だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

カラット探偵事務所の事件簿 2/乾くるみ

◆読んだ本◆
・書名:カラット探偵事務所の事件簿 2
・著者:乾くるみ
・定価:648円
・出版社:PHP文芸文庫
・発行日:2012/8/1

◆おすすめ度◆
・本格ミステリー小説度:★★★
・オヤジギャグが笑えないところが凄い度:★★★
・コミカルでやるせない度:★★★

◆感想◆
「カラット探偵事務所の事件簿」シリーズの第二弾。
謎解き専門の探偵事務所「カラット探偵事務所」に、たまーに舞い込む事件を、「名探偵」を自認する所長・古谷と助手にして高校時代の同級生・井上が解決するという連作短編集。

腕にハート型の日焼け後ができた高校生の、「ひょっとして女性からの愛のメッセージ?」な謎とか、エレベーター点検のため密室状態になったビルで発生した不可解な事件とか、車の軽い衝突事故に隠されていた第二の犯罪とか。
日常に潜む(あんまり潜んではいないか?)事件を、2人が次々カラット解決していく顛末記。

読みやすくってひねりも効いている。
コミカルなタッチながら、ちょっと切なかったりやるせなかったり、逆にほんわかした気分にさせたりと、人の想いもうまく描いている。

オヤジギャグが笑えないしあんまり面白くないんだが、それが堂々としていて寒いオヤジギャグ愛好家の心をくすぐるところもいいぞ。

蒸し暑い日でもささっと読める軽快なミステリー小説だ。
寒いオヤジギャグで涼しくなれるかも。

「ちなみに、こういうクイズ、知ってます? 十台の車が停められる駐車場があって、それぞれ一番から十番まで数字が振られていました…」

本編にこんなクイズがあって、答えは「九番」なんだけど、なんで九番なのかさっぱりわからないっ!

うーむ、おれのアタマは小学生並みなのか。

◆関連記事◆
カラット探偵事務所の事件簿1/乾くるみ/サイト内

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セカンド・ラブ/乾くるみ

◆読んだ本◆
・書名:セカンド・ラブ
・著者:乾くるみ
・定価:1,429円
・出版社:文芸春秋
・発行日:2010/9/30

◆おすすめ度◆
・イニシエーション・ラブ(おおっ!)度:★★★★
・三角関係(四角関係?)度:★★★★
・童貞男の執念(怨念かおんねん)度:★★★★

◆感想◆
職場の先輩紀藤からスキーに誘われた正明はしぶしぶといった体で承知するが、一緒に行く春香を目にしたときその美しさに目を奪われてしまう・・・

イニシエーション・ラブ」の衝撃、ふたたび のうたい文句なセカンド・ラブ。
乾くるみのミステリーは、いつもこんな風なキャッチコピーが付いてくる。
そうするとどうしたって「どっかに怪しい伏線とかあるがずだよな」と、重箱の隅を突くような読み方になっちゃう。
本書を読んでいても「赤電話? 怪しいぞ」「黒子? どうなんだ?」と、そっちの方ばっかり気になって。
それでもまんまと騙されちゃうのは、著者の方が一枚上手。上手な人と麻雀やってるときに、1巡先に上がられるみたいな?

そんなどんでん返しな仕掛けもうまいけど、これに美奈子の必然性をもっと書き加えてくれたら、さらに面白いミステリー小説になったかも。

それにしても春香と美奈子、ステキすぎる。
女性経験のない主人公正明が、二人に夢中になるのはしょうがないってもんだ。
「怨念がおんねん」なラストも納得?

セカンド・ラブ

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前作「スリープ」を読んだとき「これはうまい!騙されない方が無理っ」って思ったけど、どうやらSF好きな読者にはそんなに驚愕するほどの仕掛けではなかったようで。
本書もミステリ小説好きな読者には、驚くほどのモノではないのか?

◆他サイトの感想◆
ミステリっぽい本とプログレっぽい音樂
ミステリあれやこれや
たかゆきブログ Vol.3.0 ―ミステリー書評編―

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スリープ/乾くるみ

◆読んだ本◆
・書名:スリープ
・著者:乾くるみ
・定価:1,500円
・出版社:角川春樹事務所
・発行日:2010/7/8

◆おすすめ度◆
・ミステリー小説/SF小説/恋愛小説度:★★★★★
・頭の中が?でいっぱい度:★★★★★
・頭の中が!でいっぱい度:★★★★★

◆感想◆
テレビの科学情報番組でひときわ人気のある中学生レポーター羽鳥亜里沙。革新的な技術を開発した未来科学研究所を取材することになるが・・・

イニシエーション・ラブ」「リピート」に続く長編といううたい文句に、騙されないように読まなきゃと思いながら読み進むが・・・

これはうまい!
騙されない方が無理っ。

おまけにSF的な舞台と設定も見事だし、恋愛にひっかけた展開もうまいし、ハラハラドキドキのサスペンスと、「?」いっぱい→「!」いっぱいなビックリ面白小説!

「イニシエーション・ラブ」や「リピート」の作者なら十分ありえる展開だけど、なぜかミステリー作家という認識だからか、驚きが倍増。

余計な予備知識なしで読むことをおすすめ。
物語の山場で頭の中が「???」となること請け合いますっ。
そのあと「なるほど!」となることも。

「このミス」ベスト3には間違いなく入るだろう傑作面白小説だあ。


あ、合ってるっ!
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脳内メーカー

この内容をカジシンに書かせたら、とてもロマンチックな小説になったかも、なんて想像してしまう「スリープ」。
でも乾くるみだから傑作面白小説なんだろうな。
SF作家も負けてらんないな。



◆関連記事◆
スリープ / 乾 くるみ/ミステリっぽい本とプログレっぽい音樂
「スリープ」乾くるみ/たかゆきブログ
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六つの手掛り/乾くるみ

◆読んだ本◆
・書名:六つの手掛り
・著者:乾くるみ
・定価:1,400円
・出版社:双葉社
・発行日:2009/4/19

◆おすすめ度◆
・短編推理小説度:★★★
・起きる怪事件/明かされる謎度:★★
・シャレた設定と落ち度:★★

◆感想◆
起きる事件とそこにいた関係者。いったい誰が犯人か? 太ったチャップリンみたいな林茶父が、奇妙な点を解き明かすことで、事件を解明する・・・

ひとひねり、二ひねりが得意の乾くるみによる短編推理小説。
やや期待が大きすぎたか、今回はそれなりの推理小説だ。
各短編の題名に特徴があるから、なんかどえらい仕掛けがあるかと。
帯にもイニシエーション・ラブ」の乾くるみが魅せる、鮮やかな世界! と、びっくりマーク付きで書いてあるし、いやでも期待するってもんだ。

でもなんか、無いみたい。
それとも自分が気づかないだけで、とんでもない仕掛けがあるのか?

それにしてもあれだ、いとも簡単に殺人事件が起き過ぎのように感じる。
ミステリー小説だから事件が起きないことには始まらないんだが、血なまぐさい事件が簡単に起きちゃう。
短編小説だからしょうがないだろうけど、動機だってありきたりだし、登場人物も平板。
謎解きのために起きる事件。

好きな著者には期待しすぎるから困ったもんだ。


好き好き大好き超愛してる。


好きな作家の本を読むときは、以前読んだ本と同等以上の面白さを期待してしまう。
それを裏切らないから「好きな作家」なんだけど、もっと大人の恋愛みたいな気持ちで読むのがいいかもね。
「あたしはスキスキ大好き。だからもっと愛して!」じゃなくて、「そのままのあなたが好き」みたいな。
そうすれば、少々面白くない本を読んでも「ステキなひと時をありがとう」って気分になるれるかも。
(ま、金も払ってるし、そんな聖人君子みたいな考え方はできないが)


六つの手掛り
六つの手掛り乾 くるみ


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◆他サイトの感想◆
taipeimonochrome ミステリっぽい本とプログレっぽい音樂

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カラット探偵事務所の事件簿1/乾くるみ

◆読んだ本◆
・書 名:カラット探偵事務所の事件簿1
・著 者:乾くるみ
・出版社:PHP研究所
・定 価:1,400円
・発行日:2008/9/30

◆評価◆
・謎解きミステリー小説度:★★
・コミカルミステリー小説度:★★★
・ハートウォーミングミステリー小説度:★★★

◆感想◆
「あなたの頭を悩ます謎を、カラッと解決いたします」という宣伝文句の探偵事務所。浮気調査や信用調査は苦手とする、謎解き専門の探偵事務所だ。所長の古谷と助手の井上が、今日も事務所で暇を持て余していると・・・

コミカルでハートウォーミングなミステリー短編連作集。
サム・スペードやフィリップ・マーロウが登場するミステリー好きの助手井上と、関係者全員を集めて「さて、犯人はこの中にいます」みたいなミステリーが好きな所長古谷。
デコボココンビ風の2人がはじめた探偵事務所に、ぽつりぽつりと相談が舞い込む。

 ・未開封の卵のパックから、中身の卵だげがなくなって
 ・家宝の在処をしめす三首の和歌に込められた暗号
 ・団地にばらまかれた怪文書

こんなナゾをカラッと解決した顛末記だ。

6つの短編とも、事件の謎解を解き明かしながら事件の裏にある登場人物の心を優しく解決させるという、ほんわかムードのミステリー。
なかなかうまいぞ!
ストーリーもシンプルで癖がなく、とっても読みやすい。
うららかな休日の午後にはもってこいだ。

乾くるみというと「イニシエーション・ラブ」が印象深いが、そういうどんでん返し的な読み方はしない方がいいだろう。
主人公と一緒になって、ああでもないこうでもないと、ぼんやり謎を解くのが正しい読み方だな。
あまり過大な期待をしない方がいい。

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なぞなぞをひとつ。

  まごはまごでも、生まれてないまごってなーんだ?


  答え:ごまた(←逆から読んでね)


カラット探偵事務所の事件簿1/乾くるみの表紙
 

◆他サイトの感想◆
最後の本たちの国で
ミステリあれやこれや

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イニシエーション・ラブ/乾くるみ

◆読んだ本◆
・書名:イニシエーション・ラブ
・著者:乾くるみ
・出版社:原書房
・定価:1,600円
・発行日:2004/4/5

◆評価◆
・帯に書いてある通りの仕掛け度:★★★★
・うぶな青年の恋物語/いくつかの通過儀礼度:★★★★
・やっぱし女の方が逞しいという側面まで描写度:★★★

◆ひとこと◆
真面目な鈴木(たっくん)は、友人の望月から合コンに誘われる。そこで出会った成岡(マユ)に、たっくんは惹かれて行くが…

合コンもカラオケもしたことのないたっくんが、マユを恋しく思うようになる様は、恥ずかしくなるくらいの青春小説。
しかし帯には「ぜひ、2度読まれることをお勧めします」のうたい文句が。
この恋愛小説のどこに文章の罠や伏線があるのか、注意深く読み進む。それらしい所はチェックしたものの、最後は著者の企みにまんまとハマってしまった。
おみごと!

おまけに、女性の逞しさ(ふてぶてしさ?)まで描き出したりして。
物語の設定上の産物かもしれないが、このアンバランスな感覚もいい。可愛がっていたタマが、どこぞのオスネコの仔を身ごもっているのに気付いた時のような感じ。
これをもっと強調すば、より読者を惹き付け驚かす小説になったかも。
おしい!

でも、たっくんとマユには、幸せになって欲しいね。
新たなる通過儀礼があるかもしれないけど。


イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)
イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)乾 くるみ

おすすめ平均
starsターゲットはどこに?
starsよくできた作品
stars本を読むことはストイックだが、本を書くことはもっとストイックな気がした。
starsドンデン返しはすごいけど、作品としては・・・
stars期待はずれ

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