だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

チョコレートコスモス/恩田陸

◆読んだ本◆
・書 名:チョコレートコスモス
・著 者:恩田陸
・出版社:毎日新聞社
・定 価:1,600円
・発行日:2006/3/20

◆評価◆
・女優達の熱いドラマ度:★★★★★
・演ずることの奥にあるモノは?度:★★★★
・ゾクゾクする緊張感とスリルと臨場感度:★★★★★

◆感想◆
脚本家の神谷は、事務所の窓からぼんやり外の喧噪を眺めている時、少女と言ってもおかしくない20才前後の女性から眼を離せなくなる。彼女が隣に立つキャバクラ嬢と、まるで双子の姉妹が並んでいるように見えたから…

久々に背筋がゾクゾクする感覚! 恩田陸、すごいぞ!!
題名はなんだか少女趣味だし、殺人事件は起きないし、ちっともミステリーではないんだが、これが緊張感とスリルに満ちあふれている。

登場するのはいわゆる女優達。演ずることにプライドや執念や嫉妬や色んな思いを賭けている様子が、活き活きと描写される。
芝居や演出という演劇の世界をとてもダイナミックに書き込んでいる。それだけで「演劇の裏側」「女優という職業」「演じるとは」といったテーマの、結構読みごたえのある物語りになっているんだが、この物語に著者が登場させる天才的ヒロイン飛鳥が、物凄く新鮮でミステリアス。

プライドや自尊心で演じるのではなく、「それ」に成り切ることに集中し演じる飛鳥。
彼女の演じる姿を描いたシーンは、鳥肌もの。
臨場感も素晴らしく、情景が目に浮かぶ。
特に終盤のシーンは特筆もの。
こんな芝居なら、見にいっても良いな。

恩田陸って当たり外れがあるけど、今回は大当たり。
著者の筆致も今までとはレベルが違うような。
ひょっとして新たなステージに飛躍したか?

チョコレートコスモス/恩田陸の表紙
 

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町長選挙/奥田英朗

◆読んだ本◆
・書 名:町長選挙
・著 者:奥田英朗
・出版社:文芸春秋
・定 価:1,238円
・発行日:2006/4/15

◆評価◆
・ハチャメチャユニークな精神科医伊良部度:★★★★★
・どんな人にも悩みはあるのね度:★★★★
・大笑い/感動度:★★★★

◆感想◆
まるで幼稚園生なみの言動と行動の精神科医伊良部。精神的な悩みを抱え、彼の元を訪れる患者は、そのお気楽で幼稚な様子に「バカじゃないの?」と不安と蔑の眼を向けるが…

精神科医伊良部シリーズの第3弾。
前作に引き続き伊良部の活躍に大笑いするやら感心するやら。

今回の患者?は、読売の「ナベツネ」やライブドアの「ホリエモン」をまるごとパクってるところから、受け狙いがやや見え。
でもでも「なるほどそうかもね」と納得させる患者たちの悩みと解決策(治療法)は、相変わらずの破天荒さ。
天真爛漫な精神科医伊良部と、妙に色っぽくいつも不機嫌なナースのマユミは、最強のコンビだな。

これを読めば、精神的に落ち込んでる人はとってもハイに、もともとハイな人は隣の人がハイになるくらい、お気楽人生を注入できる。

町長選挙/奥田英朗の表紙
 

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ドリームバスター3/宮部みゆき

◆読んだ本◆
・書 名:ドリームバスター3
・著 者:宮部みゆき
・出版社:徳間書店
・定 価:1,600円
・発行日:2006/3/31

◆評価◆
・並行世界ファンタジー度:★★★
・悩むDPと活躍するDB度:★★★★
・ドリームバスター4はいつ出版されるんだ!度:★★★★

◆感想◆
待望のドリームバスター3。ファンタジックでゲーム仕立ての展開ながらも、きちっとしたキャラクターや、ユーモアと心のひだに分け入る心理描写は著者ならでは。

前作までの粗筋をわすれていても、それを思い出させるような書き方もされていて至れり尽せりだし、3つの中編に微妙に張られている伏線もうまい!
正しい青少年はあまねく読むべき冒険小説。

それにしても、3編目の「時間鉱山」はパート1だって。
パート2はいつ読めるんだ~! ドンドン!!

ドリームバスター3/宮部みゆきの表紙
 

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ママの狙撃銃/荻原浩

◆読んだ本◆
・書 名:ママの狙撃銃
・著 者:荻原浩
・出版社:双葉社
・定 価:1,600円
・発行日:2006/3/25

◆評価◆
・主婦版ジャッカルの日度:★★★★
・ミスマッチの生むユニークさ度:★★★★★
・シリアス?/コメディ?度:★★★

◆感想◆
お気楽な旦那と年頃の子供達とともに、それなりに幸せな家庭を築いている主婦の曜子。そんな曜子のもとに一本の電話が。それは25年ぶりに聴くエージェントからのものだった…

主婦であり女性スナイパーでもある主人公が、とてもユニーク。
脳漿が飛び散るようなシリアスな殺人シーンがあるかと思えば、子供の好きなウインナーを安売りしている店を探す曜子の姿が描写されたり。
極め付けは、ダイコンとネギに狙撃銃を仕込むシーンか。
なんたってダイコンだからね!

本格的な暗殺もの小説の体裁ながら、コミカルな描写(主婦がスナイパーなんだからそうなっちゃう)がめちゃくちゃユニーク。

人を殺すという反道徳的行為に悩みながらも、自分の子供と旦那を気づかい家庭を守ろうとする曜子。
普通の主婦が本書を読んだら、曜子の主婦としてのいろんな悩みに共感しながら、スナイパーとしての彼女にカタルシスを覚えるかも知れない。

こうゆう芯の強い女性って、好きだなぁ。
でも主人公が男性で同じような設定だったら、へなちょこスナイパーになっちゃうんだけどね。

ママの狙撃銃/荻原浩の表紙
 

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宇宙で一番優しい惑星/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書 名:宇宙で一番優しい惑星
・著 者:戸梶圭太
・出版社:中央公論新社
・定 価:1,800円
・発行日:2006/3/25

◆評価◆
・ある惑星で起きた戦争度:★★
・エログロナンセンス度:★★
・現実へのアンチテーゼ度:★★★

◆感想◆
惑星オルヘゴに存在する三つの国家。互いに牽制・影響・搾取しあいながらも、一種の均衡を保っていたが…

「銀河系に地球が誕生し、地球人が殺し合いを始めるよりはるか昔の物語」というSF的設定だが、内容はトカジ流エログロスプラッタースーパーリアル戦争小説。
隣国に派遣されていたボランティアスタッフとの連絡が途絶えたことに端を発し、民族紛争、売春、権力闘争、人質問題などなど、現実のどっかの国で今まさにおこっていることを題材にした小説。
こう書くと一見普通の小説だが、そこはそれ、著者はそんな普通の小説は書かない。

しだいに狂気っぽくエスカレートする展開、反道徳的でPTAから講議されまくり的描写、低俗すぎて笑うしかないシーン。
いかにも安い作りの小説だけど、得体の知れないパワーはある。

ぜひ良い子にのみんなに読んでほしい。

宇宙で一番優しい惑星/戸梶圭太の表紙
 

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ちぇりあい/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書 名:ちぇりあい
・著 者:戸梶圭太
・出版社:祥伝社
・定 価:1,500円
・発行日:2006/3/20

◆評価◆
・トカジ風破滅小説度:★★
・アキバ系おたくへの怒濤の攻撃度:★★
・電波度:★★

◆感想◆
駿河医科大学の医学部で、密かに童貞の男性を集めている、しかも童貞歴が長ければ長いほどいいらいしい。被験者となった男性にはいったい何が…

教授室に263日にわたり引きこもり、「依存症は戦争が起きれば治る」という電波系トンデモ理論の論文を書いた亀山田教授。
亀山田教授のライバル?で、助教授をいたぶることと女子学生とヤルことに忙しい鳴滝教授。
トカジらしいめちゃくちゃキャラの2人に加え、おたくたちが勢ぞろい。
一種異様なまでにおたくをおもちゃにする描写は、おたくというキャラに集中している分破壊力もすざましい。

前半は、亀山田教授が発見したカメヤマダジトロエキシンとは、いったいなんなのか? そしてその製作方法は! という流れで展開するが、後半に入って過激にエスカレート。
ちょっとついていけなくなる。

小説自体はいまいちだけど、著者がまだまだ鼻息荒く文章を書きまくっているようで、ほっとする。

ちぇりあい/戸梶圭太の表紙
 

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