fc2ブログ
2024/01/07

路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅/宮田珠己 散歩エッセイの感想

◆読んだ本◆
・書名:路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅
・著者:宮田珠己
・初版出版社:亜紀書房
・初版発行日:2023/11/25


◆おすすめ度◆
・斜め上行く散歩日記度:★★★
・変なもの好きな著者が、さらにターゲットを拡張度:★★★
・自分の住んでるところを散歩したくなる度:★★★


◆感想◆
石や大仏などの変なモノ好きな著者が、ガスタンクやタコ滑り台や電線や鉄塔にもワクワクしだすというマニアックな散歩日記。「変な街並み愛」が溢れてます。
自分の住んでるところを散歩したくなりますね。

巻末の「散歩ブックガイド」には、それはもうデープでコアでマニアックな本がズラリ。
壮観です。


【広告】

◆関連記事◆
<書評>『路上のセンス・オブ・ワンダーと遥(はる)かなるそこらへんの旅』宮田珠己(たまき) 著:東京新聞 TOKYO Web

2023/08/12

明日ロト7が私を救う/宮田珠己 エッセイの感想

◆読んだ本◆
・書名:明日ロト7が私を救う
・著者:宮田珠己
・初版出版社:本の雑誌社
・初版発行日:2023/7/26


◆おすすめ度◆
・ロト7のめり込みエッセイ度:★★★★
・笑える身辺雑記度:★★★★
・宮田節絶好調度:★★★★


◆感想◆
著者がロト7を当てるべく、約10年に渡って奮闘してきた全記録!
っていう雰囲気を醸し出しつつ、コロナ禍で仕事や人生に危機を感じた著者の、爆笑身辺雑記。

様々な当選数字の予想方法を試して、ロト7必勝法を追求したり、
コロナで家に閉じこもり、やる気もどんどんなくなってきて、このままでは廃人になる!と危惧したり、
コロナで旅行ができないため、散歩にのめり込んだり。
いつもより宮田節が絶好調で笑えます。

この本を読んでロト7をやってみようという気には全然なりませんでしたが、「もし当たったら」と想像することで明日への活力が維持できるという著者の考えはよくわかります。
当たらないのが身のためかもしれませんね。


【広告】

◆関連記事◆
宮田珠己『明日ロト7が私を救う』試し読みページ公開/本の雑誌社

2022/06/19

のぞく図鑑 穴: 気になるコレクション/宮田珠己 図鑑の感想

◆読んだ本◆
・書名:のぞく図鑑 穴: 気になるコレクション
・著者:宮田珠己
・初版出版社:小学館
・初版発行日:2022/6/15


◆おすすめ度◆
・小学生向け図鑑度:★★★★
・とにかく『穴』度:★★★★
・巻末の問題は4問正解でした度:★★★


◆感想◆
世界中の『穴』を集めた図鑑。
洞窟や火山の穴や鉱山の穴、5円玉の穴やブラックホールや地下トンネルと、あらゆる穴の集大成。
著者らしいヘンテコな図鑑ですね。
漢字にはすべてルビがふってあって、小学生も楽しく読めそうです。

巻末には掲載されていた穴に関する『穴うめ問題』20問が。
どれだけちゃんと読んだか確かめられる仕組みになってます。
自分は正解が4問。
真面目な読者じゃなかったようで反省中です。

印象的だったのは、『穴が怖い! 穴が嫌い!』というコラム。
穴恐怖症や集合体恐怖症とならび「ダム穴恐怖症」の記述が。
はじめて「ダム穴」の写真を見たとき、得も言われぬ衝撃をうけて、なぜか写真や動画を見まくったことがあったのですが、自分は「ダム穴恐怖症」だったのですね。
怖いもの見たさで見まくっていたのだとガッテンしました。

【広告】

◆関連記事◆
世界一有名なダム穴。米カリフォルニア州ベリエッサ湖のモンティセロダムの洪水吐。

2021/12/15

アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険/宮田珠己 旅行記の感想

◆読んだ本◆
・書名:アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険
・著者:宮田珠己
・初版出版社:大福書林
・初版発行日:2021/10/11


◆おすすめ度◆
・ほら話旅行記度:★★★
・奇っ怪な動植物がてんこ盛り度:★★★★
・冒険小説好きの少年むけ度:★★★★


◆感想◆
不思議な実がなるバロメッツや美人果、恐怖の植物マンドラゴラ、アマゾニアや犬頭人など、奇っ怪な動植物がてんこ盛りの大ボラ冒険小説。
挿絵や装丁もいい感じで、小学校の図書館にあったら冒険小説好きの少年がこぞって読みそうです。

【広告】
2020/06/06

ニッポン脱力神さま図鑑/宮田珠己 写真集の感想

◆読んだ本◆
・書名:ニッポン脱力神さま図鑑
・著者:宮田珠己
・初版出版社:廣済堂出版
・初版発行日:2020/5/27


◆おすすめ度◆
・ユニークな神さま写真集度:★★★★
・ヘタウマぶりが異次元な神さま度:★★★★
・子供が見たら泣きそうな神さま度:★★★


◆感想◆
日本の各地にある神様のうち、「田の神さあ」「鬼コ」「国東仁王さま」「鹿児島仁王どん」「人形道祖神」「肥前狛犬」の6つについて、そのヘタウマな魅力を紹介するという写真集。
ヘタウマ絵好きの著者が選んだ、よりすぐりの、真剣に下手な神様たちが素晴らしく笑えてなごめる。

どこにでも神様がいる日本では、誰もが神様を造形して祀っていたんだなあ。これが生活に根付いた信仰のあり方なのかも。なんていう考えも浮かぶものの、そのヘタウマぶりに仰け反る。
なかでも「田の神さあ」の異世界ぶりがすごい。
やっちまった感あふれる表情に、著者の感性が伺える。

歴史的背景も調べてあったりして、著者は興味が向かわないようだが、民俗学的な資料としても有益なんじゃないかと、ちらっと思ったりして。

人生に行き詰まったとき、本書に登場する神様にお願いすれば、ご利益があること間違いなし。
少なくとも、ヘタウマ神さまに祈願する自分が笑えてきて、自分の悩みがちっぽけであることに気付かされる。

【広告】
2019/02/05

ニッポン47都道府県正直観光案内/宮田珠己 エッセイの感想

◆読んだ本◆
・書名:ニッポン47都道府県正直観光案内
・著者:宮田珠己
・初版出版社:本の雑誌社
・初版発行日:2019/1/22

◆おすすめ度◆
・マニアック観光案内度:★★★
・画像検索しながら読むと、なお面白い度:★★★
・著者自身の観光マニアぶりもすごい度:★★★

◆感想◆
ですます調の文章で、今までとなんか印象が違うなぁ、なんて思ったけど、内容はいつもの著者らしいマニアックで偏向的な旅行エッセイ。
普通の旅行に飽きた方向けのマニアックなスポットが満載です。

 閉所恐怖症の人はおののくのが必至の穴禅定。
 高所恐怖症の人には聞くだけで鳥肌が立ちそうな無明橋。
 やたらと見たくなる桃洞滝。

画像検索すると、マニアックぶりがわかります。
っていうか、出てくる観光スポットは全部画像検索しながら読みました。

著者の得意な石仏やジェットコースターや石拾いに話が向かいがちですが、ちょっと行ってみたくなる所ばかり。
これだけマニアックな観光をしてきた著者自身にも感心します。

【広告】
2018/07/18

無脊椎水族館/宮田珠己 エッセイの感想

◆読んだ本◆
・書名:無脊椎水族館
・著者:宮田珠己
・初版出版社:本の雑誌社
・初版発行日:2018/6/21

◆おすすめ度◆
・無脊椎動物大好きエッセイ度:★★★★
・変な生き物に魅入られる度:★★★★
・写真もユニーク度:★★★★

◆感想◆
『無脊椎動物という変な生き物を見ていると、前向きに陰気になれる』と提言する著者が、日本全国の水族館を訪れ、クラゲやイカ、イソギンチャクやウミウシなどの無脊椎動物の奇妙さを、思う存分ぶちまけた水族館紀行。

著者の本領発揮な斜め上行くエッセイ。

フグに迷路を見出したり、カニやエビは昆虫だと喝破したり、クラゲの生態に異次元を感じたり。
目の付け所がさすがです。

掲載されている写真もふんだんでユニーク。
目を奪われる奇妙さと美しさが同居している。
最後に登場するボウシュウボラも強烈。ラスボスにふさわしい威容だ。

たぶん実際に自分で水族館に行って無脊椎動物を見るより、本書の写真や著者の文章を読んだほうが、変な生き物を堪能できるのではないかと。
自分だけでは著者のように変な生き物にのめり込めないだろうし、変な部分を堪能できないかと。
本書を読むと、水族館に行く以上に無脊椎動物に触れた気がする。

そういう意味では本書は、水族館以上に水族館している。
全然アカデミックじゃないところも素晴らしい。

【広告】

◆関連記事◆
精神の安定には「水族館」へ 紀行エッセイストの19館探訪 | レビュー | Book Bang -ブックバン-