だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

これから読む予定の新刊本

これから読む予定の新刊本はこれ! 早く来い来い発売日。

2015/3/5
the SIX ザ・シックス/井上夢人

2015/3/6
EPITAPH東京/恩田陸

2015/3/17
/月村了衛

2015/4/10
過ぎ去りし王国の城/宮部みゆき

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天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART1,PART2/小川一水

◆読んだ本◆
・書名:天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART1,PART2
・著者:小川一水
・定価:PART1 720円 PART2 740円
・出版社:ハヤカワ文庫
・発行日:PART1 2014/5/25 PART2 2014/12/25

◆おすすめ度◆
・第1巻がよくわかるPART1度:★★★★★
・冒険小説のようなドキドキのPART2度:★★★★★
・これからの予想外の展開を期待しちゃう度:★★★★

◆感想◆
第1巻「メニー・メニー・シープ」で描かれた物語を別角度から再描画するPART1。そしてさらに物語の先を描き始めるPART2。天冥の標もいよいよクライマックス。

アマゾンのレビューに第1巻を再読しておいた方がいいという旨のコメントがあって、それに従い「メニー・メニー・シープ」を読みなおすと超ビックリ。
何がなんだかさっぱりだった第1巻が、それはもう物語のエッセンスの詰まった物語に変貌。
第1巻の内容をよく覚えていない自分にもびっくりだけど、「天冥の標VIII ジャイアント・アーク」を読み終わってみれば、冥王斑パンデミックで始まった物語がとてつもない紆余曲折を経て「救世群」対「未染者」の物語に集約しつつあるようにも見える。

第1巻で描かれた物語に、第2巻から第7巻までの物語を収束させつつ、さらにその先の展開を伺わせる本書。
「なるほどそうか!」と感嘆しつつ「わくわくドキドキ!」しながら読み進めるのも魅力だが、指をふやかして次巻を待つのが「天冥の標」シリーズの最大の楽しみだったりもする。

◆関連記事◆
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インドクリスタル/篠田節子

◆読んだ本◆
・書名:インドクリスタル
・著者:篠田節子
・定価:2,052円
・出版社:角川書店
・発行日:2014/12/20

◆おすすめ度◆
・インドを舞台にした社会派小説度:★★★★
・様々な対比の構図度:★★★★
・ロサのキャラクターがユニークすぎる度:★★★★★

◆感想◆
高精度の精密機器に使用する人工水晶。その種となる高品質の水晶をインドの村に見いだした山峡ドルジェ社長・藤岡だったが…
インド奥地の村を舞台に、高品質の水晶を入手しようと交渉を重ねるが、なかなか思うように進まない。
そこには価値観や商文化の違いはもとより、インド国内での差別や格差などが深く関わってくる。
どうやって水晶を入手するのか、村人は発掘に協力してくれるのか、敵対勢力の干渉はないのか。
文化や習慣がまるで違うインドの村人たちを相手にしたビジネスの、悪戦苦闘と奮闘ぶりが描かれる社会派小説。

でありながら、この物語のキモとなるのはロサという少女。
現地で出会った彼女の驚異的な能力と、彼女の内面を窺い知ることができない不思議な魅力と暗闇をもつ彼女。

先端産業とインド奥地の手掘りの水晶発掘
巨大資本が支配する世界と、神が支配する村
インド国内での地主と部族の対立

様々な明暗を織り交ぜながら、ロサという少女を通して見る世界は、日本人の藤岡が見る世界とはとてつもなく離れている。
だから藤岡は義足を薦め、ロサはそれを拒否するんだなあ。

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ナオミとカナコ/奥田英朗

◆読んだ本◆
・書名:ナオミとカナコ
・著者:奥田英朗
・定価:1,700円
・出版社:幻冬舎
・発行日:2014/11/10

◆おすすめ度◆
・スリルとサスペンス小説度:★★★★★
・何故か2人の女性に感情移入度:★★★★
・空前絶後でも大風呂敷でもないのにこの面白さ度:★★★★★

◆感想◆
百貨店の外商部で働く直美。友人の加奈子が風邪をひいたというので直接家を訪ねるが…

直美と加奈子の2人が主役のこの物語、どこにでもありそうな舞台設定で、どこにでもいそうな登場人物たちなのにこの面白さ。
読み始めたら止まらないっ。
2人のドキドキが手に取るように伝わってきて、読んでる方も心臓バクバクになること請け合いのスリルとサスペンス。

大風呂敷を広げたり、度肝を抜く設定を用意したりして読者を惹き付けることなく、これだけ物語にのめり込ませる著者のテクニック。
おまけに、「犯罪者」となる2人の女性を応援したくなるこの気持ち。

中国人の李朱美も男前ないい味出しているし、陽子(加奈子の旦那の妹)が一段とスリスとサスペンスを盛り上げる。
最期の1行まで飽きさせず読ませるこの小説、本年ベスト1級の面白小説だ。

控えめな印象だった加奈子が、後半アグレッシブな性格に変貌?していく様子も見逃せない。
危機を前にすると女性は怖いくらい強くなるのかも。
男性の皆さん、女性には優しくしましょう。

◆関連記事◆
ナオミとカナコ 奥田英朗/季節はずれの読書感想文

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四次元時計は狂わない 21世紀 文明の逆説/立花隆

◆読んだ本◆
・書名:四次元時計は狂わない 21世紀 文明の逆説
・著者:立花隆
・定価:800円
・出版社:文春新書
・発行日:2014/10/20

◆おすすめ度◆
・知的興奮を誘うエッセイ度:★★★★
・やっぱり先端サイエンスが面白びっくり度:★★★★
・元気そうでよかったよかった度:★★★★

◆感想◆
文芸春秋に掲載されていたエッセイ39話。
東日本大震災関連に関するエッセイを始め、政治や経済、文化や歴史と多岐にわたる著者の考えが知的興奮を誘う。

でも何と言っても興味深いのはサイエンスに関するエッセイ。

探査衛星「ケプラー」が、生命体が存在しそうな惑星を数多く見つけそうだとか、
超高精度の時計は、歩行する程度の速度でも相対論効果による時間の変化が分かっちゃうとか、
人間は将来、食物やエネルギーにみならずあらゆる物質を有機合成できるようになるかもしれないとか。

SFのネタになりそうな話題がてんこもり。
著者の語る先端サイエンスは面白びっくりで飽きない。

それにしてもエッセイを書くにあたり様々なところに出かけて、見て触って実感する取材はエネルギッシュ。
見習わないといけないけど、たぶん知りたいことはグーグルに訊いちゃうんだろうな、たぶん。

出雲大社ほどすごい建造物は日本中のどこにもない、なんて話しを聞くと、すぐに見に行く立花隆。
すぐにYuoTubeでみちゃう自分。

ゴキブリは余計だと思う。

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火星の人/アンディ・ウィアー

◆読んだ本◆
・書名:火星の人
・著者:アンディ・ウィアー
・定価:1,200円
・出版社:ハヤカワ文庫SF
・発行日:2014/8/25

◆おすすめ度◆
・サバイバルSF冒険小説度:★★★★★
・何事にもめげない前向きな主人公度:★★★★
・単純明快なストーリーがいい度:★★★★
・火星に行くときは持っていきたい本度:★★★★★

◆感想◆
猛烈な砂嵐により探査を中止せざるを得なくなった火星探査隊。宇宙船で火星を離脱する寸前、砂嵐により折れたアンテナがマーク・ワトニーを直撃する…

火星に一人取り残された主人公のマーク・ワトニーが、なんとかして生き残ろうと奮闘するサバイバルSF冒険小説。
派手なアクションはないものの、次々と直面する不測の事態に対応する主人公の奮闘が読ませる。

途絶した地球との通信は?
残り少ない食料は?
水や空気は?
さらにどうやって地球に帰還するのか?

エンジニアにして植物学者である主人公が、持てる知識と技術を駆使する様子がSFならではの読みどころ。
派手なアクションシーンはないものの、最後まで飽きさせずハラハラドキドキの展開。
無人島やジャングルが舞台のサバイバル小説だと普通?の冒険小説になるところだが、火星を舞台にしたところがミソだなあ。

それにしてもリアル。
ちょっと読者サービスのユーモアを交えた、実際に起きた事故のノンフィクション、あるいは火星遭難者の手記にといってもいいほど。
将来火星探査に行くときは持って行きたい本だ。
万一不測の事態が発生しても、本書の主人公のようにめげずに前向きに頑張れば、何とかなるような気にしてくれるだろう。
(たぶん宇宙空間にも行かないだろうけど)


本書はリドリー・スコット監督で映画化進行中。

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火星の人 アンディ・ウィアー著 宇宙サバイバル、直球のSF/日本経済新聞
アンディ・ウィアー/火星の人/life-4
火星ひとりぼっち。希望ちょっぴりジャガイモたっぷり/エキサイトニュース

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純喫茶『一服堂』の四季/東川篤哉

◆読んだ本◆
・書名:純喫茶『一服堂』の四季
・著者:東川篤哉
・定価:1,450円
・出版社:講談社
・発行日:2014/10/8

◆おすすめ度◆
・ユーモアミステリー小説度:★★
・びっくり仰天のうっちゃり度:★★★★
・「珈琲店タレーランの事件簿」のパロディ度:★★★

◆感想◆
純喫茶『一服堂』の店主・ヨリ子は、超恥ずかしがり屋の人見知り。所見の客にはまともな挨拶もできない彼女が、何故か事件を解決する能力は名探偵そこのけで…

安楽椅子探偵もののユーモア連作ミステリー小説。
「珈琲店タレーランの事件簿」のパロディなんだけれど、「珈琲店タレーランの事件簿」を読んでいないのにおおよそ内容が分かっちゃうからびっくり。

ユーモアもミステリーも、たくさんある著者のシリーズ物と似た雰囲気で、やや物足りない感じ、なんて思って読んでいたらラストの「バラバラ死体と密室の冬」はびっくり仰天のうっちゃりを決められた感じ。
表紙のかわいらしいヨリ子さんのイメージとはほど遠い密室の解決は、「ええい、これでどうだ。文句があるなら自分でユーモアミステリー書いてみろ」的な破れかぶれ?ぶり。

文句ありません。

っていうか、もっと破天荒な解決のユーモアミステリが読んでみたいです、はい。

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フォルトゥナの瞳/百田尚樹

◆読んだ本◆
・書名:フォルトゥナの瞳
・著者:百田尚樹
・定価:1,600円
・出版社:新潮社
・発行日:2014/9/25

◆おすすめ度◆
・不思議な能力を持った男の半生度:★★★★
・究極の選択度:★★★
・どうなる!どうなる?度:★★★★
・こうなる?そうなるの↓度:★★

◆感想◆
電車に乗っていた慎一郎は、ふと目にしたサラリーマンの手が透けているように見えた。目の錯覚かと思ったが…

不幸な生い立ちで友人もおらず、趣味もなければ彼女もいない。そんないつもうつむいて歩いているような主人公の慎一郎だったが、あるとき自分に不思議な能力が備わっていることに気づいてから、人生が大きく変化する。
その能力をどう使うべきなのか、あるいは使わないほうがよいのか。
あまりに人に与える影響力が大きく、次第にその力を持て余し、さらにそれに振り回されるようになるが…

読みやすさは抜群の本書。
読み始めは「どうなる!どうなる?」という先を知りたい気持ちでぐんぐん読み進むが、次第に「こうなる?そうなっちゃうの」というミステリーファンならずとも結末が予想される展開に。

ウブな恋愛模様はそれなりにドキドキするけれど、思いもよらないびっくりなラストでドキッとしたかったと思うのは贅沢?

「カルネアデスの舟板」とか「トロッコ問題」とか「冷たい方程式」とか、究極の選択を迫られるケースが物語のテーマになるこもしばしば。
結局は自分に身近な人を助けるということになるんだろうなあ。
でもそうしないところにドラマが生まれるんだろうなあ。

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