だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

これから読む予定の新刊本

これから読む予定の新刊本はこれ! 早く来い来い発売日。

2014/8/19
プロジェクトぴあの/山本弘
 地球移動作戦の前日談だそうです。

2014/8/20
荒神 /宮部みゆき

2014/8/21
マスカレード・イブ/東野圭吾
 新シリーズ第2弾。文庫版で登場です。

2014/9/25
鹿の王 上 生き残った者/上橋菜穂子
鹿の王 下 還って行く者/上橋菜穂子
 「守り人」シリーズや「獣の奏者」シリーズがめちゃ面白い上橋菜穂子の長編。期待できます。

2014/9/26
フォルトゥナの瞳/百田尚樹

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明日の子供たち/有川浩

◆読んだ本◆
・書名:明日の子供たち
・著者:有川浩
・定価:1,600円
・出版社:幻冬舎
・発行日:2014/8/10

◆おすすめ度◆
・児童養護施設を舞台にしたドラマチック小説度:★★★★
・「かわいそう」なんて言われたくない!度:★★★★
・笹谷実咲さんに拍手度:★★★★★

◆感想◆
児童養護施設に転職した三田村慎平は、着任初日から先輩職員からキツい指導を受けてしまう。やや憮然としながらも理想にもえて子供たちに接しようとするが…

児童養護施設で暮らす少年少女や、彼らの世話や指導をする職員たちの想いや葛藤、現実の厳しさや強く優しく生きていこうとする姿を描いたドラマチックな小説。

登場人物たちのキャラクターや児童養護施設の風景など、とっても生き生きとしていてリアル。著者のファンなら納得の描写。
色んなトラブルが起きて、それを物語として感動的に構成する展開も見事。
読者サービスや読みやすさはもちろん、物語に込められた想いを読者に過不足なく届けられる有川浩って、天性の作家のような気がする。

そんな作家にアクションを起こした(と想像させる)笹谷実咲さんに拍手。
そうゆう風に思わせるように書いているだけなんだろうか?

自分が精神的に自立を強いられたのは、就職してからだったような気がする。
児童養護施設で暮らす子供たちに比べ、なんと遅いことやら。
未だに自立していないような気もするが、気がするだけだと思うようにしている。

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魔法使いと刑事たちの夏/東川篤哉

◆読んだ本◆
・書名:魔法使いと刑事たちの夏
・著者:東川篤哉
・定価:1,400円
・出版社:文藝春秋
・発行日:2014/7/30

◆おすすめ度◆
・ユーモアミステリー小説度:★★★
・コミカルなキャラクターの登場人物たち度:★★
・もっと「八王子」を!度:★★★

◆感想◆
「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」に続く「魔法使いマリィシリーズ」の第二弾。

キャリアなのにおばかっぽい椿木警部と、彼女に罵倒されることが趣味の変態刑事・小山田聡介と、何故か小山田家の家政婦に収まった魔法使い・マリィが、八王子で起きる事件を解決していく。

魔法を使って事件を解決に導いちゃうという「禁断」の手法は前作同様。
でもミステリーのキモとなる部分はちゃんとミステリーにしているから大丈夫。

登場人物たちのコミカルなキャラクターも前作同様だけれども、トーンダウンしているように感じるのは何でかな。
マリィのいきなりなギャグも物語の中にきちんと取り込まれているけど、ちょっと消化不良のように感じるのは何でかな。

でも暑い夏に消化不良はつきもの。細かいところは気にしない気にしない。
ささっと読める本書は、うだるように暑い夏向きのお気楽ミステリー。

「謎解きはディナーのあとで」の国立度に比べると、「魔法使いマリィシリーズ」の八王子度は明らかに低い。
もっと「八王子」を!

◆関連記事◆
魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?/サイト内
謎解きはディナーのあとで/サイト内

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二千七百の夏と冬/荻原浩

◆読んだ本◆
・書名:二千七百の夏と冬
・著者:荻原浩
・定価:上1,300円 下1,300円
・出版社:双葉社
・発行日:2014/6/22

◆おすすめ度◆
・二千七百の時を超えても変わらぬ人間の営み度:★★★★
・猛々しく雄々しい/甘く切ない度:★★★★★
・まるで見てきたかのような描写度:★★★★★

◆感想◆
ダム建設工事の途中に発見された人骨は、縄文人男性と弥生人女性のものと推定された。大きな損傷もなく発見された二体は、何故か互いの手をしっかりと握りしめるように絡み合っていた…

縄文時代の終わりの頃を舞台に、一人の青年を主人公にして描かれる、愛と勇気と成長の物語。
これがとてつもなく切ないラストの物語になっている。

当時の様々な風習や文化。まるで当時の暮らしぶりを見てきたかのようなリアルな描写がすばらしい。
著者の持ち味であるコミカルな描写は、物語に温かい雰囲気をかもし出しているし、手斧や弓を使った狩りのシーンは冒険小説さながらの手に汗握る迫力。

しかしなんといってもこの物語の魅力は、互いの手をしっかりと握りしめるように絡み合っていた縄文人男性と弥生人女性のドラマ。

発見された人骨の描写から、二人の若い男女が迎えた最期は想像できるものの、そこにたどり着くまでの物語が猛々しく雄々しく、そしてとても甘く切ない。
若い二人の最期が、こんな不条理で儚いものだなんて…

それとない文明批評もくわえながら、人間なんて縄文時代から何も進歩していないんじゃないか、と思わせる一気読みの物語だ。

顔より大きくなる葉を、糞をした後の尻拭きに使っていたことから名付けられた「クソフキ」。短く縮めて「フキ」とも言う。

本当?!
フキを食べるたびに思い出しそうな語源だ。

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虚ろな十字架/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:虚ろな十字架
・著者:東野圭吾
・定価:1,500円
・出版社:光文社
・発行日:2014/5/25

◆おすすめ度◆
・ミステリー小説度:★★★★
・飽きさせない展開と描写度:★★★★
・死刑制度の是非/償うとはどうゆうことなのか度:★★★★

◆感想◆
11年前に最愛の娘を事件で亡くした主人公の中原は、そのことが原因で妻とも別れ、ペットの葬儀会社に勤めていた。そんなある日、覚えのある捜査1課の刑事から、別れた妻が亡くなったという連絡がくるが…

子供を殺害されるという痛ましい事件。子供の親達の犯人に対しての感情や裁判における死刑の是非などを題材に、過去から現在へ、そして人から人へとつながる不幸と悔悛の連鎖が描かれる。

人殺しには死刑を求める親達の感情を全面に出しながらも含みを持たせる展開や、一見関わりのない事件や人物が次第につながっていく様子は、さすが東野圭吾、読者を飽きさせません。

死刑制度の是非は難しい問題。
犯人に死刑を求める気持ちは理解できるけど、それが生きる目標になってしまうもの悲しすぎるし、かといって怒りの感情をぶつける先を持たないでいるのも不安定だし。
無限に繰り返される仇討ちや報復し合う戦争のように空しく空虚。
起きないようにするのが一番だけど、起きてしまったものはどこかで食い止めなければならない。
それには現在の制度では虚ろなのだろう。
ただ虚ろだからこそのラストでもあるなあ。

◆関連記事◆
東野圭吾『虚ろな十字架』/horizont: 世界の色は、光で変わる。
虚ろな十字架 東野圭吾/季節はずれの読書感想文

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いい感じの石ころを拾いに/宮田珠己

◆読んだ本◆
・書名:いい感じの石ころを拾いに
・著者:宮田珠己
・定価:1,600円
・出版社:河出書房新社
・発行日:2014/5/30

◆おすすめ度◆
・石拾いエッセイ度:★★★
・読んだ後は近所に石を拾いにいきたくなる度:★★★★
・無駄なことこそが人生度:★★★

◆感想◆
石マニアにもジャンルがあって、宝石や化石、隕石や鉱物からはじまり、浮かび上がった模様がとても自然にできたとは思えない風景石や、最後には黒い丸石に行き着くという水石など、それはもう奥が深いマニアックな世界なのだそう。
そんな中で著者は、高価な訳でもなければ取り立てて珍しい訳でもなく、ただ「いい感じの石」を求めて全国の石拾いスポットに赴く。

さすが宮田珠己。
人が見向きもしないジャンルの趣味に、あえてトライしているような、一見超無駄な趣味が著者ならではで「いい感じ」。

いい感じの石の写真も多数掲載されていて面白いし、石マニアの人たちへのインタヴューもあったりして、本書を読んだ後は近所に石を拾いにいきたくなること間違いなし。
石マニアになる確率52%の石拾いエッセイ。

確かに瑪瑙の摩訶不思議な文様を眺めていると、宇宙を感じることもあるなあ。

◆関連記事◆
いい感じの石ころを拾いに 宮田珠己/Kawade Web Magazine
いい感じの石ころを拾いに/翌の読書手帖
メノウ/ウィキペディア (なんかスゲエ)
水石/ウィキペディア (むむむ)

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僕の光輝く世界/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:僕の光輝く世界
・著者:山本弘
・定価:1,500円
・出版社:講談社
・発行日:2014/4/8

◆おすすめ度◆
・少年向けミステリー小説度:★★
・アントン症候群にも俄然興味がわく度:★★★
・ちょっとメタっぽい度:★★★

◆感想◆
いじめが原因で脳に重大な障害を負った少年・光輝。目が見えないのに、視覚があるように感じるというアントン症候群となってしまったのだ。そんな彼が見えない世界を観ることで、身の回りに起きた事件を解き明かしていく…

ちょっとオタクで明るい光輝と、美少女キャラだと思ったらひねくれ女子だった夕の二人が主役。
アントン症候群というとっても不思議な症状を呈する障害をベースに、それを逆手にとって事件を解決するというミステリー小説だ。

障害があるとはいえ、またひねくれてるとはいえ、主役たちの明るさや爽やかさが横溢している展開。
ちょっとメタっぽい現実の厳しさを織り込んだような描写や、「と学会」なネタもあったりする、ユニークな少年向けのミステリー小説になっている。

そんな小説の面白さもさることながら、俄然興味がわくのが「アントン症候群」。
失明しているのに患者がまるで見えているかのように振る舞うので、盲目になっているにの気付くのに数日かかった、なんていうにわかには信じがたいこの障害。
人間て不思議だ。

自分が未来の宇宙のヒーローだと思いこんでいるカーク・アレン(仮名)という物理学者のエピソードもびっくり。
その思い込みの世界を真実だと信じ、架空世界の地図や歴史や体験したことなどを膨大な手記として残していたという。
人間て不思議だ。

詳細は宇宙を駆ける男―精神分析医のドキュメント (絶版です)

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「僕の光輝く世界」、これを読みたかったんだ!/怪しい日記・新型
『僕の光輝く世界』/山本弘のSF秘密基地BLOG

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ゴースト≠ノイズ(リダクション) /十市社

◆読んだ本◆
・書名:ゴースト≠ノイズ(リダクション)
・著者:十市社
・定価:1,700円
・出版社:東京創元社
・発行日:2014/1/30

◆おすすめ度◆
・ミステリーのようなホラーのような青春小説のような度:★★★
・いじめテーマの学園もの度:★★
・おおっ! おお? おぅぅ度:★★

◆感想◆
ちょっとした出来事をきっかけに、クラスの中で孤立するようになった高校一年生の一居士。クラスメイトから無視され“幽霊”のような存在の彼に、一人の女子高生が近づいてくるが…

中盤までは「いじめ」がテーマの学園小説みたいで、気分が暗くなること必至。
中盤からミステリー小説っぽい展開がでてきて「おおっ!」っとなるものの、盛り上がりに欠けるまま「おお?」な展開に。

いじめや友情をテーマにした学園小説に徹した方が、読んだ後も爽やかだったような気がする小説でした。

主人公の一居士と、クラスメイトの女子高生の会話は、お互いの心のうちを探り合うようで、心理描写がうまいとも言えるけど、なんだかまどろっこしいとも言えて微妙。
もっとスカッと、バーンといきたいものです。

本書は本の雑誌で「本年度のベスト級作品と断言してもいい傑作だ」と紹介されていて、「そんじゃ」と購入。
ちょっと期待が膨らみ過ぎたか。
湊かなえのファン向きかもしれません。

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「セルフパブリッシングで注目の、あの作家に聞く」 『ゴースト≠ノイズ(リダクション) 』十市 社さん/DOTPLACE
今年読んだ100冊の中で一番面白かった本は ゴーストノイズリダクションでした。/ふりむけばコウホウ

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