だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

祝もものき事務所2/茅田砂胡

◆読んだ本◆
・書名:祝もものき事務所2
・著者:茅田砂胡
・定価:900円
・出版社:中央公論新社 C★NOVELSファンタジア
・発行日:2011/11/25

◆おすすめ度◆
・ミステリー風井戸端会議度:
・ズンズン増えるややこしい登場人物度:
・膨大な前振り度:

◆感想◆
食堂で倒れていた男性を偶然助けた人から、倒れていた男性のその後の安否を調べて欲しいという依頼が舞い込むが…

シリーズ2作目の本書、前作と同じようなミステリー風の時代錯誤なダメダメな大人がいっぱい登場する小説。
はじめに起きる事件はミステリー小説の事件風だけど、その後の展開は噂話に興じる井戸端会議風のどうでもいいような話しの連続。

結婚相手が遺産目当てだとか、親戚が傍若無人の人でなしだとか。
あるいは「男前」のさっそうとした素敵なやり手女性だったり。
類型的で面倒な人達がズンズン増えてきて、ややこしいしイライラするし。
読むのが嫌になるぞ。(ほとんど斜め読みだけど)

おまけにそれが前振りだというトンデモな展開。

いったいどうしたんだ茅田砂胡。

家族や親戚関係で、嫌なことでもあったのか?
ひょっとして「デル戦」の印税を巡って、骨肉の争いとかが起きているとか?
その当てつけが本書だったりして。

帯のコピー「事件はあっても推理はない。無能・空気ヨメナイ・怠惰・体力皆無ー」は、別の意味で合っている悲しさよ。

祝もものき事務所2 (C・NOVELSファンタジア)

茅田 砂胡 中央公論新社 2011-11-24
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次作は「天使たちの課外活動」シリーズが2012年3月刊とのこと。
怖いもの見たさで買ってしまうんだろうなあ。

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「祝もものき事務所2」茅田砂胡/中央公論社/本を貶す
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消失グラデーション/長沢樹

◆読んだ本◆
・書名:消失グラデーション
・著者:長沢樹
・定価:1,500円
・出版社:角川書店
・発行日:2011/9/30

◆おすすめ度◆
・納得の本格ミステリー度:
・バスケットボールにかける青春度:
・驚きのどんでん返し度:★★

◆感想◆
高校のバスケ部を舞台にした本格ミステリー小説。
横溝正史ミステリ大賞の大賞受賞作で、「歴代受賞作の中でも三本の指に入る逸品」とか「わたしが読んだ中で最高の傑作」なんていう選考委員のコメント付きで、「なんか面白そう!」と期待させる一方、アマゾンのレビューでは「そうでもないよ」みたいな書き込みがあったりして、「どっちなんどよ、いったい」なミステリー小説。

読んでみると「やっぱ本格って、自分には全然合わないのを実感」みたいな感想。

読者をミスリードする書き方をして、最後にびっくりさせて、だからって面白いのかな?
登場人物の描写も展開も、びっくりさせるためだけに存在するようだだし。
高校のバスケ部が舞台なのに、全然爽やかじゃないし。

普通は歩いたりできないって。
いくら上手でも当らないって。
そんな都合のいい人はいないって。
何人いれば気が済むのか。どんだけ~

と、文句ばっかりの感想でした。
裏切られた期待をぶちまけてしまいました。
失礼しました。

消失グラデーション

長沢 樹 角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-09-26
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消失グラデーション 長沢樹/夜思比売の栞

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フラグメント 超進化生物の島/ウォーレン・フェイ

◆読んだ本◆
・書名:フラグメント 超進化生物の島
・著者:ウォーレン・フェイ
・定価:1,800円
・出版社:早川書房
・発行日:2009/8/15

◆おすすめ度◆
・B級サバイバルアクション小説度:
・凶暴な生物との死力の戦い度:
・血湧き肉躍るはずなのに、何故か眠くなる度:★★★★★

◆感想◆
科学番組制作のために南太平洋を航海していたトライデント号は、緊急遭難信号をキャッチする。そこは海洋図に掲載されていない、有史以来人間が数回しか訪れていない小島だった・・・

ガラパゴス諸島のような隔絶された島で独自に進化した生物たち。それはとてつもない繁殖力と凶暴さを備えた怪物だった!! 島に向かったクルーたちは、地獄のような体験をするっ!!
まるでB級ホラーサスペンス怪物映画そのまんまの展開。

帯に「マイクル・クライトンに比肩する」とあるけど、背比べするのはちょっと無理なくらいB級。
「映画化」されるのを前提にしたようなビックリ怪獣やトンデモ展開に、ややげんなりだ。

血湧き肉躍るはずのサバイバルアクションものなのに、本書を読んでると、なぜか午後の数学の授業みたいに眠くなる。
翻訳された文章もなんか変だし。
寝苦しい夜でも、読みはじめるとあっというまに熟睡できるのは特筆もの。
これホント。不思議とすぐ寝れる。


フラグメント超進化生物の島 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
フラグメント超進化生物の島 (ハヤカワ・ノヴェルズ)ウォーレン・フェイ 漆原 敦子

おすすめ平均
starsリアリティの問題
stars良くも悪くも映画的
stars怪獣好きにはオススメ

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むかしはディーン・R・クーンツの「戦慄のシャドウファイア」とか「ファントム」とかを面白く読んでいたけど、今読むと「フラグメント 超進化生物の島」を読んだのと同じような感想になるんだろうか?

本書だってSF・ホラー・冒険小説好きの少年が読めば、貪るように挿絵を見つめるかもしれないな。
今の自分には、ただただ眠い本だったけど。


◆他サイトの感想◆
全読書リプレイ


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エッジ/鈴木光司

◆読んだ本◆
・書 名:エッジ
・著 者:鈴木光司
・出版社:角川書店
・定 価:上1,600円 下1,600円
・発行日:2008/12/19

◆評価◆
・人類滅亡型SF?度:
・輪廻転生型ホラー?度:
・探偵型ミステリー?度:
・愛のファンタジー?度:

◆感想◆
冴子の父親は18年前に失踪し、いまだ行方不明。気持ちの多くを父への思慕と捜索に充てながらも、ライターとして頑張ろうとしている彼女に舞い込んだ仕事は、藤村一家失踪事件のルポであった・・・

ウーム、これはちょっといただけないなあ。
正直な感想を一言でいうと「なんだこれ?」

世界各地で人が失踪するという事件を発端に、物語が展開していくんだが、起承転結の「起」の部分はOK。
ちょっとホラーっぽい所も、「リング」3部作の著者らしくて、先の展開を期待させる出だし。

でも「承」になって「??」
「転」では「あらま」
「結」では「酔っぱらって書いてるのか?」

こうゆうのは編集者とかが、作家と打ち合わせなり何なりをして、内容や文章を見直してから出版するべきものなんじゃないのかしらん。
そこここに瑕疵が見受けられ、内容もブレまくり。

それよりも著者のことが心配になってくる。
著者は、「リング」「らせん」「ループ」という面白くて話題になり売れた作家、というお荷物を背負って、精神的に苦労したんじゃないか。
自分の才能とかにも疑問を感じ、幾度となく物書き家業を辞めようとし、しかし周囲の励ましとかに支えられて、ようやく本書「エッジ」を上梓。
ところが本書の出来が・・・

と、いらぬ心配までしてしまう本なのであった。


yun_1634.jpg
カリフォルニア州


そうはいっても、部分的には光る文章もあったりする「エッジ」
SFっぽい書き方するから瑕疵が目立つのであって、ファンタジーかホラーとして読めば、納得できるのかな?

そういえば井上夢人の「メドゥサ、鏡をごらん」を読んだ時も、はじめは「これはスゴイミステリーだ! 傑作になるんじゃないか!!」と思ったが、読み終わった時は本を投げつけたくなった記憶が。

あんまりジャンルを決め打ちして読むと、良い事はないのかもね。
でもSFっぽいこと書くんだもん、しょうがねいよね。



エッジ/鈴木光司他の表紙



◆他サイトの感想◆
面白く読んだ方も多いみたいで、良かった良かった。
ラッシュライフ
たまの独り言
ふるちんの「頭の中は魑魅魍魎」


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グラウンド・ゼロ/保科昌彦

◆読んだ本◆
・書 名:グラウンド・ゼロ
・著 者:保科昌彦
・出版社:角川書店
・定 価:1,500円
・発行日:2008/8/31

◆評価◆
・スリルとサスペンス小説度:★★
・ホラー小説度:
・収束する展開度:

◆感想◆
車の運転中に新聞記者の岡谷は、道路上に倒れている男を発見する。車を降り「大丈夫か?」と大声で尋ねると、倒れていた男はかすれた声で「奴をとめろ」と言い意識をなくしてしまう・・・

本屋の平台に置いてあったこの本。
保科昌彦って、読んだ事あったかなぁ?とか思いながらも「読みはじめたら止まらない!」と「日本ホラー小説大賞出身の実力派著者、渾身の一作!」のコピーを見て、つい買ってしまった。

内容は、病院を舞台にした誘拐騒動、これにまつわる公安やSATの活動、横須賀基地への原子力空母寄港反対デモ、主人公岡谷の妻の独白と、なんだか取り留めのないもの。
「どういう展開になるのかサッパリだ」と思いながら読みつつも、後半ようやくB級小説らしく物語が収束したとたん、また雲散霧消みたいな。

いったいテーマは何なんだ!
何が言いたい!
この小説は、これから起きるだろう大事件の前ふりか?!
 と言いたくなるような小説だ。

文中、登場人物が病院で起きている奇怪な出来事や銃撃戦に対し「私にはさっぱり分からない。そもそも、これはどういう事なんだ?」という台詞があるが、自分の感想もそのまんまだ。

もうちょっと、なんとかならなかったのかなぁ。
少年について、詳しく深く掘り下げるとかね。





「グラウンド・ゼロ」を読み終わってから保科昌彦の本を読んだ事があるか調べる。
こういう時、パソコンは便利だ。あっというまに「生還者」というホラータッチの小説を読んでいた事が分かっちゃう。
けっこう面白く読んでいたみたいだけど、昔読んだ本のことをあんまり覚えていない自分に、やや不安を感じる。


グラウンド・ゼロ/保科昌彦の表紙
 

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弥勒世/馳星周

◆読んだ本◆
・書 名:弥勒世
・著 者:馳星周
・出版社:小学館
・定 価:上1,800円 下1,800円
・発行日:2008/2/25

◆評価◆
・魂を取り戻そうとあがく男の物語度:★★
・虐げられ続けた沖縄と米軍との軋轢度:
・行動とは裏腹に、奇異なほど若い精神の主人公度:

◆感想◆
ベトナム戦争や本土復帰に揺れる沖縄。新聞記者の尚友は、沖縄にも、卑屈な自分にも、すべてに対して嫌気がさしていた。そんなおり米軍の関係者から、スパイまがいの情報収集活動を依頼され…

日本本土や米軍から虐げられる沖縄。彼らに迎合する沖縄。ベトナム戦争に送られる米兵たちの鬱屈と、彼らをとりまく沖縄の住民。
そんないろんなわだかまりを背景に、物語は展開する。

主人公は共に施設で育った尚友と政信。
頭がよく如才ない政信に、尚友はずーっと劣等感を感じている。
一方政信も沖縄のありかたに不満をかかえ、やくざなどの人脈を使ってある計画を企てる。

男達が企てる計画は展開が遅くて、読んでいてややつらい。
要所要所で触れられる、自分の居場所のなさと無くした魂についての描写も、昔の著者だったら、とっくに殴り合ったり殺し合ったりとエスカレートしているはずが、心象風景が繰り返されるばかりで、なかなか進行しないし。

そんな展開の中でもひとつ奇異なのは、主人公尚友と恋人の関係。
半分ならず者の尚友なのに、恋人に対しては高校かと思わせるような若い感情で接する。彼女に大しての感情を持て余し、自分を理解してくれないだろうことにいらつき、かと思えば甘える。

なんだかチグハグだ。
つらいことがあったからといって、彼女の膝で泣くような男が主人公のノワールなんて、過去には想像つかなかったぞよ。
どんな男にだって、弱々しくなったり女性に甘えたり戸惑ったり心と裏腹な言葉を投げつけてしまうことはあるけれど、それをそのまんま書いてはプライベートすぎてなじめない。ちょっと赤面だ。

ラストも、長い助走の割には飛んでないし。
「それじゃ、もっと納得のいく文章をお前が書いてみれ!」といわれても書けないんだけどね。

弥勒世/馳星周の表紙
  

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独白するユニバーサル横メルカトル/平山夢明

◆読んだ本◆
・書 名:独白するユニバーサル横メルカトル
・著 者:平山夢明
・出版社:光文社
・定 価:1,600円
・発行日:2006/8/25

◆評価◆
・恐怖/ホラー/グロテスク小説度:★★
・破綻的会話と構成の美度:
・狂気と死を演出する儀式度:

◆感想◆
とてつもなくグロテスクで退廃的で死と狂気の溢れかえった短編集。

言わずと知れた「2006年このミス年第1位」の本だけど、どうにも生理的に合わない。
スカトロ、カニバリズム、拷問などなど、およそ人が忌み嫌うようなシーンをテーマにして描写しているけど、もう少しテーマや描写を昇華させて欲しいと。

怪我や手術などの痛そうでリアルなシーンが最近苦手なんである。
むかしは映画の残酷なシーンなんかもへっちゃらだったのに、たまにTVでやってる「衝撃の事故映像」みたいなのは、もう直視できない。すぐチャンネルを替えてしまう。

そんな感じで読み飛ばしてしまったが、それでも印象に残ったのは「Ωの正餐」という食人がテーマの短編。
もっと耽美的に描かれていれば、と思うものの、それでは小説としては違う方向にいってしまうんだろうな。

独白するユニバーサル横メルカトル/平山夢明の表紙
 

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