だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

雪月花黙示録/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:雪月花黙示録
・著者:恩田陸
・定価:1,600円
・出版社:角川書店
・発行日:2013/12/31

◆おすすめ度◆
・シュールな展開度:★★
・サイケな世界度:★★
・キッチュな文化度:★★

◆感想◆
近未来の日本を舞台にした学園&アクション小説。

なんだかちょっと昔の日本を舞台にした一風変わったライトノベルのようでもあるが、美青年&美少女剣士やド派手な未確認飛行物体やとってつけたような生徒会長選挙やスライム状のバケモノや妙に親切なラーメン屋の双子親父などなどが山盛りで、とってもシュールでサイケでキッチュ。

チャンバラシーンを交えながら、ミヤコという文化都市の謎に迫る美少年美少女剣士たち!な展開に、おじさんな自分はタジタジ。

恩田陸、チャレンジャーです。

キラキラとした本の装幀が、内容とベストマッチです。

◆関連記事◆
雪月花黙示録/アマゾン(著者本人がコメントしてる動画です)

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夜の底は柔らかな幻/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:夜の底は柔らかな幻
・著者:恩田陸
・定価:上1,600円 下1,600円
・出版社:文芸春秋
・発行日:2013/1/15

◆おすすめ度◆
・サイキックホラー小説度:★★★★
・出だしからバトル全開度:★★★★
・結末は「むにゃむにゃ」した感じ度:★★★

◆感想◆
無法地帯の〈途鎖国〉。特殊能力を持つ〈在色者〉たちがこの地に集まるときなにかが起こる…

のっけからサイキックなバトルが全開のホラー小説。
「この小説はのんびりした超能力者ものじゃないからね!」という著者のメッセージがこめられているようで、その後の展開もサイキックバトルロワイヤルを予想させる流れに。

〈途鎖国〉という治外法権な山奥の無法地帯。
しだいに明らかになる登場人物たちの関係。
飛んだり丸めたり持ち上げたりの特殊能力。
想念を実体化させたり、人智を超えた異形の存在?を伺わせる〈フチ〉。

常野シリーズの延長線上にある物語に見えるけど、内容は対極にあるような。
ラストは著者らしい?「むにゃむにゃ」したというか「あいまいな」というか「含みを持たせる」というか、著者の過去の小説でもあったような結末。
恩田陸はこれでいいんです、たぶん。
描写される超自然的な出来事や事件などの過程を楽しむ小説だと思います。
ミステリー小説じゃないし。

久しぶりにスティーブン・キング風なサイキックホラー小説を堪能しました。

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昨年末に出版された「私と踊って 」は、不思議な恩田陸テイスト満載のホラーやSFやミステリーの短編集。
著者のファンはお見逃しなく。

◆関連記事◆
【本の話をしよう】「夜の底は柔らかな幻」作家 恩田陸さん/MSN産経ニュース
『夜の底は柔らかな幻 上下』(恩田 陸 著)自著を語る/本の話WEB

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夢違/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:夢違
・著者:恩田陸
・定価:1,800円
・出版社:角川書店
・発行日:2011/11/15

◆おすすめ度◆
・清冽なホラー小説度:★★★★★
・背筋がゾクゾクしっぱなしの怖さ度:★★★★★
・悪夢のようにリアルな「夢札」度:★★★★★
・混交する夢と現実度:★★★★

◆感想◆
夢を映像化する装置「獏」。浩章は、この装置により記録された「夢札」を解析する「夢判断」を仕事にしている。彼は仕事の帰りに、ある女性の姿を見てショックを受ける。その女性はかつて予知夢を見る女性として注目を集め、事故で死んだはずの女性・結依子だった…

恩田陸、久しぶりのホラー小説は、もうのっけから怖さ全開。
歩道橋で幽霊を見たり、暗い境内に踞る何かがいたり、女将がニッと笑ったりと、背中がゾゾッとするシーンや描写の連続。
夢を映像化した「夢札」のシーンも、リアルな悪夢を見ているようで超ホラー。
さらに「これからどうなる?どうなる!」のサスペンスに富んだ展開。
著者のホラー小説の中でも一番の出来だ。

それでいて、美しく咲く吉野の桜とか、「亜麻色の髪の乙女」が聞こえてきたりするシーンは、怖さの中に清冽さが。
予知夢を見ることに苦悩する結依子も、もの悲しくはかなげだ。
怖さと清らかさが同時に成立している不思議。
終盤にかけて盛り上がる怖さと寂寥感を、春風が吹いたようにぬぐい去るラストシーンも秀逸。

ミステリー小説ではないから、起きる事件に明快な解決はない。
強いて言えばイドとか集合的無意識とかになるのかもしれないけど、そんな野暮なことはこ考えずに恩田陸のホラーワールドを堪能して下され。

夢違

恩田 陸 角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-11-11
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最近寝ている時に口を「ガチッ」と噛み合わせて、口の内側を噛んで出血、なんてことがよくある。
痛くて目が覚めるんだけど、これって足や腕が「ビクッ」となるのと同じなんだろうか?
夢の中で犬になっているのか?

◆関連記事◆

恩田陸『夢違』/三省堂書店 公式ブログ ルクア大阪店

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土曜日は灰色の馬/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:土曜日は灰色の馬
・著者:恩田陸
・定価:1,900円
・出版社:晶文社
・発行日:2010/8/20

◆おすすめ度◆
・エッセイなど色々度:★★★
・恩田陸が分かる度:★★★
・「薮の中」は本格ミステリー小説度:★★★★

◆感想◆
本や少女マンガや映画にまつわるエトセトラ。
これを読めば、恩田陸がどんな小説や映画に興味を持ち、どんな風に影響され、どんな風に考えたかが分かる仕組み。
恩田陸の人となりを知るにはもってこいのエッセイ?集だ。
ただ彼女の嗜好とシンクロする所がないと、置いてけぼりになった気分。
少女漫画やドラマについてのくだりは、自分のテリトリーと違い過ぎて(少女漫画読まないし)やや置いてけぼり。

でも、出だしの「硝子越しに囁く」はまるで短編のホラー小説見たいにそこはかとなく怖かったし、三島文学を「ケレンと様式美」だと喝破するあたりにも著者の作風が伺える。

特に芥川龍之介「薮の中」のミステリー小説的解題は面白いぞ。
あの有名な短編小説も、読み方によっては本格ミステリー小説になるという。
前半の客観的な登場人物の証言と、後半の主観的な供述から、矛盾のない展開を見つけ出していくと。
あ~ら不思議、なんと犯人が浮かび上がってくるではないか!
全然「薮の中」じゃないぞ。
「薮の中」は本格ミステリーだったとは。

共感覚
共感覚/ウィキペディア

「硝子越しに囁く」では共感覚についてふれられている。
文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりする共感覚。
子供の時に共感覚を経験する人はけっこういるみたいで、自分も「眼に鉄の味を感じた」ことがある。(これも共感覚なのか?)

大人になってからは全くなかったんだけど、先日寝る前に本を読んでいる時、活字に色がついて見える共感覚を体験!
読んでいる本の所々の活字が、紫色に見えるんである!!

その時は、眠る寸前。眼はあいているけど脳のほとんどは寝ている、みたいな状態。
前頭葉の支配から脳の各部が逃れはじめた睡眠直前に、神経回路が迷走したんじゃないかとかってに想像しているんだが・・・

◆他サイトの感想◆
晶文社の土曜日は灰色の馬のページ ウェブに掲載された文章が読めます
一日一読

土曜日は灰色の馬

恩田 陸 晶文社 2010-08-07
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藪の中 (講談社文庫)

芥川 龍之介 講談社 2009-08-12
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私の家では何も起こらない/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:私の家では何も起こらない
・著者:恩田陸
・定価:1,300円
・出版社:メディアファクトリー
・発行日:2010/1/8

◆おすすめ度◆
・ホラー小説度:★★★
・そこはかとなく怖い度:★★★
・そこはかとなく暖かい度:★★

◆感想◆
丘の上に建つ一古い幽霊屋敷を主人公?にしたホラー連作短編小説。

その家で起きた陰惨な事件が、一種抒情的でそこはかとなく怖い雰囲気で描写される。が、しだいにホラー全開な展開に。
また、はじめは単に怖いだけの描写が、終わりの方はアットホームな感じに。なかなか盛り上げ上手な展開だ。

古い屋敷は何変わることなくたたずんでいるが、そこで死んだ人や事件によって、幽霊屋敷と変化して行く過程。
変わって行くのは、家ではなくそこに住む者たち。

思うにこの小説は、著者の「ちいさいおうち」にたいしてのオマージュではないかと。
恩田陸版の「ちいさいおうちホラー編」みたいな。
だから本書の冒頭で、「ちいさいおうち」にちょこっと触れているんじゃないかと。


ちいさいおうち (岩波の子どもの本)
ちいさいおうち (岩波の子どもの本)バージニア・リー・バートン

おすすめ平均
stars1943年アメリカ最優秀絵本
stars最高の1冊だと思います
stars大好きな大好きな本
starsバージニア大好き
starsお気に入り

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「ちいさいおうち」とかS・キングの影響とか、著者に同時代性を感んじる時、よりいっそう小説が身近になる。
よく読む作家がなぜか同年代の人ばかりなのは、このせいなのかもしれない。

私の家では何も起こらない (幽BOOKS)
私の家では何も起こらない (幽BOOKS)恩田 陸

おすすめ平均
stars静かな狂気
starsこわいです
starsこの独特な雰囲気はさすが!
starsおしゃれな装丁にだまされます。
starsこの本は夜読んではならない

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◆他サイトの感想◆
ひなたでゆるり

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六月の夜と昼のあわいに/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:六月の夜と昼のあわいに
・著者:恩田陸
・定価:1,500円
・出版社:朝日新聞出版
・発行日:2009/6/30

◆おすすめ度◆
・めくるめくイメージの世界度:★★
・散文みたいな小説みたいな度:★★
・あわい度:

◆感想◆
様々なイメージが先行する摩訶不思議な短編集。

小説風な幾編かの小説は面白かったが、他のイメージ先行の散文みたいな短編は、どうもよく分からない。
各編の扉にある絵や詩にインスパイアされた文章、という構成なのだろうか。

なんか恩田陸がとっても遠いところに行ってしまったか、行ってしまおうとしているようだ。

ナイーブな心と詩的センスを持ち合わせている方向けか。
ガサツで直接的な自分には持て余しぎみだ。


あわい
昼と夜のあわいエフの日


題名の「あわい」自体はじめて聞く日本語。
辞書によると「物と物とのあいだ。事と事との時間的なあいだ。人と人とのあいだがら。相互の関係。」 なかなか意味深で趣きのある言葉だ。
でも何が本意なのか、いまいちわからん。
逢魔時の反対?

「おまえの感想ではさっぱり分からん」という方は、朝日新聞出版のHPでさわりを読んで、雰囲気だけでも・・・
六月の夜と昼のあわいに/朝日新聞出版
(立ち読みをクリックすると読めます)


六月の夜と昼のあわいに
六月の夜と昼のあわいに恩田 陸


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メガロマニア/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:メガロマニア
・著者:恩田陸
・定価:1,500円
・出版社:NHK出版
・発行日:2009/5/30

◆おすすめ度◆
・中南米遺跡巡り紀行文度:★★
・神秘的でファンタジックな世界度:★★
・恩田陸は写真も撮る度:★★

◆感想◆
中南米のマヤ・インカ文明遺跡を巡った紀行文。
NHKでTV放映した番組に、著者が紀行文を寄せるために企画されたもの。

メキシコ、グァテマラ、ペルーと巡り、遺跡から著者が受けたインスピレーションが書かれている。

自分自身、古代史とか遺跡とかに興味がないせいか、あんまり興味深い内容ではなかったが、インカ・マヤ文明に興味のある方にはリアルな紀行文として読めるのかもしれない。
掲載されている写真も、ちょっと全体が分かりにくいところがミソか。

興味を惹かれたのはサブストーリー的な話題の方。

宿泊したホテルで不思議な音がして目覚めたちょい恐話しや、冒頭で紹介される手塚治虫のマンガの話しの方に心を奪われる。


メガロマニア―あるいは「覆された宝石」への旅
メガロマニア―あるいは「覆された宝石」への旅恩田 陸


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本文冒頭で紹介された手塚治虫のマンガは、「生けにえ」(ザ・クレーター収録)。
著者の紹介文を丸ごと「メガロマニア」から引用すると

アステカで生贄になる少女が首を斬られようとする前に、「あと十年生きたいのです。平凡なふつうの人と結婚して子どもをつくり、しあわせな家庭をもって・・・それから死にたいんです」と願ったのがかなえられ、記憶のない日本人の娘として男と出会い結婚して子供を産み、望み通りの十年を過ごし、十年目に家族の前からふっと掻き消え、気がつくとアステカの神殿で首を斬られていた・・・


あらずじを聞いただけで、鳥肌が立つようだ。
うーん、読んでみたいぞ「生けにえ」。


ザ・クレーター (1) (手塚治虫漫画全集 (218))
ザ・クレーター (1) (手塚治虫漫画全集 (218))手塚 治虫


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◆他サイトの感想など◆
NHKスペシャル 失われた文明 インカ・マヤ/NHK
 ここでも恩田陸の旅行記が読める。写真もふんだんにあり!
メガロマニア/NHK出版WEBマガジン
 これを読めば十分?
旅の支度/旅の始末

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