だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

これから読む予定の新刊本

これから読む予定の新刊本はこれ! 早く来い来い発売日。

2014/5/19
いい感じの石ころを拾いに/宮田珠己

2014/5/23
虚ろな十字架/東野圭吾

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僕の光輝く世界/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:僕の光輝く世界
・著者:山本弘
・定価:1,500円
・出版社:講談社
・発行日:2014/4/8

◆おすすめ度◆
・少年向けミステリー小説度:★★
・アントン症候群にも俄然興味がわく度:★★★
・ちょっとメタっぽい度:★★★

◆感想◆
いじめが原因で脳に重大な障害を負った少年・光輝。目が見えないのに、視覚があるように感じるというアントン症候群となってしまったのだ。そんな彼が見えない世界を観ることで、身の回りに起きた事件を解き明かしていく…

ちょっとオタクで明るい光輝と、美少女キャラだと思ったらひねくれ女子だった夕の二人が主役。
アントン症候群というとっても不思議な症状を呈する障害をベースに、それを逆手にとって事件を解決するというミステリー小説だ。

障害があるとはいえ、またひねくれてるとはいえ、主役たちの明るさや爽やかさが横溢している展開。
ちょっとメタっぽい現実の厳しさを織り込んだような描写や、「と学会」なネタもあったりする、ユニークな少年向けのミステリー小説になっている。

そんな小説の面白さもさることながら、俄然興味がわくのが「アントン症候群」。
失明しているのに患者がまるで見えているかのように振る舞うので、盲目になっているにの気付くのに数日かかった、なんていうにわかには信じがたいこの障害。
人間て不思議だ。

自分が未来の宇宙のヒーローだと思いこんでいるカーク・アレン(仮名)という物理学者のエピソードもびっくり。
その思い込みの世界を真実だと信じ、架空世界の地図や歴史や体験したことなどを膨大な手記として残していたという。
人間て不思議だ。

詳細は宇宙を駆ける男―精神分析医のドキュメント (絶版です)

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「僕の光輝く世界」、これを読みたかったんだ!/怪しい日記・新型
『僕の光輝く世界』/山本弘のSF秘密基地BLOG

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ゴースト≠ノイズ(リダクション) /十市社

◆読んだ本◆
・書名:ゴースト≠ノイズ(リダクション)
・著者:十市社
・定価:1,700円
・出版社:東京創元社
・発行日:2014/1/30

◆おすすめ度◆
・ミステリーのようなホラーのような青春小説のような度:★★★
・いじめテーマの学園もの度:★★
・おおっ! おお? おぅぅ度:★★

◆感想◆
ちょっとした出来事をきっかけに、クラスの中で孤立するようになった高校一年生の一居士。クラスメイトから無視され“幽霊”のような存在の彼に、一人の女子高生が近づいてくるが…

中盤までは「いじめ」がテーマの学園小説みたいで、気分が暗くなること必至。
中盤からミステリー小説っぽい展開がでてきて「おおっ!」っとなるものの、盛り上がりに欠けるまま「おお?」な展開に。

いじめや友情をテーマにした学園小説に徹した方が、読んだ後も爽やかだったような気がする小説でした。

主人公の一居士と、クラスメイトの女子高生の会話は、お互いの心のうちを探り合うようで、心理描写がうまいとも言えるけど、なんだかまどろっこしいとも言えて微妙。
もっとスカッと、バーンといきたいものです。

本書は本の雑誌で「本年度のベスト級作品と断言してもいい傑作だ」と紹介されていて、「そんじゃ」と購入。
ちょっと期待が膨らみ過ぎたか。
湊かなえのファン向きかもしれません。

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「セルフパブリッシングで注目の、あの作家に聞く」 『ゴースト≠ノイズ(リダクション) 』十市 社さん/DOTPLACE
今年読んだ100冊の中で一番面白かった本は ゴーストノイズリダクションでした。/ふりむけばコウホウ

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ぼくは〈眠りの町〉から旅に出た/沢村凛

◆読んだ本◆
・書名:ぼくは〈眠りの町〉から旅に出た
・著者:沢村凛
・定価:1,400円
・出版社:角川書店
・発行日:2014/1/30

◆おすすめ度◆
・少年少女向けの心暖まるファンタジー小説度:★★★
・自分探しの旅/仲間との固い結束度:★★
・予想不能の結末度:★★★

◆感想◆
悩みも不安もない穏やかな〈眠りの町〉。そこで一人の奇妙な男に出会った「ぼく」は、その男につれられるようにして旅に出るが…

なんだかフワフワとした心地よい夢の国にいるような「ぼく」が、仲間を捜しながら自分探しの旅をするというロードノベル風のファンタジックな冒険小説。

多感な小学生が読めば清く正しい大人になりそうな正統派ファンタジーでありながら、おじさんが読んでも「いったい結末はどうなるんだ?」という興味がラストまで持続するあっぱれな展開。
とっても心暖まる結末も、学校で嫌なことがあって凹んでる小学生にぴったりです。

うつらうつらとしている〈眠りの町〉、とっても魅力的です。
そこから自分探しの旅に出るより、自分がないままへらへらと過ごしたいと思うのは人生に疲れている証拠でしょうか。

同時に出版された「通り雨は〈世界〉をまたいで旅をする」は、ファンタスティックなSF。こっちは小学女子向け?なストーリーでしたが、骨太なファンタジー小説を手がける著者らしく、特異な物語世界を築いてます。

◆関連記事◆
『ぼくは〈眠りの町〉から旅に出た』『通り雨は〈世界〉をまたいで旅をする』著者 沢村凛さん bestseller's interview 第54回/新刊JP

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機龍警察 未亡旅団/月村了衛

◆読んだ本◆
・書名:機龍警察 未亡旅団
・著者:月村了衛
・定価:1,900円
・出版社:早川書房
・発行日:2014/1/25

◆おすすめ度◆
・近未来警察小説度:★★★★★
・スリルとアクションと謀略とテロ度:★★★★★
・過去を背負った登場人物たちの生き様度:★★★★★
・眠気を吹っ飛ばす面白さ/完結まで死ねない度:★★★★★

◆感想◆
チェチェン紛争で家族を失った女性だけで組織された「黒い未亡人」。日本に潜入した彼女たちがテロを計画しているという情報が…

チェチェン紛争の実態と、その犠牲者である「黒い未亡人」たちの生い立ち。
「龍機兵」とテロリストたちとの手に汗握るアクションシーン。
警察内に根を張る組織の確執と、しだいに明らかになる「敵」の存在。
そして、登場人物一人ひとりの過去と現在が、複雑な網の目のようにからまり物語が展開する。

読み始めたら止まりません。眠気も吹っ飛ぶ面白さ。
チェチェン紛争に巻き込まれた人々の苦しみに胸が締め付けられ、むごいテロの情景に背筋が寒くなり、最新の近接戦闘兵器・龍機兵に搭乗した気分で手足を振り回したくなり、思わず涙と鼻水もこぼれそうになるという、読者の身体にもダメージを与えかねない精緻さと迫力。

警察小説やアクション小説、SF小説としても面白さも抜群ですが、読者を魅了するのは自らの信じることを貫こうとする登場人物たちの「魂」。
そしてそのぶつかり合い。

このシリーズ、巻を追うごとにスケールアップし、人物に厚みが出てきて、面白さに拍車がかかってます。
シリーズが完結するのを見届けるまでは死ねませんっ。

2ページに渡る登場人物一覧表。
普通は読んでる途中で見返して確認したりするんですが、本書ではそんな必要がないくらい人物が生きてます。
新しい缶コーヒーが出たら姿警部に教えたくなるくらい、缶入りおしるこを馬面の曽我部警視に差し入れしてもいいかなと思うくらいに人物描写がすぐれていて印象に残ります。

◆関連記事◆
『機龍警察 未亡旅団』(月村了衛)/馬場秀和ブログ
機龍警察 暗黒市場/月村了衛/サイト内
機龍警察 自爆条項/月村了衛/サイト内

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ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ /三上延

◆読んだ本◆
・書名:ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~
・著者:三上延
・定価:570円
・出版社:メディアワークス文庫
・発行日:2014/1/24

◆おすすめ度◆
・古書にまつわるミステリー小説度:★★★
・栞子と大輔の関係はいかに!度:★★★★
・全然気づかなかったトリック度:★★★★

◆感想◆
やたらと本に詳しいわりに、接客にはまるで不向きな美人の古書店店長・栞子。そんな彼女に告白した無骨な青年店員・大輔。二人の関係はいかに! そして栞子の母・智恵子はどのように物語に関わってくるのか…

という「ブリア古書堂の事件手帖」シリーズの第5巻。
「彷書月刊」「ブラック・ジャック」「われに五月を」などの古書にまつわる謎を解き明かしていきながら、栞子と大輔の恋の行方が描かれる。
相変わらず古書の蘊蓄はマニアックだし、栞子の推理も光ってる。

「知識」の奈落にはまっている智恵子という「モンスター」が、なんだかとってもおどろおどろしい印象で「あんまりリアリティないなぁ」なんて思っているときに、テレビで荒俣宏を発見。
やっぱリアリティあるんだな、と思いを替えた次第です。

エピローグの栞子と大輔のシーンは、前作の「ライトノベルなノリ」同様、なんだかとってもいい感じで胸キュンです。

プロローグを読み違えた読者が、アマゾンのレビューを読んで目から鱗のトリックに「やられた!」と関心しているようだけど、プロローグを読み違えるどころかなーんにも気づかなかった自分はいったい…
「4巻のカバー」にも同じようなトリックがあるらしいが、カバーをろくに見もしない自分はいったい…

◆関連記事◆
『ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~』 三上延 > 「このミス」完全読破 No.718/朴念仁と居候
シリーズ累計550万部突破! メディアワークス文庫『ビブリア古書堂の事件手帖』最新第5巻発売!/PR TIMES
ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~/三上延/サイト内
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~/三上延/サイト内

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星を創る者たち/谷甲州

◆読んだ本◆
・書名:星を創る者たち
・著者:谷甲州
・定価:1,700円
・出版社:河出書房新社
・発行日:2013/9/30

◆おすすめ度◆
・宇宙土木SF小説度:★★★★
・エンジニア魂度:★★★★
・驚愕のラスト度:★★★

◆感想◆
太陽系の惑星で大規模な地下鉄やドームなどを製作する、現場のエンジニアたちを主人公にした宇宙土木SF連作短編小説。

月の地下交通トンネル工事、火星の与圧ドーム建設、水星の射出軌条建設予定地で起きる事故など、月、火星、水星、木星、土星、そして太陽をも舞台にして起きる工事現場での事故や不測の事態。これに対応するエンジニア達の懸命な姿。

いいですね、こういう現場のエンジニア達の活躍。

巻頭作の「コペルニクス隧道」を読んだときには「土木現場や圧送システムをよく調べているなあ」と関心至極。
後半にはいってだんだん政治的な駆け引きなんかも描写されるようになったり、いまいち登場人物に感情移入できない流れがあったりして「それはどうかな」と思いつつも、ラストの表題作「星を創る者たち」の大風呂敷にも驚愕。

土木関係の仕事に就いているSFファンは必読です。

◆関連記事◆
星を創る者たち 谷甲州著 宇宙工事 過酷さへの挑戦/日本経済新聞
星を創る者たち ~土木SF/k-takahashi’s 雑記
谷甲州「NOVA COLLECTION 星を創る者たち」河出書房新社/ちくわぶ
星を創る者たち/せでぃのブログ

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茅田砂胡 全仕事1993-2013/茅田砂胡

◆読んだ本◆
・書名:茅田砂胡 全仕事1993-2013
・著者:茅田砂胡
・定価:1,500円
・出版社:中央公論新社 C・NOVELSファンタジア
・発行日:2013/11/25

◆おすすめ度◆
・デルフィニア戦記後日談度:★★★★
・オールスターキャスト度:★★★★
・かつての輝きが復活度:★★★★

◆感想◆
「全仕事」と銘打つだけあって、構成されるのは「桐原家の人々番外篇」「祝もものき事務所番外篇」や描きおろしコミックや著者へのロングインタビューなどなどだが、本書のほぼ半分はデルフィニア戦記の後日談である「紅蓮の夢」で占められている。

著者の本とは、思い出だけが楽しい「別れたむかしの彼女」みたいな関係だったのだけれど、「紅蓮の夢」の評判が良さそうなので読んでみると…

これがなんだか面白い!
デルフィニア戦記の登場人物が、超法規的処置で勢揃い。
かつてのわくわくドキドキを味わえる面白さ。
ストーリーは本編同様、窮地にあるウォル王を助けるため、リィが敵をバッサバッサとなぎ倒す不変の展開。
そこにデルフィニア戦記のオールスターキャストが絡んで大盛り上がり、みたいな。

「別れたむかしの彼女」と完全に決別するにはちょうどいい本でした。

感想は「紅蓮の夢」だけで、他の番外編やコミックは含んでません。
あしからずごめんなさい。

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茅田砂胡全仕事1993-2013 / 茅田砂胡Add Star/屋根裏物置
『茅田砂胡全仕事 1993~2013』デルフィニアの大地に降り立つ妃将軍『茅田砂胡』/ シューアイス・ツヴァイ
[茅田砂胡 全仕事1993-2013]PV ver.2

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