だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

これから読む予定の新刊本

これから読む予定の新刊本はこれ! 早く来い来い発売日。

2014/9/17
猫が足りない /沢村凜

2014/9/18
土漠の花/月村了衛

2014/9/25
鹿の王 上 生き残った者/上橋菜穂子
鹿の王 下 還って行く者/上橋菜穂子
 「守り人」シリーズや「獣の奏者」シリーズがめちゃ面白い上橋菜穂子の長編。期待できます。

2014/9/26
フォルトゥナの瞳/百田尚樹

2014/9/29
繁栄の昭和 /筒井康隆

2014/10/9
純喫茶『一服堂』の四季/東川篤哉

2014/10/20
老人脳はなぜ先が見えるのか /立花隆

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荒神/宮部みゆき

◆読んだ本◆
・書名:荒神
・著者:宮部みゆき
・定価:1,800円
・出版社:朝日新聞出版
・発行日:2014/8/30

◆おすすめ度◆
・元禄時代に暴れ出す化け物との戦い度:★★★★
・今までにない破天荒度:★★★★
・宮部版「エイリアン」小説度:★★★★

◆感想◆
村から必死に逃げる蓑吉は、不気味な地響きとものの壊れる重たい音を思い出していた。あれはいったい、何だったのか。夜の闇のなか、突然襲ってきたあれはいったい何物なのか…

得体の知れない未知の化け物との戦いといえば、たいていはそら恐ろしい地球外生命体が登場するバトルSFが定番だが、それを元禄時代の山村を舞台にするという設定が意表をついている。

化け物の産まれてきた因縁を物語の背景にし、それと戦ういわくありげな藩主側近、純朴な村人、正体がいまいちわからない用心棒や絵師などの登場人物の姿がファンタスティック。
しだいに明らかになる化け物の正体がぶっ飛んでいて、エイリアンを凌ぐ暴れん坊ぶりも壮観。

シガニー・ウィーバーみたいな豪腕の女性は登場しないけれど、時代背景を取り込んだ純和風な結末が用意されていて、なんだか今までの著者にない冒険活劇小説のよう。

◆関連記事◆
北の国で描く死生観 新聞連載小説「荒神」 宮部みゆきさん特集/OOK asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
宮部みゆきインタビュー 「物語のために」できることすべてを/ライブドアニュース
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プロジェクトぴあの/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:プロジェクトぴあの
・著者:山本弘
・定価:1,900円
・出版社:PHP研究所
・発行日:2014/9/1

◆おすすめ度◆
・アイドル系ハードSF小説度:★★★★
・ヒロインのぴあのがユニーク過ぎる度:★★★★★
・著者らしいガジェット満載度:★★★★

◆感想◆
人気アイドルグループのメンバーにして、物理学と天文学に天才的な才能を持つ結城ぴあの。彼女の「宇宙への想い」をつづったアイドル系ハードSF小説。

サブカルチャーやアキバ文化、近未来のオタク文化などに加え、ハードSFな仕掛けや記述も満載な著者らしいSF小説。

なんといってもこの物語のキモは、主人公結城ぴあののキャラクター。
アイドルになったのは自分の夢を実現するための手段といってはばからない彼女は、人を愛するという情緒が理解できないばかりか、ヒトとモノに明確な境界線はないと考えるスーパークールな設定。
さらに物理学や天文学に天才的な才能をもち、コンクリートブロックと魚を焼く網のようなものと針金などで核融合実験装置を自分で作って検証しちゃうというマッドサイエンティストぶり。

秋葉原電気街で出会った「男の娘」の貴尾根すばるの視線で描かれる結城ぴあのがとってもユニーク。

様々な困難を乗り越え、結城ぴあのは夢を叶えることができるのか!?
カタルシスのある展開なにのどこかセンチメンタルな雰囲気が漂うのも彼女のキャラクターのせい?

自宅で核融合実験をする人を「フュージョニア」といい、実際に装置を作って成功したティーンエイジャーもいるそうで、マニアの世界は超ディープ。

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明日の子供たち/有川浩

◆読んだ本◆
・書名:明日の子供たち
・著者:有川浩
・定価:1,600円
・出版社:幻冬舎
・発行日:2014/8/10

◆おすすめ度◆
・児童養護施設を舞台にしたドラマチック小説度:★★★★
・「かわいそう」なんて言われたくない!度:★★★★
・笹谷実咲さんに拍手度:★★★★★

◆感想◆
児童養護施設に転職した三田村慎平は、着任初日から先輩職員からキツい指導を受けてしまう。やや憮然としながらも理想にもえて子供たちに接しようとするが…

児童養護施設で暮らす少年少女や、彼らの世話や指導をする職員たちの想いや葛藤、現実の厳しさや強く優しく生きていこうとする姿を描いたドラマチックな小説。

登場人物たちのキャラクターや児童養護施設の風景など、とっても生き生きとしていてリアル。著者のファンなら納得の描写。
色んなトラブルが起きて、それを物語として感動的に構成する展開も見事。
読者サービスや読みやすさはもちろん、物語に込められた想いを読者に過不足なく届けられる有川浩って、天性の作家のような気がする。

そんな作家にアクションを起こした(と想像させる)笹谷実咲さんに拍手。
そうゆう風に思わせるように書いているだけなんだろうか?

自分が精神的に自立を強いられたのは、就職してからだったような気がする。
児童養護施設で暮らす子供たちに比べ、なんと遅いことやら。
未だに自立していないような気もするが、気がするだけだと思うようにしている。

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魔法使いと刑事たちの夏/東川篤哉

◆読んだ本◆
・書名:魔法使いと刑事たちの夏
・著者:東川篤哉
・定価:1,400円
・出版社:文藝春秋
・発行日:2014/7/30

◆おすすめ度◆
・ユーモアミステリー小説度:★★★
・コミカルなキャラクターの登場人物たち度:★★
・もっと「八王子」を!度:★★★

◆感想◆
「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」に続く「魔法使いマリィシリーズ」の第二弾。

キャリアなのにおばかっぽい椿木警部と、彼女に罵倒されることが趣味の変態刑事・小山田聡介と、何故か小山田家の家政婦に収まった魔法使い・マリィが、八王子で起きる事件を解決していく。

魔法を使って事件を解決に導いちゃうという「禁断」の手法は前作同様。
でもミステリーのキモとなる部分はちゃんとミステリーにしているから大丈夫。

登場人物たちのコミカルなキャラクターも前作同様だけれども、トーンダウンしているように感じるのは何でかな。
マリィのいきなりなギャグも物語の中にきちんと取り込まれているけど、ちょっと消化不良のように感じるのは何でかな。

でも暑い夏に消化不良はつきもの。細かいところは気にしない気にしない。
ささっと読める本書は、うだるように暑い夏向きのお気楽ミステリー。

「謎解きはディナーのあとで」の国立度に比べると、「魔法使いマリィシリーズ」の八王子度は明らかに低い。
もっと「八王子」を!

◆関連記事◆
魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?/サイト内
謎解きはディナーのあとで/サイト内

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二千七百の夏と冬/荻原浩

◆読んだ本◆
・書名:二千七百の夏と冬
・著者:荻原浩
・定価:上1,300円 下1,300円
・出版社:双葉社
・発行日:2014/6/22

◆おすすめ度◆
・二千七百の時を超えても変わらぬ人間の営み度:★★★★
・猛々しく雄々しい/甘く切ない度:★★★★★
・まるで見てきたかのような描写度:★★★★★

◆感想◆
ダム建設工事の途中に発見された人骨は、縄文人男性と弥生人女性のものと推定された。大きな損傷もなく発見された二体は、何故か互いの手をしっかりと握りしめるように絡み合っていた…

縄文時代の終わりの頃を舞台に、一人の青年を主人公にして描かれる、愛と勇気と成長の物語。
これがとてつもなく切ないラストの物語になっている。

当時の様々な風習や文化。まるで当時の暮らしぶりを見てきたかのようなリアルな描写がすばらしい。
著者の持ち味であるコミカルな描写は、物語に温かい雰囲気をかもし出しているし、手斧や弓を使った狩りのシーンは冒険小説さながらの手に汗握る迫力。

しかしなんといってもこの物語の魅力は、互いの手をしっかりと握りしめるように絡み合っていた縄文人男性と弥生人女性のドラマ。

発見された人骨の描写から、二人の若い男女が迎えた最期は想像できるものの、そこにたどり着くまでの物語が猛々しく雄々しく、そしてとても甘く切ない。
若い二人の最期が、こんな不条理で儚いものだなんて…

それとない文明批評もくわえながら、人間なんて縄文時代から何も進歩していないんじゃないか、と思わせる一気読みの物語だ。

顔より大きくなる葉を、糞をした後の尻拭きに使っていたことから名付けられた「クソフキ」。短く縮めて「フキ」とも言う。

本当?!
フキを食べるたびに思い出しそうな語源だ。

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虚ろな十字架/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:虚ろな十字架
・著者:東野圭吾
・定価:1,500円
・出版社:光文社
・発行日:2014/5/25

◆おすすめ度◆
・ミステリー小説度:★★★★
・飽きさせない展開と描写度:★★★★
・死刑制度の是非/償うとはどうゆうことなのか度:★★★★

◆感想◆
11年前に最愛の娘を事件で亡くした主人公の中原は、そのことが原因で妻とも別れ、ペットの葬儀会社に勤めていた。そんなある日、覚えのある捜査1課の刑事から、別れた妻が亡くなったという連絡がくるが…

子供を殺害されるという痛ましい事件。子供の親達の犯人に対しての感情や裁判における死刑の是非などを題材に、過去から現在へ、そして人から人へとつながる不幸と悔悛の連鎖が描かれる。

人殺しには死刑を求める親達の感情を全面に出しながらも含みを持たせる展開や、一見関わりのない事件や人物が次第につながっていく様子は、さすが東野圭吾、読者を飽きさせません。

死刑制度の是非は難しい問題。
犯人に死刑を求める気持ちは理解できるけど、それが生きる目標になってしまうもの悲しすぎるし、かといって怒りの感情をぶつける先を持たないでいるのも不安定だし。
無限に繰り返される仇討ちや報復し合う戦争のように空しく空虚。
起きないようにするのが一番だけど、起きてしまったものはどこかで食い止めなければならない。
それには現在の制度では虚ろなのだろう。
ただ虚ろだからこそのラストでもあるなあ。

◆関連記事◆
東野圭吾『虚ろな十字架』/horizont: 世界の色は、光で変わる。
虚ろな十字架 東野圭吾/季節はずれの読書感想文

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いい感じの石ころを拾いに/宮田珠己

◆読んだ本◆
・書名:いい感じの石ころを拾いに
・著者:宮田珠己
・定価:1,600円
・出版社:河出書房新社
・発行日:2014/5/30

◆おすすめ度◆
・石拾いエッセイ度:★★★
・読んだ後は近所に石を拾いにいきたくなる度:★★★★
・無駄なことこそが人生度:★★★

◆感想◆
石マニアにもジャンルがあって、宝石や化石、隕石や鉱物からはじまり、浮かび上がった模様がとても自然にできたとは思えない風景石や、最後には黒い丸石に行き着くという水石など、それはもう奥が深いマニアックな世界なのだそう。
そんな中で著者は、高価な訳でもなければ取り立てて珍しい訳でもなく、ただ「いい感じの石」を求めて全国の石拾いスポットに赴く。

さすが宮田珠己。
人が見向きもしないジャンルの趣味に、あえてトライしているような、一見超無駄な趣味が著者ならではで「いい感じ」。

いい感じの石の写真も多数掲載されていて面白いし、石マニアの人たちへのインタヴューもあったりして、本書を読んだ後は近所に石を拾いにいきたくなること間違いなし。
石マニアになる確率52%の石拾いエッセイ。

確かに瑪瑙の摩訶不思議な文様を眺めていると、宇宙を感じることもあるなあ。

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いい感じの石ころを拾いに 宮田珠己/Kawade Web Magazine
いい感じの石ころを拾いに/翌の読書手帖
メノウ/ウィキペディア (なんかスゲエ)
水石/ウィキペディア (むむむ)

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