だな通信 ミステリー文庫

国内のミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

カッコウの卵は誰のもの/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:カッコウの卵は誰のもの
・著者:東野圭吾
・定価:1,600円
・出版社:光文社
・発行日:2010/1/25

◆おすすめ度◆
・ミステリー小説度:★★★★
・新人なら傑作だけど東野圭吾なら佳作度:★★★★
・先の読めない展開/グイグイ読んじゃう度:★★★★

◆感想◆
世界的なスキーヤーでありながら、メダルには届かなかった緋田。現役を引退した彼は、自分の幼い娘を世界的なスキーヤーに育てるのが夢となったが・・・

娘のスキーの才能に驚きと喜びを見つける緋田、緋田の妻の自殺と親子に隠された真実、遺伝子レベルでスポーツの能力を解明しようとする研究所の存在。
本書の題名から容易に類推できる内容と展開なんだけど、さすがは東野圭吾、読みはじめたら止められない。
読み手の一歩先を行く展開で、いつのまにやら時計の針は夜中の3時。
やっぱり寝る前に読みはじめてはいけないなあ、好きな作家の本は。

新人作家なら「傑作!」と言いたいところだけど、東野圭吾だとササッと書き上げているような印象で、そのムリムダムラのなさ(生産技術者か?)が逆に評価をおとしめかねないか。
でも「もっと面白く!」と期待しちゃうのがファン心理なのだ。

バイアスロン目黒香苗選手
バイアスロン目黒香苗選手/Annex of TK Sports Shooting


東野圭吾には「夢はトリノをかけめぐる」という著書があるくらいウインタースポーツ好き。
「カッコウの卵は誰のもの」でチラッと出てくる冬期戦技教育隊の話しなんかも書いてあったりして。

その冬期戦技教育隊の練習風景を取材している著者は、広末涼子に似た目黒香苗という選手に会うんだけど、ひょっとして「カッコウの卵は誰のもの」のヒロイン緋田風美は、彼女ががモデル?
(確固たる証拠があるわけじゃなく、思いつきですが・・・)

◆他サイトの感想◆
酔眼漂流記

カッコウの卵は誰のもの
カッコウの卵は誰のもの
おすすめ平均
starsフェイク
stars人間愛
stars旅情感もあってよし
starsやはり、すごい東野圭吾!
starsタイトルに込められた二つの意味と予想させない展開

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夢はトリノをかけめぐる (光文社文庫)
夢はトリノをかけめぐる (光文社文庫)
おすすめ平均
starsつまらない
starsはあ・・・
stars東野氏のエッセイは...
starsトリノオリンピック観戦記
starsNumberの様な本

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数えずの井戸/京極夏彦

◆読んだ本◆
・書名:数えずの井戸
・著者:京極夏彦
・定価:2,000円
・出版社:中央公論新社
・発行日:2010/1/25

◆おすすめ度◆
・京極版「皿屋敷」度:★★★★★
・登場人物の見事な描写度:★★★★★
・細かい作り込みがいちいち面白い度:★★★★★

◆感想◆
京極版の怪談「皿屋敷」。
本家の「皿屋敷」は噂程度にしか内容をしらないけれど、京極版の皿屋敷「数えずの井戸」は、登場人物がちょっとずつ精神を病んでいるような描写にゾクゾクするような物語。

人の心の中にある、ちょっとした強迫観念やわずかな狂気。それを抽出して増殖させて人型に成形して命を吹き込む。
どこかにいるようでどこにもいそうにない、それでいてリアルな人物。
非現実的だけど、感情移入してしまいような性格を浮かび上がらせておき、ストンと物語世界に落とし込む。
なんでこんなに納得してしまうんだろう。
自分がいろんな強迫観念にとらわれているのか?

それぞれ特徴的な強迫症状を呈しながら、しだいに絡み合う人物と物語。
探し求める「皿」を契機に、強迫観念は狂気的行動に爆発する。
唯一救いとなるお菊の無垢さが、美しいがゆえにはかない。

1001281439.jpg
姫谷焼絵皿

文章、構成、装丁など、「幽談」や「厭な小説」に繋がるような完成度の高さ。
物語の内容だけでなく、「本」という形あるものに完璧さを求める著者のこだわり(章の書き出し、表紙とカバーなど)がいちいち面白い。
著者のこの「こだわり」は強迫観念に近いものがあるぞ。

数えずの井戸
4120040909

◆他サイトの感想など◆
中央公論新社
uruya の日記
ひとりごと

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キケン/有川浩

◆読んだ本◆
・書名:キケン
・著者:有川浩
・定価:1,400円
・出版社:新潮社
・発行日:2010/1/20

◆おすすめ度◆
・アニメのりの青春小説度:★★
・愉快な仲間達度:★★
・ハチャメチャ度:★★

◆感想◆
機械制御研究部(略称機研:キケン)に所属する男子大学生を主人公にした、ハチャメチャ青春小説。

爆弾作りが趣味のユナ・ボマー上野のトンデモぶりや、迫力は学内随一の大神が失恋した話しとか、マイナーなロボコンコンテストで度肝を抜く作戦でみんなを驚かせ、学園祭で後々語り継がれるような模擬店を運営したりと、「俺たち青春まっただ中だぜ!」な連作短編小説。

うーん、ちょっとおじさんにはライトンベル過ぎるか。
読者ターゲットは女子中校生のようだし、イラストもマンガだし。

それでもクイクイ読ませるのはさすが。
今乗りに乗ってる作家らしい勢いがあるなあ。
著者のファンはお見逃しなく。
そうでない方は巨大ザリガニパニックSF?の「海の底」をおすすめ。

キケン
キケン
おすすめ平均
stars一切手抜きなし!! ”本気で”遊ぶということ
stars全力で突っ走りギリギリでかわす
stars読むしかないっしょ

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上野のあだ名となってるユナ・ボマーはアメリカ史上最もインパクトのある爆弾魔。
1978年5月から1995年にかけて、全米各地の大学と航空業界関係者に爆発物を送りつけ、3人が死亡、29人以上が重軽傷を負った事件を起こしている。

なんか、本書の内容より、IQが175で16才でハーバード大学に入学するような天才的な数学者の方に興味津々。
いったいどんな思想の持ち主なんだろう。

顔写真を見ると、キケンの主役「ユナ・ボマー上野」の好青年ぶりとはだいぶ違うぞ。あたりまえだけど。

ユナボマー 爆弾魔の狂気―FBI史上最長十八年間、全米を恐怖に陥れた男ユナボマー 爆弾魔の狂気―FBI史上最長十八年間、全米を恐怖に陥れた男
田村 明子

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◆他サイトの感想◆
ペンギンウォーク
ぽぽの“お気楽”に本を読む
怪鳥の【ちょ〜『鈍速』飛行日誌】

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巡礼/橋本治

◆読んだ本◆
・書名:巡礼
・著者:橋本治
・定価:1,400円
・出版社:新潮社
・発行日:2009/8/25

◆おすすめ度◆
・ゴミ屋敷の主の半生度:★★★★
・この世に生まれ、生きる意味度:★★★★
・橋本治、歳とったなぁ度:★★★★

◆感想◆
ゴミ屋敷の主となった男の半生と、生きることの意味を考えさせる物語。

小説家というより思想家といった方がいいんじゃないかと思う橋本治。
久しぶりに読んだ本書は、著者にしては比較的平易な文章。主人公もゴミ屋敷の主だし、なんか一般受けしそう。
しかし読み進めると、けっこうディープな内容だ。

ゴミ屋敷の主となった男の現在の物語と、戦後の日本が復興して行く中で育ったゴミ屋敷男の過去の物語が、交互に描写される。

そこから浮き上がってくるのは、意味のないことだと分かっていながら、ゴミを集めざるを得ない男の恐怖心と逃避。
時代に流され、またうまくいかない人間関係の中で、何かを得ようとして、そして何かを捨てられないがために築かれるゴミの山。

主人公と同世代の読者は、一種の恐怖を感じるかもしれない。
生きている証の象徴が「ゴミ」というのは怖い設定だ。

こうゆう捉えかたをする著者に、なんだか「老い」を感じてしまう。
若々しくオピニオンリーダー的存在だった橋本治が、人生の意味を問うような小説を書く。
橋本治、歳とったなぁ。

それに、心に残るものは生み出せても、有形のものを残すことができない小説家という職業。
そこに著者は哀愁を感じているのかもしれない。

ゴミ屋敷
麺喰道 (およそ麺日記)

ゴミを集める男も悲しいが、そのゴミを見ながら生活する主婦こそ被害者。
だってゴミだもんなあ。
無理矢理見せられたり聴かされたり読まされる芸術もゴミに近いものがあるが、本当のゴミに何かを見いだすのは困難。
でも一億万年くらい経てば価値が出る?

巡礼
巡礼
おすすめ平均
starsゴミの山は戦後の日本の姿か
stars人との係わりとは
starsゴミ屋敷の主は私だったかもしれない
stars誰か映画化してください
stars心に蓋を閉ざした男

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◆他サイトの感想◆
MSN産経ニュース
新s あらたにす(日経・朝日・読売)
asahi.com(朝日新聞社)
日々平安録

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スットコランド日記/宮田珠己

◆読んだ本◆
・書名:スットコランド日記
・著者:宮田珠己
・定価:1,600円
・出版社:本の雑誌社
・発行日:2009/8/5

◆おすすめ度◆
・脱力系日記度:★★★★
・寝る前に読む本度:★★★★★
・どことなく安心できる度:★★★

◆感想◆
旅行エッセイスト宮田珠己の脱力系日記。

寝る前に読む本の選定は難しい。
つまらないと読む気にならず、本を手にしたままつらつらと悩み事が浮かんできては考え込んでしまい、翌日寝不足になったりする。
面白すぎると寝るのを忘れて読んでしまい、翌日寝不足になってしまう。
つまらなくもなく、かといってものすごく面白い訳でもない本が寝る前本にはベストだ。

本書は語り口やテーマがユニークなエッセイスト宮田珠己の、ごく普通の日常生活を綴った日記。
これが寝る前本にはもってこいのちょい面白本!

ごく普通の日記といってもユニークな著者の筆にかかるとそこここでクスクス笑いを禁じ得ず、また大笑いしながら凧揚げする娘とか、著者の性格を鋭く指摘する楽天的な奥さんとか、グラフマニアな著者のこととかが分かっちゃう仕 組み。
分かっても特別いいことないんだけど、シリアスなんだかとぼけてるんだか、宮田珠己の暢気な演出がステキなエッセイだ。

唐突な終わり方や、著者近影の写真にもグッとくる!

スットコランド日記
スットコランド日記
おすすめ平均
stars電車のなかで読めません

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スットコランド日記の最新版は「WEB本の雑誌」で。
本書でもふれられてる「だいたい四国八十八ケ所」の連載もある。
ただで読めてお得だ!

◆他サイトの感想◆
傲岸不遜男天野才蔵の「私は本を買って読む」+「ただいま世界一周旅行中」
著者に聞く 新s あらたにす(日経・朝日・読売)
讀々享樂時空
宮田珠己ファンサイト「タマキンガーの部屋」

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