★★★
・読み出したら止まらないエンターテイメント度:★★★★★
・湯川が福山雅治(TVの力)度:★★★★

◆感想◆
「子供を持てないのなら、結婚生活自体に意味がない。」そういってはばからない夫の義孝。子供を産む事は綾音自身の夢でもあった。だがどういう神の悪戯か、その能力に恵まれなかった。綾音は化粧台の引き出しに隠してある白い粉のことを思い浮かべた。あれを使うしかなさそうだ。もはや自分の前に光はない・・・

売れっ子人気ミステリー作家の東野圭吾。
忙しいだろうに、「ガリレオ」シリーズ2冊を同時刊行するという活躍ぶり。
それでもきちんと手を抜かずに書いている所はさすがだ。

本書は犯人の綾音が、夫を殺害したその方法を、天才物理学者湯川が解き明かすという筋立て。
もう読みはじめたらやめられない面白さ。


子供ができないため離婚しようとする夫を殺害するのは、ちょっと飛躍し過ぎじゃないか、とか思いつつ読みはじめる。
登場人物は少ないし、犯人は最初に提示されてるし、これをどうやって読者に納得させるかが本書の読みどころ。
本当の動機は? 殺害の方法は??

さすがに展開はみごとで、花とかタペストリーとかの小物をちりばめながら、いやがおうにも結末を知りたくなる。
はたして広げた大風呂敷をきちんとたためるのか!?

ま、それは読んでのお楽しみ。
おれは十分楽しめた。


スプリング8
スプリング8


「聖女の救済」には、理論家でやや偏屈な天才物理学者「湯川」が登場する。
彼の理論的な考えが事件を解決に導くのだが、どうもこの湯川が「福山雅治」とだぶってしょうがない。

シリーズ前作「容疑者Xの献身」を読んだ時には、さほど偏屈でもなかったような記憶がするんだが(登場する場面はすくなかったけど)、なんかテレビで福山雅治扮する湯川と同じに見える。
あえてそう書いているのかな。
著者のおふざけで「福山雅治」という言葉も小説に出てくるし。

これも読者サービス?


聖女の救済/東野圭吾の表紙
 

◆他サイトの感想◆
BOSSの備忘録
快投乱打な雑記帳

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

FC2Ad