だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

聖域/大倉崇裕

◆読んだ本◆
・書 名:聖域
・著 者:大倉崇裕
・出版社:東京創元社
・定 価:1,800円
・発行日:2008/4/30

◆評価◆
・山岳ミステリー度:★★
・驚きの展開度:★★
・山に向かう男たち度:

◆感想◆
草庭は、友人でありライバルでもあった安西が、塩尻岳で滑落したとの知らせを受ける。マッキンリーを極めた安西、自分の目標とするような登攀をしていた安西が・・・

先日読んだ「還るべき場所」の影響で、山岳小説づいてしまった。でも山岳小説の新刊なんてあんまりないんである。そんな折り、目についたのがこの小説。
「静かな感動を呼ぶ渾身の山岳ミステリー」。
読み終わった後に改めて見ると「静かな感動」というところがミソだ。

主人公の草庭の友人であり、かつクライマーとしての目標だった安西。
完璧な登攀技術と身体を備えていた安西。
そんな彼が塩尻岳で滑落。
その事実を受け入れられない草庭は、彼が滑落に至るまでの経緯を調べはじめる。
するとそこには、何者かの意図的なものが見えてきて・・・

物語は、草庭が関係者のもとを尋ね歩き、安西の足取りを調べるという、オーソドックスな展開。
登攀シーンは少なめで残念だし、草庭の捜査もなんだか結果ありきの展開で、いまいちだ。
登場人物も平板だし。

こう書くと良いとこなさそうだが、あんまりないんである。

だいたい、ぶん殴られてタクシーで這々の体で帰ってきた主人公が、腹が減ったという理由で、血だらけ泥だらけのまま定食屋に行くか?
おまけに、ある情報を定食屋で聞き入れた主人公は、直後に全力で走って不審者を追いかける!
だったら、タクシーで帰ってくるな! って感じ。

重箱の隅をつつくようだけど、ディテールにひっかかって物語に入り込めない。
この辺が著者と読者の相性なんだな。
たぶん帯のコピーを考えた出版社の人も、同じような印象だったんじゃないかと邪推。
だから「静かな感動」。

ま、自分とは反りが合わないってことで、お許しを!!


天の川


自分も学生時代に、東京都で一番高い山「雲取山」と、日本一高い山「富士山」に登攀(大げさ)したことがある。
富士山は夜中に登って、山頂でご来光、という行程だたんだけど、途中で見上げた星空がすごかった!
もう満天の星で、その中に流れる天の川が、宇宙の神秘!!
今でもたまに思い出す。


聖域/大倉崇裕の表紙
 

◆他サイトの感想◆
今日何読んだ?どうだった??
それでも本を読む
イノミス

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きのうの世界/恩田陸

◆読んだ本◆
・書 名:きのうの世界
・著 者:恩田陸
・出版社:講談社
・定 価:1,700円
・発行日:2008/9/4

◆評価◆
・ミステリアスファンタジーホラー小説度:★★★★
・町に建つ3つの塔の由来度:★★★★
・網の目のように張り巡らせた水路の不思議度:★★★★

◆感想◆
東京で働いていた市川吾郎が、ある晩上司の送別会の席から忽然と姿を消す。その1年後、遠く離れたM町で市川吾郎が発見されるが・・・

恩田テイストをフルに満喫できる小説。

いったい市川吾郎は何故姿を消したのか?
蒸発してから彼が死ぬまでの約1年間、M町で何をしていた?
M町の「塔」と「水路」には、何の目的が?

事件に関わりのあるM町の人々ごとに章立てされ、時間軸も過去と現在が入れ子構造のように組み立てられている。
謎を読者に与えながら、それを登場人物達が解き明かしつつ、さらに謎が深まるように物語は展開。 いったいどうなるんだ?で、読み出すと止まらなくなる!

おまけに日本の田舎でありながら、エキゾチックな雰囲気のただよう町。どこか超自然的なものを感じさせる文章。
著者らしい不思議なファンタジー世界だ。

ラストは読者により賛否両論ありそう。

前は著者の小説の結末に、推理小説の大団円みたいなスカッとした明快さがないことが多いことに不満を抱いた事もあったが、たぶん著者はそういった結末にしようという意図がないんじゃないか?
まったく無いことはないだろうが、それよりもどこか不安定でミステリアスて不思議な物語世界を造りあげるところに主眼を置いているんじゃないか。

そういう意味では、本書は恩田陸テイスト満載。
いつまでもこのファンタジックでミステリアスな物語にはまっていたいと思う。
極端な話し、終わりはなくてもいいぞ。


ビールケース
「きのうの世界」に掲載されている写真とは関係ないけど、なんかこんな感じ。


「きのうの世界」には、所々に白黒写真が掲載されている。
ビールケースが山のように積んでる写真だったり、道路に書かれた矢印マークだったりと、関係あるようでないような、深い意味があるようでないような。
こんなところも、不思議感アップだ。


きのうの世界/恩田陸の表紙
 

◆他のサイトの感想◆
みすじゃん。
本読みの日々つらつら
一日一読

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グラウンド・ゼロ/保科昌彦

◆読んだ本◆
・書 名:グラウンド・ゼロ
・著 者:保科昌彦
・出版社:角川書店
・定 価:1,500円
・発行日:2008/8/31

◆評価◆
・スリルとサスペンス小説度:★★
・ホラー小説度:
・収束する展開度:

◆感想◆
車の運転中に新聞記者の岡谷は、道路上に倒れている男を発見する。車を降り「大丈夫か?」と大声で尋ねると、倒れていた男はかすれた声で「奴をとめろ」と言い意識をなくしてしまう・・・

本屋の平台に置いてあったこの本。
保科昌彦って、読んだ事あったかなぁ?とか思いながらも「読みはじめたら止まらない!」と「日本ホラー小説大賞出身の実力派著者、渾身の一作!」のコピーを見て、つい買ってしまった。

内容は、病院を舞台にした誘拐騒動、これにまつわる公安やSATの活動、横須賀基地への原子力空母寄港反対デモ、主人公岡谷の妻の独白と、なんだか取り留めのないもの。
「どういう展開になるのかサッパリだ」と思いながら読みつつも、後半ようやくB級小説らしく物語が収束したとたん、また雲散霧消みたいな。

いったいテーマは何なんだ!
何が言いたい!
この小説は、これから起きるだろう大事件の前ふりか?!
 と言いたくなるような小説だ。

文中、登場人物が病院で起きている奇怪な出来事や銃撃戦に対し「私にはさっぱり分からない。そもそも、これはどういう事なんだ?」という台詞があるが、自分の感想もそのまんまだ。

もうちょっと、なんとかならなかったのかなぁ。
少年について、詳しく深く掘り下げるとかね。





「グラウンド・ゼロ」を読み終わってから保科昌彦の本を読んだ事があるか調べる。
こういう時、パソコンは便利だ。あっというまに「生還者」というホラータッチの小説を読んでいた事が分かっちゃう。
けっこう面白く読んでいたみたいだけど、昔読んだ本のことをあんまり覚えていない自分に、やや不安を感じる。


グラウンド・ゼロ/保科昌彦の表紙
 

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