だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

YOU!/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書名:YOU!
・著者:五十嵐貴久
・定価:1,300円
・出版社:双葉社
・発行日:2010/10/24

◆おすすめ度◆
・友情と絆の青春小説度:★★★
・映画「フラッシュダンス」みたい?度:★★★
・活き活きしてるぜ度:★★★

◆感想◆
アルバイトに映画のエキストラをしようと面接会場に行った優(♀)は、ひょんなことから男性アイドル事務所のオーディションを受けることに…

女の子が男性アイドルのオーディションに合格してしまいうというトンデモ設定。
おまけに練習生の中でも抜きん出た才能を発揮しはじめて、女であることを隠しながらも新人グループとして男子と一緒に頑張っちゃうという青春小説。

ま、設定に無理はあるものの、それを感じさせない勢いとスピード感で読ませるところは、さすが五十嵐貴久。
なんでもそつなくこなします。
おまけにヒッポホップダンスのリアルな描写までして、なんだか実際にやったことがあると思わせるほどだからたいしたもんだ。

登場人物もカッコいい奴、ちょっと悪い奴、気のいい奴、クールな奴とバラエティーに富んでるし、爽やかでハッピーエンドな展開は女子中学生向けのテレビドラマにもうってつけだ。

ヒッポホップダンスってなに?な方は、youtubeで見てからどうぞ。
若い方は一緒にダンスしてもいいですが「踊りと言えば盆踊りしかしらない」という方は、無理されないように。

YOU!

五十嵐 貴久 双葉社 2010-10-20
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交渉人・籠城/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書名:交渉人・籠城
・著者:五十嵐貴久
・定価:1,500円
・出版社:幻冬社
・発行日:2010/6/25

◆おすすめ度◆
・シリアスな立て篭りミステリー小説度:★★
・スリルとサスペンスの交渉劇度:★★
・少年法への疑問度:★★

◆感想◆
店内にいた客を拉致監禁した喫茶店の店主福沢は、自ら警察に電話をする。
いったい福沢は何をもくろんでいるのか、交渉人として福沢に接触する遠野麻衣子は、人質を解放させ、そして事件を解決できるのか! なサスペンス小説。

交渉人シリーズの最新作。
前作「交渉人 遠野麻衣子・最後の事件」は面白かったんだけど、本書はいまいち。
なんだか2時間サスペンスドラマのノベライゼーションみたい。

読みどころは、喫茶店に籠城した犯人と刑事部遠野麻衣子の駆け引きなんだけど、やや盛り上がりに欠ける。
犯行に及んだ背景の、少年法に対しての言及も通り一遍だし。
クールビューティな遠野麻衣子が魅力的な女性に描写されていないし。

結末も、もっとトンデモな結末を想定しているミステリー好きな読者もいるだろうと思わせる、想定内な感じ。

うーむ。
悪口ばっかりだ。
ジャングルみたいに暑い梅雨のせいにもしとこう。


交渉人・籠城
交渉人・籠城五十嵐 貴久


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夜中に寝苦しくって目覚めると、右手に「交渉人・籠城」を持ったまま寝ていた。
温度計を見ると、気温30度、湿度80%!(ここはジャングルか?)

きっと「寝苦しく不快」と「いまいちな交渉人」が結びついて、「交渉人は面白くない本」と感じたのかも。
清々しい秋にでも再読してみる?

◆関連記事◆
五十嵐貴久 交渉人・籠城/活字中毒者の小冒険2:気まぐれ書評で本の海を漂う
「交渉人・籠城」 五十嵐貴久/しましましっぽ
「交渉人・籠城」五十嵐貴久/粋な提案
交渉人 遠野麻衣子・最後の事件/五十嵐貴久/サイト内

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リミット/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書名:リミット
・著者:五十嵐貴久
・定価:1.600円
・出版社:祥伝社
・発行日:2010/3/20

◆おすすめ度◆
・時限式サスペンス小説度:★★
・ラジオの深夜放送の力度:★★
・これからどうなるハラハラドキドキ度:★★★★

◆感想◆
シニカルでブラックな人気お笑い芸人の奥田雅志。彼がパーソナリティのラジオ深夜放送に自殺予告のメールが届く。だのいたずらなのか、本当の自殺予告なのか。放送局ディレクターと奥田の熱い葛藤が始まる・・・

器用さではぴか一の作家五十嵐貴久。どんなテーマでも面白い小説にしてしまう手腕は素晴らしい。
読みはじめると最後まで止められない巧さだ。

本書は、奥田雅志のラジオ番組が終わったら自殺するというメールが事件の発端。
メールはいたずらなのか?
もし本当の自殺予告メールだったら?
これから死のうとしている人を放置していいのか?
番組のディレクターや局の幹部、パーソナリティの奥田雅志達のドラマチックな人間劇が展開させる。
やや強引な展開やステロタイプな登場人物の描写に難はあるが、「一体これからどうなるっ」な興味でドンドコ読み進み、翌日は寝不足な一日なのであった。

リミット
リミット
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おすすめ平均 star
star私はあり!
star同じシーンの繰り返し
starサクサク読めました

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本の内容とは全然関係ない火事騒ぎをひとつ。

先日昼間に部屋でぼんやりしていると、やけに外が騒がしい。
救急車とか消防車のサイレンが、引っ切りなしなんである。
何事かと思いマンションのベランダから外を見ると、消防車や救急車が数十台。
パトカーもいれば工事用車両まで出動してる!
下の方を見ると、消防士が俺を見上げている。
「???」
おれに用事か?とか不思議に思いながら上の方を見ると、高層階に梯子車の先端が近づき、その先のマンションの壁には、なんとレスキュー隊員が壁を横に移動している!

おおっ!
命綱も着けずにマンションの高層階をベランダからベランダへ移動する消防隊員!
見ているだけでスリスとサスペンスだ。

結局、どこにも火災は発生しておらず、誤報とのこと。
命綱も着けずにベランダからベランダへ移動する消防隊員は、いったい何をしていたんだ?

という一瞬「タワーリング・インフェルノ」なお話でした。


◆関連記事◆
「リミット」 五十嵐 貴久 著/本の虫
「リミット」 五十嵐貴久/クルトンパパのいろいろ日記
「リミット」五十嵐貴久/図書館で本を借りよう!~小説・物語~
『リミット』 五十嵐貴久/わたしの読書録

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ダッシュ!/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書名:ダッシュ!
・著者:五十嵐貴久
・定価:1,600円
・出版社:ポプラ社
・発行日:2009/7

◆おすすめ度◆
・ドラマチック青春小説度:★★★★
・キップのいいヒロイン”桃子先輩"度:★★★★
・アホでユニークで従順な4人の男子度:★★★★

◆感想◆
陸上部のイノケン、ちょいイケメンのリョーイチ、いつもあやまってばかりのわび助、鉄道オタクで巨漢のメタボン。彼ら4人の高校2年生が「ねーさん」と呼ぶのは、陸上部のスターでキップのいい桃子先輩。
ある日ねーさんが「クラブ」に行きたいといいだして・・・

ねーさんこと桃子先輩は、後輩の面倒見もいい曲がったことが嫌いなキップのいい女子。
桃子先輩を慕い憧れる、ステロタイプだけどユニークな設定の4人の男子。
5人の高校生が織りなす青春物語の題材は、恋愛、友情、病気、別離、憧れと、ありふれた青春ものなのに一気に読んでしまう面白さ。

どこをどうすれば笑えて、どうすれば泣けて、どうすれば感動するか熟知している著者の熟練した技術がうかがえる。
それでもイヤミなく素直に読めるのは、癖のないストレートな文章と表現のたまものだ。

ミステリーな仕掛けやトリッキーな展開を持ち込まないで、ストレートな青春小説で勝負するっていうことは、著者は相当自信があるのかもしれない。

そんなうがった読み方をしても面白く読めるのは、著者の勝ちってことかな。


性格診断
タイプ別性格診断


恋愛小説とか青春小説というのは、どれだけ登場人物に感情移入できるかが面白さの決め手。
登場人物と一緒に笑ったり泣けたりすれば、「そうそう!」って共感できる。

逆に言えば、自分と同じような性格の人物が登場する小説を選んで読めば、とっても共感できるっていうことだ。
でも読まないと登場人物の性格は分からないしなあ。


ダッシュ!ダッシュ!
五十嵐貴久

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パパママムスメの10日間/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書 名:パパママムスメの10日間
・著 者:五十嵐貴久
・出版社:朝日新聞出版
・定 価:1,500円
・発行日:2009/2/28

◆評価◆
・ハートフルコメディ度:★★★
・ハラハラドキドキの青春と仕事と主婦業度:★★
・家族の絆再確認度:★★

◆感想◆
列車事故でパパと小梅の心が入れ替わり、無事もとに戻ってから2年。またまた大変なことが! それも今後はママまで!

パパとムスメの7日間」の続編。
今度はパパ、ママ、ムスメの3人の心が入れ替わっちゃうという大胆な展開だ。

娘の小梅は大学の入学式があったり、大好きなケンタ先輩との付き合いがあったりと青春まっただ中。 パパは会社でのんきなサラリーマン生活をしていたが、そこに重大事件の影が。
そんな中で3人の心が入れ替わり、大変なことに!

やや安易な設定と展開だけど、そこは著者のテクニック。それなりに笑わせたりドキドキさせたりして、ハートフルな物語に仕上げている。
上手だ。


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「男も座り小便をしよう運動」/ほぼ日刊イトイ新聞


娘の小梅は、自分の身体が見られるのが嫌で、お風呂も眼をつぶって洗うよう要求。
花も恥じらう女子大生、たとえ親とて裸を見せるわけにはいかないという事だ。
しかし、前作「パパとムスメの7日間」ではパパとムスメが入れ替わっちゃって、お風呂はなんとかするにしてもトイレはどうするんだ、トイレは?

ま、そうゆうお下劣な事にはふれないのがお約束。
きっと二人とも眼をつぶって座り小便してるんだろう。


パパママムスメの10日間/五十嵐貴久の表紙
 

◆他サイトの感想◆
粋な提案

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土井徹先生の診療事件簿/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書 名:土井徹先生の診療事件簿
・著 者:五十嵐貴久
・出版社:幻冬舍
・定 価:1,400円
・発行日:2008/11/10

◆評価◆
・少年向けミステリー短編集度:★★★
・暇な女性副警察所長と温和な獣医とその孫のトリオで解決度:★★
・獣医が解き明かす事件の真相度:★★★

◆感想◆
新米女性警察官なのに、訳ありで南武蔵野署の副所長という役職についた立花令子。とくだんやることもなく、彼女は毎日暇を持て余し気味。
そこにひょんな事で獣医の土井徹、その孫桃子と知り合う。令子は仲良くなった土井先生に事件の相談をするようになり・・・

単純に解決するように見える事件も、動物と話しができる?という土井先生の知識と見識で違った展開が見えてくる、という動物の詳しい知識をキーにしたミステリー連作集。

先日読んだ「ガリレオの苦悩」もそうだけど、専門的な技術や知識を利用したトリックが流行ってるのかな。
普通の人が見たり考えたりしても解き明かせない謎。
専門的な知識がないとわからないトリック。

普通のトリックなら「なるほど、これは一本取られた(膝ポン!)」みたいな感じになるが、あまりにもディープなトリックなど「ふーん、そうなんだ(頭ポリポリ)」って感じで、説得力に欠ける。
謎解きが小説のメインではないからそれでもいいし、トカゲ類の水の飲み方とかナキオカヤドカリについても学習できて、飲み屋で自慢できる(?)からいいけど。

ということで、そんな動物の詳しい生態とかも分かっちゃうミステリー短編集。
動物好きの方には、著者とのマニアックな知識比べができていいかも。

読みやすく癖のない著者の小説は読者を選ばないが、本書はさらに単純明快な展開で、どちらかというと若年層向きかな。



狼少女
不思議館~史実に隠された衝撃的な話~ 狼に育てられた少女


本書に登場する温和な獣医土井先生は、孫の桃子によると「動物と話せる」という設定だ。
動物が何を考えているのか分かる。スバラシい!

この設置で思い出したのは、赤ん坊の時に捨てられ、狼に育てられた「狼少女」の話し。
動物と一緒に育てば、その動物と心が通い合い、意思の疎通ができるようになるかもしれないぞ。 オレはやだけど。
それに日本語を覚えられないし。



土井徹先生の診療事件簿/五十嵐貴久の表紙
 

◆他サイトの感想◆
最後の本たちの国で
チャウ子のそれでも本を読むのだ
待ち合わせは本屋さんで


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誘拐/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書 名:誘拐
・著 者:五十嵐貴久
・出版社:双葉社
・定 価:1,500円
・発行日:2008/7/25

◆評価◆
・スリルとサスペンスの誘拐劇度:★★★★★
・最近の誘拐操作情報度:★★★★
・社会派(格差社会への低減)度:★★★★
・どんでん返しの伏線 ちゃんと貼ってるし度:★★★★★

◆感想◆
大角観光の総務部に勤める秋月孝介は、1ヶ月前にリストラした葛原が家族と無理心中したとの知らせを受ける。いたたまれなくなった秋月は会社を飛び出すが、どこに行くという宛があるわけではなかった・・・

これは面白いぞ!

会社を乗っ取られ、あまつさえリストラをする側にされた秋月。仲間の首を切りながら、自分の精神を削るような仕事。それに追い討ちをかけるような葛原の死。
さらに秋月の仕事に対する不満・不信を募らせた娘の自殺。

リストラする側もされる側も辛いという、やりきれない世の中だ。

そんなプロローグを経て、秋月の周到で綿密な誘拐計画が実行される。
これがスリルとサスペンスの展開。
最近の誘拐操作に関する情報(電話の逆探知はデジタル化のためアッという間に分かっちゃうとか)も織り込んで、従来の誘拐モノに引けを取らない完成度だ。

さらに「日韓友好条約締結」という歴史的イベントと誘拐事件が重なり、警察力が分散するといった背景や、誘拐される少女が●▲※■だったり!

中盤までは物語の展開が面白くって、グイグイ読ませる。
しかし秋月の、誘拐を企てる動機がいまいち弱いんじゃないのか? これじゃミステリー小説の仕掛けとしては面白いが、読み物としてはいまいちかな、とか思っていたら大間違い!!
あっと驚く納得のどんでん返しだ!

誘拐モノミステリーとして面白く読めるし、社会派ミステリーとしてもイケてる。
従来の著者の小説は、面白いもののオリジナリティに欠ける部分があったが、本書はそれを吹き飛ばす会心の出来。
「リカ」を読んだ時と同じくらい興奮したぞ。

誘拐/五十嵐貴久の表紙
 

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