だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

グラウンド・ゼロ/保科昌彦

◆読んだ本◆
・書 名:グラウンド・ゼロ
・著 者:保科昌彦
・出版社:角川書店
・定 価:1,500円
・発行日:2008/8/31

◆評価◆
・スリルとサスペンス小説度:★★
・ホラー小説度:
・収束する展開度:

◆感想◆
車の運転中に新聞記者の岡谷は、道路上に倒れている男を発見する。車を降り「大丈夫か?」と大声で尋ねると、倒れていた男はかすれた声で「奴をとめろ」と言い意識をなくしてしまう・・・

本屋の平台に置いてあったこの本。
保科昌彦って、読んだ事あったかなぁ?とか思いながらも「読みはじめたら止まらない!」と「日本ホラー小説大賞出身の実力派著者、渾身の一作!」のコピーを見て、つい買ってしまった。

内容は、病院を舞台にした誘拐騒動、これにまつわる公安やSATの活動、横須賀基地への原子力空母寄港反対デモ、主人公岡谷の妻の独白と、なんだか取り留めのないもの。
「どういう展開になるのかサッパリだ」と思いながら読みつつも、後半ようやくB級小説らしく物語が収束したとたん、また雲散霧消みたいな。

いったいテーマは何なんだ!
何が言いたい!
この小説は、これから起きるだろう大事件の前ふりか?!
 と言いたくなるような小説だ。

文中、登場人物が病院で起きている奇怪な出来事や銃撃戦に対し「私にはさっぱり分からない。そもそも、これはどういう事なんだ?」という台詞があるが、自分の感想もそのまんまだ。

もうちょっと、なんとかならなかったのかなぁ。
少年について、詳しく深く掘り下げるとかね。





「グラウンド・ゼロ」を読み終わってから保科昌彦の本を読んだ事があるか調べる。
こういう時、パソコンは便利だ。あっというまに「生還者」というホラータッチの小説を読んでいた事が分かっちゃう。
けっこう面白く読んでいたみたいだけど、昔読んだ本のことをあんまり覚えていない自分に、やや不安を感じる。


グラウンド・ゼロ/保科昌彦の表紙
 

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生還者/保科昌彦

◆読んだ本◆
・書 名:生還者
・著 者:保科昌彦
・出版社:新潮社
・定 価:1,600円
・発行日:2007/4/20

◆評価◆
・ホラー+ミステリー+サスペンス度:★★★★
・生還者たちに起きる戦慄の異変度:★★
・しだいに狂って行く恐怖度:★★★★

◆感想◆
奥秩父の山中にある温泉旅館に宿泊していた人々が、台風による山崩れで生き埋めとなる。4日後に救出された人たちは「奇跡的の生還者」と呼ばれたが、半年後、彼等に不審な事が起きて…

生き埋めになりながらも一命を取り留めた登場人物たちの、真っ暗やみの中での出来事と、半年後に起き始めた生還者の不審死が、交互に語られる展開。

生き埋めになった人たちの間で、いったい何があったのか!
葛藤の中で明らかになってゆく、生還者たちの過去の所業。
閉鎖された空間での、息詰まるサイコサスペンス、って感じの展開だ。

人物描写も平板ではないし、怒ったり詰ったり諌めたりと人間性がむき出しになって行く姿が、ドラマチック。

一方半年後のパートは、生還者の一人である図書館司書「沢井」の視点で語られる。
事故死した恋人を思う沢井は、彼女の死の責任を感じて内向的に。
さらに生還者が次々と不振な死を遂げていることを知り、言い様のない恐怖にかられ、死んだ原因を調べはじめる。

生き埋めになっている時「生還者」たちに何が起きたのかが明らかになって行くにつれ、今起きようとしていることがホラー&ミステリアスに展開!

自分ではさほどおかしいと思っていない司書「沢井」が、しだいにおかしくなって行き、果ては傍から見ると子供が泣き出すような面相にまでなってしまうという「狂気」の描写もいい。

沢井の事を心配する広中小絵(同僚の新人司書・童顔)は、彼のミスをかばったり食事を誘ったりとけなげに接近するのだが、沢井は取りつく島もない。
なんか彼女が可哀相に見えてくるが、アブナイ状態の沢井に好意を寄せる広中小絵も、ちょっとアブナイかもしれない。

生還者/保科昌彦の表紙
 

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