だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

ICO 霧の城/宮部みゆき

◆読んだ本◆
・書名:ICO 霧の城
・著者:宮部みゆき
・出版社:講談社
・定価:1,800円
・発行日:2004/6/15

◆評価◆
・ファンタジックアドベンチャー小説度:★★
・勇気ある少年と悪の闘い度:
・かつて分かれた知と勇気が相まみえる時度:★★

◆ひとこと◆
帝都から遠く離れた静かな村。そこに「霧の城」への生贄として生まれたイコは住んでいた。13才となった時、イコが生贄である証左の角が一夜にして伸び、霧の城へ向かう時が来たことを知らせた…

TVゲーム「ICO」のノベライゼーション。
生贄となることを運命つけられたイコの運命は。霧の城とは、いったいなにものなのか? そこでイコはどのような試練に合うのか!
邪悪なものとの闘いや、「光輝の書」「封印の剣」といったアイテム。霧の城で出会う少女。
読んでいると、イコが画面上でピコピコ歩く様子が思い浮かぶような、TVゲームそのまんまの展開。(同名のTVをやったことないから、想像だけど)

しかし、どうにもうまく情景をイメージすることができない。物語の世界を、イメージすることができない。
いっそのこと、TVゲームの画面でも挿し絵として貼付けてしまえばよかったのでは。
著者自身が創り上げた世界ではないだけに、その描写が難しいということかな。

それにしても、宮部みゆきの活動は旺盛。(大沢オフィスというべきか)
宮部みゆきブランドなら売れるという出版者の思惑もあるだろうが、ミステリー小説にとどまらず、絵本やTVゲームのノベライゼーションまでこなす姿勢がスゴイ。


ICO -霧の城-
ICO  -霧の城-宮部 みゆき

おすすめ平均
stars宮部みゆき的ファンタジー作品
stars酷評する程の事じゃないでしょう
starsゲームから入りましたが
starsゲームがしたくなる
stars台無し

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君の名残を/浅倉卓弥

◆読んだ本◆
・書名:君の名残を
・著者:浅倉卓弥
・出版社:宝島社
・定価:1,900円
・発行日:2004/6/28

◆評価◆
・ファンタジック平家物語度:★★★
・「時」という運命度:★★★
・ドラマチックな主人公達度:★★★★

◆ひとこと◆
剣道の練習に明け暮れる友恵。彼女の幼馴染みである武蔵も、大会に向けて練習にいそしんでいた。そんなある日の夕刻、台風のような大雨が降る。たまたま帰りが一緒となった2人は、神社の古木に雨宿りをするが、真っ赤な閃光を曵いた稲妻が…

友恵と武蔵、そして志郎という友恵の友人の弟が、落雷により時空を飛ぶ。
飛ばされた先は、800年前の平家と源氏が争う合戦の時代だった。

出だしは甘い感じの青春小説ぽかったが、タイムススリップした先は、平家物語の世界。そのなかで3人の若者が、それぞれどのような人と巡り会いどのうように生きるかという物語り。
そして彼等の役割とは。

大河小説にもなる題材を1冊の本にまとめているだけあって展開は目まぐるしく、あら筋を追っているだけのような描写も多々あり。
歴史に興味のある人はその内容に惹かれるのかとも思うが、歴史が苦手の自分にはやや苦痛。
もっと日本史を勉強しておけば良かった。
(主人公たちもさして日本史が得意そうではないのに、そこそこ知識を持っているところが、小説らしい)

この小説のミソは、なんといっても主人公達の役割。
大きなうねりのように流れる「時」。すでに決まった歴史の中で、彼等は何をしようとするか。歴史を変える事はできるのか。そして彼等の人生とは、どんなものになるのか。
悲しみ、喜び、苦しむ主人公は、過去という苦境の中でしか得られない人生を送ろうとする。その前向きな姿勢と運命付けられた未来に、ドラマがある。

著者はずいぶんと頭をひねって、このドラマを考え出したようにお見受け。
読むのもいささか苦労したが、書くのはしんどかったろう。


君の名残を
君の名残を浅倉 卓弥

おすすめ平均
stars私には合いませんでした。
stars細かい事を気にせずに心で読んでみな
stars初めてミステリーと時代物を読みました。
starsこの本に出会えて何かに感謝したい。何度も読み直しました!
stars大好きです!

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自転車少年記/竹内真

◆読んだ本◆
・書名:自転車少年記
・著者:竹内真
・出版社:新潮社
・定価:1,900円
・発行日:2004/5/25

◆評価◆
・自転車にかける青春度:★★★
・輝き続ける人生度:★★★
・読んだ後自転車に乗りたくなる度:★★★★★

◆ひとこと◆
4才の昇平は、はじめて自転車に一人で乗れたことに興奮し、前に進むことしか頭になかった。吸い込まれるように下り坂に突っ込んでいった昇平は、坂道を下り切った所にある家の生け垣に衝突する。
幼い昇平は、生け垣を飛び越え、庭の芝生に投げ出される。そこにはひょろりとした男の子草太と、きれいな奏という女の子が…

昇平と草太と奏を中心に、彼等の幼い頃から30才を過ぎるまでを綴った青春記。
恋愛、自転車レース、進学、就職と、人生でもっとも輝き、目まぐるしく変化していく時代を、瑞々しく描いている。
活発であけっぴろげな昇平と、努力家にして賢い草太。二人の描き分けもうまいし、奏という美しい女性をめぐる2人の心理描写もいい。
自転車レースやサイクリングを通して、多くの人達と友情を深める様や、学校対抗のロードレースの手に汗握る描写もうまい!
些か駆け足で物語は展開するが、ポイントを押さえた展開は、読者を飽きさせない。
今まさに青春を謳歌している読者には、共感の一冊。
かつて青春時代を経験したおやじも、熱き心を取り戻せるかも。

でもでも、人生の良いとこばかりをピックアップしたようで。すべてのシーンが輝き過ぎていると感じるのは、ひねくれた考え?
なぜか失恋や挫折までもが、ステップアップのための輝かしい勲章のように描かれていて、前向きな主人公達が、作り物に見えてくる。(まあ、作り物なんだけど)。
そこが100%感情移入できなかったところかな。


自転車少年記
自転車少年記竹内 真

おすすめ平均
stars少年が大人になるまでの記録。
starsよし、明日も自転車に乗ろう!
stars自力で前に進む
stars好きなもので培った絆は強い
stars駆け抜けたのは、今日へ続く道

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竹内真の「真夏の島の夢」を読もうと、しばらく本屋を探していたのだが、新刊本が書店から消えるのは早く、とうとう読めなかった。
そんな折りに見つけたのが「自転車少年記」。著者の「カレーライフ」を読んだ後、無性にカレーが食べたくなったが、「自転車少年記」を読んだ後は、無性に自転車が乗りたくなった。
ためらわずに自転車に乗り、近くのタバコ屋に走る。夜風が気持ちよく、煙草の味も、なぜかせつない。
まあ、自転車少年記の若者が走った数百キロという距離に比べれば、1/1000くらいだけど。おじさんになると、これでもけっこうハアハアしていたりする。

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Q&A/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:Q&A
・著者:恩田陸
・出版社:幻冬舎
・定価:1,700円
・発行日:2004/6/10

◆評価◆
・恩田流「藪の中」度:★★★★
・それぞれの真実と負のパワー度:★★★
・鳥肌モノの描写度:★★★★

◆ひとこと◆
郊外の巨大ショッピングセンターで事件が発生。火災?毒ガス? 何が起きたのか分からぬまま、情報が錯綜しパニックが起き、多くの犠牲者が。
その事件から数カ月後、当事者たちに聞き取り調査が行われた。
「それでは、これからあなたに幾つかの質問をします」
新聞記者の笠原は、その事件について見聞きしたことを、質問に答える形で語りはじめた…

質問者と、それに答える事件の当事者たち。物語は、当事者が語る体験談で構成される。
しかし事件の真相はなかなか見えてこない。そればかりか、当事者が抱えている非日常的な、そしてマイナスの感情が吐露される。あたかも事件は、それぞれの登場人物が抱えているマイナスの感情が起こしたかのようにさえ思えてくる。

事件を取材した新聞記者や、不審者を目撃した主婦、死の臭いを嗅いだという老人など、前半はシリアスでダークなホラータッチのドラマ。
その奇妙で非日常的な事件現場の雰囲気や、不安定な精神をひきずる当事者がなにげなく語るシーンに、鳥肌立ちまくり。
さすが恩田陸。構成もうまいが、独特の雰囲気をかもし出すテクニックは素晴しい。
特に蝉を食べる夢のシーンは秀逸。

後半もその雰囲気は維持しているものの、ややトーンダウン。ややね。ちょっとだけってことで。
前半とは微妙に構成が変化しており、そこがいまいち頷けなかった。
逆にいえば、半分で終わらせても良かったのにと。
しかし、ある意味実験的な手法なのに、著者の持ち味を発揮できるということには、ベテランの力量と貫禄さえ伺える。

帯の絵も力が入っている。逃げまどう人々の見開かれた眼が異様だし、白い巨大なビルが、色んなものの負の象徴のようで、おとろしい。
つるかめつるかめ。


Q&A
Q&A恩田 陸

おすすめ平均
stars斬新ではないが…
starsこの読後感も計算の内……
stars電車人の唯物論
stars本当に起き得る怖い話
starsそれでは質問を始めます

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いつか、ふたりは二匹/西澤保彦

◆読んだ本◆
・書名:いつか、ふたりは二匹
・著者:西澤保彦
・出版社:講談社
・定価:2,000円
・発行日:2004/4/27

◆評価◆
・正しい少年少女向けミステリー小説度:★★★★
・ハラハラドキドキ度:★★★
・人をやさしく見つめる眼/人を見下す眼度:★★★

◆ひとこと◆
小学6年生の智己は、クラスメイトが殺人未遂事件に巻き込まれたことを知る。
実は昨年も誘拐未遂事件が発生しており、どうやら同一人物の犯行のよう…

・智己は、眠ることでメス猫のジェニィに乗り移れるという、不思議な能力を持っている。
・母は、父親が単身赴任している先に出かけており、智己は義姉の大学生久美子と、暫くのあいだ2人暮しをしている。
・昨年の誘拐未遂事件にあった少女は、久美子が家庭教師をしていた少女。殺人未遂事件に巻き込まれた少女も、久美子が家庭教師をしていた。
ファンタジックで子供ならわくわくするような設定。
次々と起きる事件。テンポの良い展開。
大人の自分がハラハラドキドキするんだから、少年少女達なら夢中になって読むんじゃないか。
ラストでは、行間に漂っていた智己と久美子のギクシャクした関係を背景にした、適切な落ちも用意されているし。

こうゆう本を子供の頃から読みはじめれば、きちんとして礼儀正しく優しい心根のミステリー小説マニアに育つだろう。
素晴しいことだ!


いつか、ふたりは二匹 (ミステリーランド)
いつか、ふたりは二匹 (ミステリーランド)西澤 保彦

おすすめ平均
stars現実的背景のファンタジー
starsまたやってくれました!
stars西澤氏最高です

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ぱんぷくりん 鶴之巻 亀之巻/宮部みゆき 黒鉄ヒロシ

◆読んだ本◆
・書名:ぱんぷくりん 鶴之巻 亀之巻
・著者:宮部みゆき 絵:黒鉄ヒロシ
・出版社:PHP研究所
・定価:鶴之巻952円 亀之巻952円
・発行日:2004/6/18
◆評価◆
・モダンチックな絵本度:
・ほのぼのおとぎ話度:
・黒鉄ヒロシの絵も、いつになくほのぼの度:★★

◆ひとこと◆
宮部みゆき文、黒鉄ヒロシ絵による、絵本。
「宮部みゆき」となると、条件反射でつい買ってしまう。
小さな子供のいる家庭では、それなりに喜ばれるかもしれないが、大人が読んで眺めるには、ちょっと辛い。

自分も子供の頃、「ちいさなおうち」?という絵本が好きだったことを、おぼろげに記憶しているが、何が好きだったのかは覚えていない。
子供の感性って、いったいどうなっているのか不思議。
何を考えどんなことに感激するのか想像できるのは、中学生以降くらいまでか。
もしかすると、本書は幼稚園児に熱烈に支持されるかもしれない。


ぱんぷくりん 鶴之巻
ぱんぷくりん 鶴之巻黒鉄 ヒロシ


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ぱんぷくりん 亀之巻
ぱんぷくりん 亀之巻黒鉄 ヒロシ


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